
文/Webikeスタッフ:アキヒト
目次
【ヤマハ YZF-R6】
ディテール&試乗インプレッション
フルモデルチェンジしたYZF-R1の後を追うように2017年に登場した新型YZF-R6。
前モデルから7年近くモデルチェンジを行ってこなかっただけに、今回のモデルチェンジに期待がかかります!
そもそもミドルスーパースポーツにおいて、レースの世界ではモデルチェンジ前から敵なしに近い状態でした。
今回のモデルチェンジで更に熟成されたR6はどこまで他車を圧倒するのでしょうか?
今回は新型YZF-R6の変わった部分について見ていきます!
R-DNA
前モデルまでのR6は、跳ね上がったテール周りと尖ったアッパーカウルが特徴的なデザインでしたが、新しくなったデザインは一目で新型R1のDNAを受け継いでいるとわかります。
アッパーやテール周りもR1をモチーフに、新デザインのヘッドライトとテール周りが採用されました。
デザインの変更に合わせてシートレールもマグネシウムダイキャスト製の新シートレールに変更。シート前端部は前モデル比で20mmもスリムになりました。
カウルデザインだけでなく、足回りなどに新型R1と同じパーツが使用されているところも見逃せませんね。
これまでもヤマハの「R」シリーズの1台としてミドルスーパースポーツの頂点に君臨していましたが、新型R1から生まれた新たな「R」シリーズのDNAを、このR6はしっかりと受け継いでいます。
【全長/全幅/全高】
2,040mm/695mm/1,150mm
【車両重量】
190kg
YZF-R6のシート高、足つきをチェック
【シート高】
850mm
【足つき】
モデルチェンジでシート高に変化はありませんが、元々R6のシート高は同クラスと比較しても高めでした。
足つきも173cmの私が跨ってみると両足の踵が少し浮くくらいの足つきでした。
ただ、慣れるまではシート高以上にハンドル位置の低さが気になるかもしれませんね。
ハンドルを握ると画像でもわかるくらいに体が「く」の字になります。
YZF-R6の灯火類をチェック
【ヘッドライト】
灯火類は全てLEDに変わり、ミラーと一体型のウィンカーが採用されています。
ヘッドライトやウィンカーは新型R1と類似した部分になりますが、ポジションランプはR1以上にエッジが効いていて更にカッコよくなっています!
【テールライト】
テール周りも全てLEDを採用。
テールライトの形状はR1と似ていますが、ウィンカーの位置がテールランプ下からライセンスランプの近くに変わっています。
YZF-R6のメーターをチェック
メーターはアナログのタコメーターとデジタル表示のスピードメーター、水温計、距離、時計。そして新たにシフトインジケーター、D-MODEとTCS(トラクションコントロールシステム 以下TCS)の表示が追加されています。
タコメーターの6000rpm部分が【R6】と書いてあるのは、前モデルから引き続きですね。
メーターの表示切り替えは動画でどうぞ!
YZF-R6のスイッチ類をチェック
新たに追加されたD-MODEとTCSは左右のスイッチで設定します。
エンジンの出力を調整するD-MODEは右スイッチの【MODE】ボタン切り替えます。モードは「A」「STD」「B」の3種類から設定が可能。
左スイッチの灰色のボタンでTCSの設定を変更できます。設定は6段階とOFFから選ぶことが出来ます。
QSS(クイックシフトシステム 以下QSS) はアップのみですが標準装備となったことで、シフトロッドにも専用のセンサーが取り付けられました。
YZF-R6の足回りをチェック
【タイヤサイズ】
フロント:120/70ZR17M/C(58W)
リア:180/55ZR17M/C(73W)
フロントホイールにはYZF-R1Sと同じアルミ製キャストホイールを装備しています。
リアホイールはこれまでのホイールをベースに、速度検出用センサーが追加されました。
【ブレーキ】
フロントブレーキには新型R1と共通の外径320mmディスクローターと新設計のアルミ製モノブロック対向4ポッドキャリパーを装備。これまでの310mmディスクローターから10mm大径化されました。
マスターシリンダーも、これまでのブレンボ製セミラジアルマスターシリンダーからニッシン製ラジアルマスターシリンダーへと変更されています。
リアブレーキは外径220mmディスクローターとアルミ製1ピストンピンスライド方式キャリパーを装備。
【サスペンション】
フロントフォークもこれまでのφ41mm径インナーチューブから、R1と同じくφ43mm径インナーチューブのKYB製倒立式フォークを装備。同じくフォークトップでプリロードと減衰の調節が可能です。
フォークは共通でも、適切な減衰となるようR6専用にセッティングされています。
リアサスペンションもKYB製の減衰調整機能付きリアサスペンションを装備。R6には車高調整機能はついていませんでした。
YZF-R6のマフラーをチェック
最高出力:87.1kW(118.4PS)/14,500r/min
最大トルク:61.7N・m(6.3kgf.m)/10,500r/min
今回のモデルチェンジでは、エンジン自体に大きな変化はありませんでしたが、前モデルでは最高出力:124ps/14500rpmのところ、カタログ値で約6psもパワーが下がっていました。
これはEURO4の規制対応による影響で前モデルから少しパワーダウンを受けています。
それでも16000rpmまで楽々回る高回転エンジンは健在で、サーキットなど全開走行をメインに考えられたバイクに違いはありません。
ただ、D-MODEの追加により、街中やワインディングに適したパワーに設定することで、前モデルよりも多くのシーンで走りやすくなっています。
もちろん、直列4気筒エンジンの高回転で発せられる、独特の甲高いエンジン音もライダーの気持ちを高ぶらせますね!!
YZF-R6のタンクをチェック
R6のタンクも軽量化のためにアルミタンクを装備。タンクだけでも1.2kgの軽量化がされています。
タンク容量も17Lと少なくはないので、ツーリングにも問題なく行けますね。
それ以上にポジションがキツくてライダーが先にダウンしてしまいそうですが…
タンクの形状もR1に似たデザインとなり、タンク先端には【R6】の文字が入っています。
YZF-R6のシートをチェック
R1に似たポジションの自由度が高いシート形状を採用。
タンデムシート下のスペースは書類が入るくらいしかありませんでした。備え付けられている6角レンチを使ってメインシートを外します。
YZF-R6の気になるお値段は!?
税込価格:1,566,000円(本体価格:1,450,000円)
※プレスト参考小売価格
装備の変更がメインとなった今回のモデルチェンジですが、販売価格は約15万円アップといったところでしょうか。
上位グレードと共通パーツをいくつも装備し、電子制御まで追加されてこの価格は、むしろ価格を抑えられた印象を受けました。
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スパルタンな走りはそのままに、新たに電子制御を味方につけた
今回のYZF-R6のモデルチェンジで1番の肝は、電子制御(TCS、QSS、D-MODE)が追加されたことですね。
既に高い完成度であったエンジンと、超攻撃的なライディングポジションはミドルスーパースポーツクラスでは一歩抜き出た存在でした。
その地位を確固たるものにするために電子制御が追加され、正しく鬼に金棒の状態です!
特にリアタイヤのトラクションを効率よく引き出すTCSは、路面状況に合わせて点火時期・燃料噴射量・スロットル開度(YCC-T)を統合制御し、滑らかな発進・走行を手助けしてくれます。
更にTCSは好みに応じて介入度を6段階とOFF設定(介入度ゼ口)に設定ができます。更に、タイヤの摩耗による接地半径変化や、グリップ力変化などに対しても自動で補正してくれる優れもの。
よく「600ccは上まで回さないと走らない」と言われますが、立ち上がりや高速域ではわかっていても中々スロットルを開けきれない方も多いのでは?
このTCSはより安全に、そして確実にスロットルを開ける手助けをしてくれる強い味方と言えますね!
近年、各社で新型のミドルスーパースポーツが登場していないため、興味のある方はこの新型YZF-R6はアリの1台ですよ!
ポジションのキツさにはそこそこの覚悟が必要ですが…
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