文/Webikeスタッフ:アキヒト
目次
【ホンダ CBR400R】
ディテール&試乗インプレッション
ホンダの400ccフルカウルスポーツバイクとして2013年に初登場したCBR400R。2016年に続き、2019年のマイナーチェンジでよりアグレッシブなデザインとなっただけでなく、灯火類やメーターなどの装備にも手が加えられています。CBR400Rは"CBR"の名を冠してはいますが、日常使いやツーリングで扱いやすいツインエンジンとポジションで、スーパースポーツとしての"CBR"とは異なるキャラクターになっています。
今回は、新たに生まれ変わったCBR400Rの細部と共に走りについてのインプレをお届けします!
CBRシリーズらしいアグレッシブデザイン
【全長/全幅/全高】
2,080mm/755mm/1,145mm
【車両重量】
192kg
CBRシリーズのアイデンティティーとも言えるデュアルヘッドライトのデザインをはじめ、各部でスーパースポーツモデルと遜色の無いアグレッシブなデザインに仕上げられているのが見て取れます。
特に目立つのは整流効果に繋がる部分。ハンドル位置の変更にポジションの変更に合わせてスクリーンの形状が変更されました。他にもカウル下部に付けられたエアロパーツや、シートカウルのダクトなど、空気を裂くようなスポーティーな走りを連想させます。
足つき
【シート高】
785mm
【足つき】
シート高は250ccクラスと同等の785mmで、シャープなシート形状も合わさって足つきは非常に良好です。
すべてがLEDとなった灯火類
より他のCBRシリーズに近いデザインとなったLEDヘッドライトに加え、前後のウィンカーにもLEDが採用されました。このLEDウィンカーは急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させ後方車両にいち早く伝える「エマージェンシーストップシグナル」としても活躍します。
【ヘッドライト】
【テールライト】
新設計のフルデジタルメーター
新たに採用されたフルデジタルメーターはニューモデルのCBR/CB650Rと同じレイアウトになっています。スピードやタコメーター、燃料計や時計といった基本情報に加え、水温計やシフトインジケーターが追加されました。他にもシフトアップタイミングを知らせるインジケーター機能や任意の回転数を点滅で知らせるタコメーターピークホールド機能も備えています。
よりスポーティなポジションのハンドル
従来モデルのハンドルマウント位置はトップブリッジ上でしたが、新型ではトップブリッジ下へと変わりました。これによりコクピット周辺がスポーティな印象となっただけでなく、前傾姿勢が深くなったことで、従来よりもスポーツライディングにも対応したポジションとなりました。
好みに合わせてセッティング可能な足回り
【ホイール】
ホイールは従来と同じくY字型スポークデザインを採用したアルミキャストホイールを装備。足元の軽やかさを演出しています。
【ブレーキ】
フロントは320mm径シングルディスク、リアは240mmディスクで前後ともウェーブ形状となります。250ccでも対向4ポッドラジアルマウントキャリパーが採用される中で、フロントキャリパーは片押し式2ポッドキャリパーと少々心許なく感じますが、日常的な走行シーンではこれでも十分な制動力を発揮します。前後2チャンネルのABSも標準装備。
【サスペンション】
インナーチューブ径41mmの正立フロントフォークはプリロード調整機構を採用。リアにも調整機構付き分離加圧式モノショックを搭載しているので、好みや走行シーンに合わせてセッティングが可能です。
さらに扱いやすくなったエンジン
最高出力:34kW(46PS)/9,000rpm
最大トルク:38N・m(3.9kgf・m)/7,500rpm
エンジンに大きな変化は無く従来モデルと最高出力は変わらないものの、インジェクションシステムの最適化により、トルクアップだけでなくより低回転で出力が出るようになりました。これにより日常時に最も使われる低・中回転域での扱いやすさが向上しています。マフラーはサイレンサー出口が2つとなった新設計となり、2気筒エンジンらしいパルス感を感じさせてくれる低回転から、高回転につれてレーシーなサウンドを演出します。
このモデルからクラッチにはアシストスリッパークラッチが採用されたことで、クラッチレバーの操作荷重が低減されました。スリッパークラッチと合わせてクラッチレバーもドッグレッグ形状が採用されたことで、レバーのフィット感も向上。これらの2つが合わさったことで、実際にクラッチ操作をしてみると指1本でも半クラッチ操作が容易くできてしまうほどでした。また、急なシフトダウン時には過度なエンジンブレーキを抑制してくれるので、クラッチの負担だけでなくストレスの低減にも繋がっています。
容量アップのタンク
タンク容量:17L
燃費:28.3km/L(WMTCモード値)
タンクデザインの変更によりタンク容量も従来の16Lから1L増しの17Lとなりました。エンジンパワー同様にインジェクションシステムの見直しによりカタログ燃費もわずかに良くなっています。
足つき性を考慮したシート
足つきの良さにも寄与しているスリムなシートデザインです。シート下の収納スペースには、奥に車載工具が入っているくらいでETCなどを取り付けたら他に物は入らなそうでした。
気になる販売価格は!?
メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
808,500円
※2020年5月現在
- CBR400R:現行車種のスペックや新車・中古バイクはこちらから
- CBR400Rのスペックや相場、ユーザーのカスタムなど詳細情報を見る
- CBR400Rの新車一覧を見る
- ウェビックバイク選びおすすめのCBR400R中古車一覧
実際に走ってみた
元々街中での走りでは文句なく扱いやすいエンジンでしたが、より低回転からパワーが出るようになったことで、走りもより快適に感じました。街中でよく使う60km/hまでの加速は申し分ないだけでなく、6速3,800rpmほどで巡行できるので走りのストレスも少ないです。高速走行時も100km/h5,300rpm前後と比較的低回転で走ることができるので、長距離の高速道路も同排気量帯の中では比較的快適な部類に入ります。
ハンドル位置も低くなったことで、よりフロントに荷重が掛かりやすくなりハンドリングも向上しています。その分前傾姿勢はきつくはなりましたが、スーパースポーツモデルと比べれば緩やかなポジションなので窮屈に感じることもありませんでした。
400ccフルカウルモデルで比較対象となるのが、カワサキのニンジャ400だと思います。ニンジャ400は大部分をニンジャ250と共通化しているためとても軽量です。単純な装備重量の差は25kgと、軽量ゆえに取り回しやハンドリングではニンジャ400に分があります。ただ、それ以上にCBR400Rはニンジャ400よりも剛性感が高く、特に高速走行時やブレーキングでの安定感はCBR400Rが勝っているように感じました。
「CBR」と名の付くバイクではありますが、サーキットでの速さというよりも、ストリートやツーリングがメインでツーリング先のワインディングを楽しむという人に、このCBR400Rはピッタリだと思います。正直この1台があれば大抵のことは満足にこなしてくれる。走りに特化したCBRシリーズの中でCBR400Rは、そんな懐の深さを感じさせてくれる1台でした。
撮影協力:株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
この記事にいいねする