
2月のある日。AM 7:00、芦ノ湖スカイライン。
今シーズンの初ツーリングとして選んだのはやはりこのルートだった。
XJR1300を自販機前の駐車スペースに滑り込ませ、かじかんだ手を暖めながら缶コーヒーを啜る。
エンジンが冷えるとともに「キンッ、キンッ」という甲高い金属音を奏でている。
このバイクに乗って10年が経とうとするが、ツーリング先での一服とともにフィンが刻まれたエンジンの造形を眺め、エンジンが奏でる音を聞きながら飲むコーヒーは格別だ。
確かに、技術が進化し、電子デバイス満載のトンガッたバイクはそれはそれで素晴らしい。
だが、シンプルなメカニズムの空冷エンジンはエンジンそのものが機能美と独特の佇まいを備えている。
数値では表しきれない眼や耳に訴える官能というのもライダーにとっては重要だ。
同じ排気量ならばスペック上の数値は水冷の方が優秀である。
しかし、逆説的だが空冷エンジンのバイクはエンジンが主役なのだ。
騒音や排ガスの規制によりメーカーも空冷モデルをラインナップさせるのは難しくなってきている。
いずれ空冷モデルがなくなるとは考えたくないが、次のバイクも空冷を選んでしまうような気がする。
目次
KAWASAKI ゼファー1100 新車・中古車をさがす
1990年のゼファー750に遅れること2年、ゼファー1100が登場。
1996年にはスポークホイールでクラシック感を高めたゼファー1100RSが登場した。
2007年モデルを最後に1100、750ともに生産終了となった。
エンジンは初代のゼファー400と同じく、2バルブのDOHCエンジンとなる一方で、1気筒あたり2本のプラグを持つツインプラグという点火システムにより8本のプラグとプラグコードが使用されている。
曲面が活きた外装は非常に美しくZシリーズの血縁であることが伺えるが、タンクのエッジや専用のグラブバーなど、ゼファー1100ならではの形状もファンにはたまらない魅力になっている。
フルノーマルではどっしりと安定感のある乗り味を感じるが、カスタム次第で強烈なパワーと軽快さを発揮し、草レースの空冷カテゴリーではトップ勢に含まれる定番マシンへと変貌する。
カスタムパーツも群を抜いて多く、世界に一台自分だけのカスタムバイクに仕上げるユーザーが後を絶たない。
HONDA CB1100 新車・中古車をさがす
東京モーターショー2009に登場したCB1100は瞬く間に話題を集め、発売と同時に大ヒットとなった。
時代に抗うかのようなクラシカルなデザインだけではなく、機構的にも空冷エンジンと前後18インチホイールを採用したこのバイクは、現代の国産リッターネイキッドとしては異色の存在だ。
排ガスや騒音規制などをクリアしながら、空冷にこだわったコンセプトを商品化したホンダに喝采を送ったライダーも多いだろう。
2014年モデルからはミッションが6速化し、エンジンの熟成が図られたほか、2本出しマフラーにスポークホイール、専用デザインのシートとSTD比3リットル増の17リットルの専用タンク装備した特別仕様のCB1100EXが2014年4月から発売される。
元祖CBとも言えるCB750フォアを彷彿とさせる、クラシックなイメージがより高まった。
STDで244kg、EXで257kgと車重は決して軽くないが、車体はスリムでコンパクト、シート高765mmと足つき性も抜群だ。
量産車初の時速200km達成、前後ディスクブレーキ採用という当時の最先端バイクであったCB750フォアとは異なり、現代のCBはマシンにせかされることなくレイドバックしたライディングでバイクの良さ、楽しさを思い起こさせてくれる1台だ。
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YAMAHA XJR1300 新車・中古車をさがす
ロングセラーのSR400しかり、クルーザーのビラーゴやドラッグスターしかり、ヤマハは空冷エンジンモデルを重要なアイコンとして守り続けてきた。
それはビッグネイキッドバイクも同様で、各社がラインナップを拡充し、各メーカーがリッタークラスのネイキッドの拡充をしていた1990年代、ヤマハが開発したのが空冷エンジンのXJR1200だ。
1994年に登場し、1998年に排気量を拡大し、XJR1300となった。 XJR1200のデビューから20年かけて熟成されてきたモデルだけに、バイクとしての完成度は高い。
フルアジャスタブルのオーリンズ製リアサスペンション、剛性の高いモノブロック構造のフロントブレーキキャリパー、腰を積極的に動かすスポーツ走行とタンデムやロングツーリングの快適性を両立させたシートなどシチュエーションを選ばずライディングを楽しむことができる。
エンジン特性は、ライバルで水冷エンジンのCB1300と比べるとピークパワーを発生する回転数は1000rpm高い8000rpmという高回転型だ。
アナログのメーターは8000rpmが12時位置に置かれ、レッドゾーンの9500rpmまで水冷エンジンかと思うぐらいにスムーズに吹け上がる。
空冷エンジンのため真夏に高回転を維持するような走り方は熱的に厳しいところもあるが、季節に応じてエンジンオイルの粘度を変えてオイル管理をしっかりして欲しい。
DUCATI MONSTER1100/S 新車・中古車をさがす
初代モンスターの登場は1992年。
当時のドゥカティは「打倒日本製4気筒スポーツバイク」を掲げたヨーロッパからの刺客と認識されており、セパハンとフルカウルが当たり前の装備だった。
そんな中、突然発表されたネイキッドモデルは多くのドゥカティファンを驚かせた。
最初期型は水冷スーパーバイクの888系フレームに空冷2バルブの900SS系エンジンを合体させただけとも言える強引な車体構成が特徴。
それまでのカウルの無いバイク=優しいバイクという、先入観を覆すジャジャ馬っぷりを発揮していた。
フルフローター式のモノショックユニットや、倒立式フロントフォークなど、それまでの「ネイキッド」というジャンルとはかけ離れた装備で、スパルタンさではピカイチだった。
モンスターは年を追うごとに洗練されて行き、基本骨格である車体も888系からST系に変更されたほか、4バルブエンジンを積んだハイパワーモデルなども登場し、乗りにくいだけの怪物から、正しくスポーツとして楽しめる怪物へと進化していった。
2008年にフルモデルチェンジ。
別車種をルーツとしない、専用フレームを初めて与えられ、それまでとは次元の違うフレンドリーさを実現。
カタログスペックには現れないポテンシャルを持っている。
回せば回すほどエンジン振動が無くなっていき、スロットルを開けた分だけリニアにトルクが出る。