【ホンダ X-ADV】
ディテール&試乗インプレッション

X-ADV(エックスエーディーブイ)は、モーターサイクル+スクーターのような車体にオフロードテイストのデザインを合わせた、新感覚なバイクです。
ADVとはアドベンチャーの略で、冒険的な使い方をイメージさせる近年流行しているバイクジャンルの一つです。長距離ツーリング向きでオフロードも走れる車体構成が特徴で、四輪自動車で例えるとクロスオーバーやSUVが近い存在と言えるでしょうか。

またスタイリングだけではなく、装備も先進的なものを多数搭載しています。
DCT(デュアルクラッチトランスミッション)と呼ばれる、"オートマ"として乗れる自動変速機構をはじめ、持ってるだけでエンジン始動ができるスマートキーや大型液晶メーターなど、快適に走るための装備がとても充実しているのもX-ADVの特徴ですね。

そんなX-ADVにはどんな良さがあるのか、"フツーのライダー"目線でスタイリングや装備、走りをレビューします!

X-ADVのココがイイね!

  1. スタイリングもメカニズムも先進的!一歩先をいってる感がスゴイ!!
  2. オートマ&大きなスクリーン&幅広シート&低回転型エンジンで、巡航ラクラク!
  3. 走りがイイ!スポーツバイクに負けない走行性能と装備

X-ADVの評価(筆者の主観です)

ルックス ★★★★
取り回し ★★★★★
足つき ★★★★★
走り ★★★★
燃費 ★★★★★
積載性 ★★★★★
メンテナンス性 ★★★★
高速巡航 ★★★★
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スタイリング:スクーター的な車体デザインとモーターサイクルのメカニズム

まるでCRF1000Lアフリカツインをスクーター化したような、アドベンチャーツアラーやオフロードの要素を詰め込んだスタイリングが特徴的なのがX-ADV。
車体構成はスクーターに近いですが、エンジンやサスペンションなどはモーターサイクル的配置です。

ロボット的なボディワークや、スクーターにはまず装備されることのないスポークホイールなどを見ても、すぐに「タダモノでない」感が伝わってきますよね。
従来のバイク感の枠を飛び越えるようなスタイリングは、乗ってる人のアクティブなイメージを高めるのに一役買ってくれることに違いありません。

全長は2,230mmでホイールベースも1580mmと、同型エンジンを搭載するNC750Sよりも大きくて長いサイズです。
さらに重さも238kgとなかなかの重さなので、車両の押し引きや取り回しはちょっと大変。
ハンドル幅とステップで車体幅が広いことも影響してそうです。

前後から見ると、ボディ下部やマフラーの下側がえぐられていて、なるべくバンク角(車体を倒せる角度)を大きくとれるよう工夫されているのがわかりますね。
ワインディングなどで車体を倒しながらスポーツ走行することも想定されていると言えそうです。

フロントマスク:先進性は顔つきからアピール

顔つきは、なんだかロボットみたい?にも見えるもので、フロントカウルを兼ねた大きなサイズ。
角ばったラインがメカニカルかつ先進的な印象を与えてくれますね。
スクーターっぽい造形なのに、大型のスクリーンとハンドガードを合わせたアドベンチャーバイクらしい印象もかなり特徴的です!

またスクリーンは、工具を使わずともメーター下にあるノブをクルクル回すことで、5段階の高さと角度の調整が可能です。

スクリーンを上下させてみた比較です。
一番高い位置では、私の身長(167cm)だとヘルメットの上部に風を感じる程度でした。
ハンドガードやカウルも合わせた風防効果の高さは、かなりのもの!高速巡航が本当に快適で楽しくなります。

最も低い位置にした場合
最も高い位置にした場合
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灯火類:全てにLEDを採用

灯火類は全てLEDを採用。
120万円という車体価格に見合った、質感の高い装備ですね。

ヘッドライトは、二眼式のものでロー点灯時でも左右両方とも点灯します。
明るさと照射する広さはかなりのもので、X-ADVより夜間走行時の視界がいいバイクもなかなか他にはないものだと感じました。

テールランプは逆台形の2本のラインが特徴的で、これも視認性が高そうです。

ハンドル周り:幅広+ハンドガードでオフロードテイスト

ハンドル部は、幅広いバーハンドルにハンドガードが装着されたもので、オフロードテイストのもの。
ハンドガードはアフリカツインと同形状で、飛び石や万が一の転倒時のレバー破損を防いでくれそうです。

ハンドルの高さは程ほどですがかなり幅があるので、オフロードハンドルに慣れない方や小柄な方はちょっと握り難いかも知れません。
また都市部などでのすり抜け走行時も、かなり気を使ってしまう幅です。
シティコミューターとしての用途をメインにする方は、思い切ってハンドル幅を少し詰めてしまってもいいのではないかと感じました。

左右グリップ部のスイッチ類は、通常のバイクとは異なるボタンがあります。
クラッチ操作不要で自動変速もしてくれるDCTの操作ボタンです。
エンジン始動時にはニュートラル(N)状態のため、走り出すにはドライブ(D)へとボタンを一押し。
通常走行はこのまま何もしなくてもシフトアップとダウンを自動でやってくれますが、マニュアルモード時には左グリップ奥のシフトアップ(+)ボタンと、手前最下部のシフトダウン(-)ボタンを駆使することになります。

またリヤブレーキはスクーター同様の左手側にあります。加減速時に忙しくなる変速操作に気をとらわれずに、ブレーキングと曲がる操作に専念できるのがDCTのメリットですね。
そしてフロントとリヤ側ブレーキレバーともに調整可能なタイプのものなので、手が小さい筆者は一番近くまでしたところ操作感が良くなりました。

またグリップヒーターも標準装備されていて、寒い時期も快適に乗ることができそうです。

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メーター、メインスイッチ:大きな液晶メーターで見やすさ◎

メーターは、ラリーメーターをイメージしたような四角の大きなサイズのものが、スクリーン手前に陣取っています。
表示項目もかなり多く、速度、回転数、距離(オド、トリップ1、2)、ギアポジション、モード設定、グリップヒーター設定、燃料計、燃費計(平均、瞬間)、気温計、日付、時計、各種警告灯です。
多くの情報が表示されますが、画面の大きさと角度、反射除けなどが素晴らしく機能していて、これほど視認性の高いメーターもなかなかありません。
また別体式インジケーターは、スマートキー、ニュートラルランプ、ABS、パーキングブレーキの状態を表示します。

メインスイッチは、ハンドル手前中央部に装備されています。
スマートキーを採用してるので、キーを差すことなく持っているだけでエンジンスタートやハンドルロックの解除が可能!これは便利ですねえ。

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シート、ポジション、足つき:幅広シートで乗り心地◎、でも足つきは・・・

シートは前後が一体化された大きなもの。シートの厚みはスクーターとしては薄めですが、幅も広く座る位置に自由度があるので座り心地が良い部類です。ここはスクータータイプの車体のメリットですね。
お尻が当たる部分にはくぼみもあって、加速をした時やスポーツ走行をする際にギュッと押し付けることで、確実な操作をすることができそうです。

また足を置くフロアはなかなかの広さなので、リラックスしたい時やスポーツ走行したいときなど状況や好みに合わせて足を置くことができます。
ただしオフロード車には必須のスタンディングができる位置ではないので、ダート走行の場合にはシッティングで制御できる程度の路面と速度にしておくのが無難と思いました。

そして足つきですが、シート高が790mmあることに加えてシートと車体が太いので、なかなかの厳しさ・・・
身長160cm台以下の方には厳しいものになるのではないでしょうか。
ただし重心の低い車体なので車重238kgの割に重さを感じにくく、足指の付け根までつけば信号待ちも大丈夫でした。
これでも国内仕様はヨーロッパ仕様車と比べて、リンクで車高を30mm下げてあるそう・・・足の長い人が羨ましいです(笑)

▲身長167cm・足短め
▲身長180cm・足長め(羨ましい・・・)

タンデムをした場合にもシートの前後には余裕があります。グラブバーも装備されているので、掴むポイントもあります。
タンデムステップは、きっちりとボディに収まるユニークな造形ですが、こういうギミックもなんだか高級感ありますね。

積載性:シート下ボックスにはフルフェイスヘルメットが入る

積載性はなかなか厳しいのがスポーツバイクの定めですが、X-ADVはスクーターの車体構成なのでシート下ボックスがあります!
容量は21Lと、フルフェイスのヘルメットがなんとか入るサイズといったところ。オフロード用のバイザー付ヘルメットはそのままではちょっと厳しそうです。
ライトも付いているので、暗い場所での開け閉めにも便利ですね。

ボックス内の前部には、ETCとアクセサリーソケットが装備されています。これは今時ならUSB電源でもよかったのかなとも思いますが、いろんな用途での汎用性を優先したのでしょう。

リヤシートは座面が広いので、バックパックなどをちょっと載せるには便利そうです。
グラブバー下には荷掛けの起点となるフックもありますので、ササっと縛る程度で済む荷物ならば大丈夫でしょう。
ただしリヤに荷物を固定してしまうと、シートを開けられなくなってしまうので状況に応じた積み方が必要です。

キャンプ道具などの本格的な物を積む場合には、オプションで用意されるキャリアとトップボックスを装着すれば安心ですね。

足回り:スポークホイールだけどチューブレス

足回りも、高性能なものが装着されています。
倒立式フロントサスペンションはオフロード車にも引けを取らないような太さのもので、少々のダートもなんのその。
高速道路の橋の継ぎ目などでもショックをうまく吸収してくれて、まずで水すましのようにスイースイーと進んでくれるのは驚きでした。
また前後サスペンションともに調整可能なので、ライダーの体重や好みや走るシーンに合わせて調整すると走りがまた一段と良くなるでしょう。

ブレーキもフロントはラジアルマウントの4ポットキャリパーでしかもダブルディスクで、とにかくすごいよく効くブレーキというのが印象。
慣れないうちは減速し過ぎてギクシャクしてしまうほどでした。これは筆者が普段効きの弱いドラムブレーキの車両ばかり乗ってるからかも知れませんが・・(汗)
もちろんABSも搭載しているので、悪路でもこのブレーキ性能が生きてくるでしょう。

 alt=前タイヤ:120/70 17インチ
後タイヤ:160/60 15インチ

スイングアームも、見るからに性能が高そうなゴツイもの。走行中もよく動いてくれてバタついたりしません。
そしてチェーンをカバーでうまく隠すことで、スクーターイメージを確保していますね。

ホイールは前17インチ:後15インチサイズを装着。リヤは少々頼りなさげなサイズに思うかもしれませんが、実際の走行では何の不満もありませんでした。
またスポークホイールなのにチューブレスタイヤを履いていることにも驚きです。スポークをタイヤの外側で組むという、筆者は初めて見た形です。スポークホイールで一般的なチューブタイヤと違って、パンクの際の修復が容易なので長距離ツーリングでも心配なことが減りますね。
タイヤはオンオフ両用の控えめなブロックパターンのもの。ダートを走る機会はそれほどないかも知れませんが、アドベンチャーバイクのイメージとして大事なポイントですよね。

その他の装備:パーキングブレーキ、タンクキャップ

その他の装備としては、パーキングブレーキが装備されています。X-ADVのDCTは、エンジンオフ時にニュートラルに戻るという仕組みなのでこれがあると安心ですね。リヤにはそれ専用のキャリパーも見えます。

また給油口はシートの前端のカバーを開けたところにあります。同系エンジンを積むNC750シリーズはリヤシート側に給油口があるので、大きな荷物を積載した時など給油の際に荷物も下さなければならないというストレスがありましたが、X-ADVはそんなこともなさそうですね。

エンジン、マフラー

エンジンはNC750シリーズと同系統の2気筒エンジンです。
それをカウルに包まれた車体内に搭載しているため外から伺うことはできません。
エンジン下部も、アンダーガードでしっかりと保護されているので、悪路の飛び石なども気にすることなくアクセルを開けることができますね。

ただしこうしたカウルに包まれた車体なので、転倒などの際には傷がつきやすくまた修復が高価になることは容易に想像できます。
またメンテナンスの際にも、まず何をするにもカバー/カウルを外してからの作業になるので、作業時間や工賃にも影響するのではないでしょうか。
日頃通勤車のスーパーカブはメンテナンスする筆者も、X-ADVではプラグ交換でさえ自分でできる気がしません・・・

マフラーは、跳ね上げスタイルがなかなかにカッコイイです。
バンク角の確保のために下側を削ぎ落したカタチも、後ろから見ると凝ったその造形に惚れ々々します。
音はツインらしくドコドコと鼓動感のあるもので、程よい音量に気分も盛り上がります。

走り:DCTの変速がスムーズで感動!燃費もいい!!

DCTは、スクーターのベルトによる変速機構と違って、マニュアルトランスミッションのエンジンを自動変速化したものです。
そのためスクーター特有のあのベルト駆動のタイムラグがなく、アクセルを開けるとすぐに前に進むので、慣れないうちは発進時にちょっと注意しましょう。
クラッチ操作は人間ではなく機械がやってくれるのですが、この制御が絶品で自分のシフトチェンジは遥かに及ばないほどのスムーズさです。
モードによってシフトアップ/ダウンの回転数に差はありますが、どこでもシフトショックはあまりなく、自分が上手くなったかのような気になります(笑)

DCTの無駄のないスムーズな変速に加えて、トルクのある低回転型エンジンを搭載しているので巡航時も回転数が低く、燃費が非常にいいのもNC750譲りの特長です。試乗時も街中で元気なモードで走っても27km/L、高速では35km/Lの燃費を記録しました(メーター表示値)。
また低回転な分、振動による疲れも少ないので、長距離ツーリングも非常に快適ではないでしょうか。

そしていざスポーツ走行をしたい時も、スクーターとしてはかなり深いバンク角を生かしてヒラリヒラリと走り抜けます。
変速を自分がしなくてもいい分、ブレーキングや車体を倒すことに集中できるのがいいですね!
スペック的にも750ccの車両としてはそれほど高くない54psという出力ながら、それ以上に速さを感じました。

最後にレビューをまとめると、DCTによる自動変速とスタイリングの先進性、アドベンチャー+スクーターの個性、燃費の良さとライディングの楽さという実用性、そのどれもがうまくバランスした稀有なバイクだと感じました。
惜しむらくはその車両価格が120万円オーバーと高額なことから、それを気軽に感じられないことです。
とは言えその価値は十分にある車両なので、ぜひ一度試乗やレンタルで乗ってみることをオススメします!

車両・撮影協力:株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

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