石油ショックの影響で一度はこの世から消え去る運命にあった2ストロークスポーツバイクであったが、「ナナハンキラー」の通り名を持つRZ250の登場で大復活。
その後レプリカブーム到来に伴い、各社の開発競争は空前絶後の激しさを見せる。1年単位でのモデルチェンジは当たり前となり、しかもその度に性能が「劇的に向上する」という事を各社が繰り返していた為、ライバルよりも優位に立つべく、どんどん過激さを増していった。
各地の峠には毎晩のようにライダーが集い、疾走った。コーナリングを見に来るギャラリーも増え、レプリカブームに終わりが来る日など誰も想像していなかったのではないだろうか。
中でも2サイクルレプリカは車重が軽い上にパワーも出ており、4サイクル4気筒のビッグバイクではリスクが大きすぎて太刀打ちできなかった。
今回は当時特に人気だった4車種をピックアップしてご紹介する。
目次
HONDA NSR250R 新車・中古車をさがす
日本の2サイクルレプリカの代名詞とも言うべき存在。
最大限にそのスペックを引き出すことを可能としたバランスのとれた車体&構成パーツは、常に最高の技術が注ぎ込まれ進化し続けてきた。峠、レース、ジムカーナなどあらゆる場面で秀でた能力を発揮し、ライダーの良きパートナーであり続けた。また、現在でも憧れのバイクの1台として人気は衰えない。
程度の良い車両は年々少なくなり、あっても高価な状況ではあるが、どうしても欲しいのなら多少高価でも良い状態のものをゲットしておきたい。
YAMAHA TZR250 新車・中古車をさがす
■前方排気パラレルツイン型(1KT、2XT)
〇:とてもフレンドリーなポジション。
〇:まだゴム板のようになる前のシートは乗り心地が良い。
〇:細いバイアスタイヤは公道で使用する際に路面の影響を受けにくい。
〇:現代にも通用する抜群のハンドリング。
〇:大型カウルは日常的に防風効果の恩恵に預かれる。
〇:シート高がとても低いので足付き性抜群。
〇:RZ250のように神格化されていない為、程度の良い個体が非常に多い。
×:生産終了になっている純正部品が多く、そろそろ重要部品の入手も不安。
×:レプリカとしては最後のフロントシングルディスク。
■後方排気パラレルツイン型(3MA)
〇:何は無くとも後方排気が素敵!
〇:高回転時の快音っぷりは歴代最高!
×:ピーキーなエンジン特性。特に乾式クラッチのSPモデルはスタートが大変
×:ゆっくり走っているとシートカウルにある排気管先端からオイルが垂れ、ナンバープレートが汚れる。
×:飛ばして走っていると飛散したオイルが走行風に巻き込まれて背中に黒いシミが出来る。
×:全体的にモッサリとしたハンドリング。安定感があるとも言うが・・・
×:流通数が少ないうえに、強烈なファンも多いために市場価格は高め。
×:生産数が少なく、年式のわりに補修部品の入手に困る事が多い。
×:ヤマハ伝統のナックルガードを装備した最後のモデルだが、転倒すると割れやすい。
■V型(3XV)
〇:低速からトルクがあり、とても乗りやすい。
〇:2ストロークレプリカの最終形で性能は抜群。
〇:マイナーチェンジで長く発売されていた為、部品の入手が比較的容易。
〇:YZF-R1に通じる、現代的なハンドリングを初めて実現したバイク。
〇:フレームが塗装されている為腐食に強い。
×:下向きのシリンダー側がかぶりやすい。
×:2ストロークV型2気筒特有の低く濁った排気音は好みが分かれるところ。
SUZUKI RGV250Γ 新車・中古車をさがす
軽い、安い、速い と三拍子揃ったRGV250Γ。
他社の2サイクルレプリカに比べると、やや不人気だった為か相場は安めなのでファンには嬉しい。
中古パーツ相場も比較的安価なので、メンテナンスにかかるコストを抑えやすい。
通称「おたふくソース」と呼ばれる排気デバイスのオイルたまりが定期的に起きるので、それを抜く必要がある。これは対策品も出ているので、それを活用するのも良いだろう。
VJ21AとVJ22Aは流用可能なパーツが多い。特にホイールとチャンバーは流用される事が多い。
aprilia RS250 新車・中古車をさがす
イタリアのバイクメーカーaprilia(アプリリア)が誇った2サイクルレーサーレプリカ。
スズキ RGV250Γ(VJ22A)をベースとしたV型2気筒エンジンを搭載しているため、エンジン関連パーツはガンマとの流用が可能。
「イタリア製で上品な高級バイク」と言わんばかりのデザインは圧倒的で、峠に集う国産ライバル車の中に入ると一際目立ち妬まれた(と記憶している)。