文/Webikeスタッフ:アキヒト

【ホンダ CRF450L】
ディテール&試乗インプレッション

8月23日にリリースされたCRF450L。
モトクロッサーCRF450Rをベースに、公道走行に必要な保安部品を纏って登場しました。
外観はCRF450Rと同じエクストリームレッド一色と、CRF450Rと7割のパーツを共有しながらも法規制に対応したパーツは完全新設計というこだわりっぷり。
それ以上に大勢の方が販売価格とカタログの馬力を見て驚き、一般のライダーにとっては正に「どのようなバイクなんだろう?!」と疑問だらけなのではないでしょうか?

そんな話題のCRF450Lに今回試乗する機会がありましたので、皆さんが気になっているアレコレを徹底インプレしてきたいと思います!
「公道走行可能なレーサー」とまで言われているCRF450L。公道やオフロードでの走りはどんなものなのか?その実態に迫ります!!

フォルムこそ【R】だが、公道走行に対応した専用設計が各所に

メインフレームはCRF450Rをベースにしたアルミ製フレームを採用されていますが、公道走行に対応するためにピボット周辺の形状やヘッドパイプ周りは専用設計となります。サブフレームも保安部品の装着に合わせて専用設計になっています。

スイングアーム周りでは、公道での使用に対応した小型のチェーンカバーを装備し、チェーンスライダーも耐磨耗性と耐久性を追求した素材を採用しています。
駆動系も純正スプロケットとチェーンは公道走行時の騒音を低減するように配慮されたものが装着されていました。

他にも水回りでは公道走行のストップアンドゴーによる水温上昇に対応するため、専用の大型ラジエーターと電動ファン、サーモスタットを装備。

公道仕様にあたり、【R】には無かったサイドスタンドを装備。ただ装備するだけでなく、ライダーがサイドスタンドを掛けたまま座る事を考慮して、根本に頑丈な素材を使用していたことには感心しました!

外観をチェックしただけでもただ保安部品を着けただけでなく、公道を走る為に様々な工夫、改良が施されていました。
見れば見るほどにメーカーの公道走行に対応させることへのこだわりが伝わりますね!

【全長/全幅/全高】

2,280mm/825mm/1,240mm

【車両重量】

131kg

▲樹脂製のアンダーガードを標準装備
▲アンダーガードはエンジン下部を覆っている
▲アルミ製サイドスタンドを装備
▲スタンドを払うとこんな感じ
▲スタンドの根本も頑丈になっている
▲トップブリッジには【HRC】のマークが

CRF450Lのシート高、足つきをチェック

【シート高】

895mm

【足つき】

シート高が895mmはオフロードのレーサーにしては低いようですが、公道を想定して跨ってみるとやはり足つきは微妙でした。
身長173cmの私が跨って両足つま先立ちでしたが、身長161mmのスタッフが跨ると、両足は宙に浮いていました…
座る位置を極端にずらしてやっと片足のつま先が着くぐらいだったので、公道を走る時は要注意ですね。

▲シート高:895mm(スタッフ身長173cm)
▲シート高:895mm(スタッフ身長161cm)

CRF450Lの灯火類をチェック

【ヘッドライト】

新設計のヘッドライトにはLEDを装備。コンパクトなだけでなく視認性も高いので、夜間の走行も安心でした。
何よりヘッドライトが軽いので、ハンドリングにも影響ありませんでした。

▲ロービーム
▲ハイビーム

【テールライト】

テールライトもLEDを採用しています。
前後のLEDウインカーは、転倒時のダメージを考慮してフレキシブルラバーマウントを装備。画像のように曲げても全く問題ありません!
ライセンスブラケットも専用設計のアルミ製軽量ブラケットを装備。

▲アルミ製軽量ブラケットを装備
▲ウィンカーはここまで曲がっても大丈夫
▲ブレーキ握ってない
▲ブレーキ握りました

CRF450Lのメーターをチェック

軽量コンパクトな液晶メーターを採用。
表示される情報もスピード・ODO・トリップ・時計に各種インジケーターランプと最低限にしぼられています。

CRF450Lの足回りをチェック

【タイヤサイズ】

フロント:80/100-21M/C 51P
リア:120/80-18M/C 62P

ホイールはDID製のアルミリムを装着していますが、ビードストッパーはありませんでした。
ビードストッパーが無いことで、走行シーンによっては空気圧の調整に気を遣いそうですね。

▲フロント:80/100-21M/C 51P
▲リア:120/80-18M/C 62P

【ブレーキ】

フロントブレーキは2ポッドキャリパーと焼結メタルパッドを装備。ディスクローターも悪路を想定してガードが装着されていました。
リアブレーキはCRF450Rと同じリザーバータンク一体型のマスターシリンダーを装備しています。

【サスペンション】

サスペンションは前後ともCRF450Rをベースにしているが、味付けは公道走行も考慮して専用セッティングとなります。
前後とも各種セッティングが可能なので、好みや状況に合わせて変更も可能ですね。

CRF450Lのエンジンとマフラーをチェック

最大出力:24ps/7,500rpm
最大トルク:3.3kgf・m/3,500rpm

450ccながら250cc並みのパワーに疑問を覚える方も多いと思われますが、実際に乗ってみるとパワー以上にそのトルクに圧倒されてしまいました。
これでパワーがあったらと思うと、正直公道なんて走れたもんじゃないとすら思うぐらいです…

CRF450Rのエンジンをベースにしたユニカムバルブトレイン採用449cm3・水冷4ストローク4バルブエンジン。
クランクの慣性質量を12%増量、ロッカーアームの専用設計によるフリクションを低減、バルブタイミングの見直し、圧縮比を13.5から12.0に下げるなど、レスポンスを良くしながらも公道走行でも扱いやすいように改良されています。
他にもピストンもピストンリングを2本から3本に増やした専用品を採用し、耐久性を上げながら環境にも配慮したものになっています。

ミッションはCRF450R/RXでも使用している高強度材を採用しながらも6速ミッションを採用。巡航時にも走りやすいようにCRF450Rのミッションから変更されています。

マフラーもCRF450Rでは2本出しでしたが、環境規制に対応した1本出しを装備。

【気になる排気音をどうぞ!】

CRF450Lのタンクをチェック

樹脂のカバーで覆われていますが、7.6Lのチタン製燃料タンクを装備。樹脂製のタンクでは公道走行に対応出来ないため、チタン製にすることで軽量化を行っています。
タンクキャップも専用のキー付きのキャップが装着されています。レーサーは鍵が無く、そのままキャップが回ってしまうので、保管時などには安心ですね。
もちろん燃料はハイオク指定。

▲チタン製のタンクがチラっと見えています
▲キャップは鍵付きを採用

CRF450Lのスイッチ類をチェック

ハンドルバーはレンサル製のブラックバンドルとバーパッドの組み合わせ。トップブリッジも公道走行に適応した専用品。
公道走行に必要なスイッチ類をコンパクトにまとめられていて、ハイローとパッシングが一体となったスイッチや、キルスイッチの押し間違いを防ぐ作りになっています。

CRF450Lの気になるお値段は!?

メーカー希望小売価格(消費税込み):1,296,000円(消費税抜本体価格 1,200,000円)
※2018年10月現在の販売価格

1番の話題になっている販売価格。約130万の販売価格に、メーカーより3万キロごとに腰上のオーバーホールと腰下の点検を推奨するのだがら維持費も中々。かなりライダーの的を絞った車両だと言えますね。

CRF450Lで色々と走ってみた!

今回、より詳細な走行インプレをお届けするために、ウェビックのオフロード部としてレースにも参加しているスタッフに試乗をお願いしました!
オフロードライダーの生の声をたっぷりとお聞きください。

【ライダー自己紹介】
今回は、オフロードを少しかじった私が試乗させていただきました。

私のオフロードバイク歴は、乗った順に、CRM250、RH250、RMX250SW、WR250R、TE250(Husqvarna)と、2st250が多く、4stはWR250Rだけです。
WR250Rに乗っていた頃から、いま人気のクロスカントリー(WEXやJNCCなど)にちょこちょこ参戦し始めました。TE250に乗り換えてからは、JECライツや石戸谷蓮選手主催のハードエンデューロにも参加させていただきながら、オフロードの幅を少しずつ広げています。

そんな私が感じたCRF450Lについて書いていきたいと思います。

※私の体形:体重62kg、身長185cm

【中~上級者向けのオフロードスポーツ】
「CRF450Lってどういうバイク?」について、いきなり結論から書くと「中~上級者向けのオフロードスポーツ」だと感じました。YAMAHA WR450Fのようなイメージです。
オフロード初心者が林道でトコトコ遊ぶのなら、セローやCRF250Lのようなトレールバイクの方がオススメです。
CRF450Lは、ある程度アクセルを開け、大きなトルクをどんどん使って走らせるところに醍醐味がありそうです。
JEC(全日本エンデューロ選手権)の日高2DAYSや国内外で開催されているラリーのように、"ナンバー登録車で参加するエンデューロ"が、CRF450Lをもっとも楽しく走らせることができるシチュエーションかなと思いました。

【街乗りは丁寧に】
CRF450Lは、とにかくトルクフル。
大型のオフロードバイクは、オンロードバイクに比べて最大トルクが発生する回転数が低めです。
CRF450Lの最大トルクは3,500rpmで発生しますので、街乗りでは早めにシフトアップしていくと走りやすくなります。
トラコンがありませんので、カーブから立ち上がる際には丁寧なスロットル操作を心掛けました。特に雨天時の白線やマンホールを通過する際は、ロードバイク以上に注意しました。

気になった点としては、アイドリングが高めに設定されている点です。
あまり回転数を下げると、アクセルのオン/オフでのギクシャクが一層強くなってしまうためだと思いますが、アイドリングが少し高い。そのため、クラッチを繋ぎっぱなしだと小さな交差点の右左折で速度が速すぎることがありました。クラッチでスピードを調整しながら丁寧に曲がります。街乗りに関しては、WR250RやCRF250L、そしてセローのようなトレールバイクの方が扱いやすいです。

【オフロード走行】
・WR250Rと比べて
はじめに、以前私が乗っていたWR250Rと比較してみます。左がCRF450L、( )がWR250Rのスペックです。

シート高 :895mm (895mm)
車両重量 :131kg (132kg)
最大出力 :24ps 7,500rpm (31ps 10,000r/min)
最大トルク:3.3kgf・m 3,500rpm (2.4kgf・m 8,000rpm)

シートの高さ(足つき)はWRと同じですので、フルサイズの競技専用車に比べればとても低いです。
車両重量はWRより1kg軽いだけなんですね。逆に驚きました。取り回しやオフロードを走っている時の感覚は、WRよりも遥かに軽く感じたからです。

・オフロードではタイヤは替えたい
今回は前後とも純正タイヤで、空気圧はフロント0.7、リア0.6に設定して走行しました。前後ともビードストッパーはありません。
林道のような道を流す程度では、大きな問題はありません。
しかし、私のテクニックにも問題があったのだと思いますが、もう少しアクセルを開けて楽しみたい時や、狙ったポイントでフロントアップさせたいという場面では、純正タイヤがズルッ!とすべってしまうことが多々ありました。
MICHELIN CROSS AC10 のような、オフロードもしっかり遊べるタイヤを履けば、もっともっと楽しく走れることは間違いありません。

・サスペンションはとてもしなやか
私はモトクロッサーのCRF450Rには乗ったことがありませんが、CRF450Lのサスセッティングはとても乗りやすかったです。
ギャップを勢いよく乗り越える場面では、リアショックの伸びはもう少し固くても(遅くても)良いかなと感じましたが、その他の場面では丁度よく動いてくれて、とても安心感がありました。
私は体重が62kgと軽めなので、エンデューロっぽいコースではソフトスプリングの方がさらに良さそうです。

・ガレ場
大小の石がある路面では、平坦な路面、登り坂、下り坂を含めて大きな問題はありませんでした。
トルクがあるので、グイグイクリアしていきます。
純正タイヤの今回は、2速発進の方がスムーズにスタートできる場面が多くありました。

【まとめ】
撮影時間も含めて、今回は約5時間ほどオフロードを走りました。
私個人の意見としては、やはりオフロード初心者には難易度の高いバイクだと思います。
130万円もするバイクですので、もっと乗りやすいトレールバイクなどで練習をして、オフロードに慣れてから検討する方が良いかもしれません。
オフロード中~上級者の方で、「日高いくぞー!」「ラリー出るぞー!」というような、登録が必要なレースに参戦するマシンの候補として。または、「険しい林道を走破する!」という方には、是非候補に入れていただきたい。そんなバイクでした。

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いかがでしたでしょうか?
色々と気になるCRF450Lでしたが、気になる方は実車も是非見てみてくださいね!

撮影協力:株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

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諸費用

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本体

121万円

価格帯 112.21~129.8万円

諸費用

19.59万円

価格帯 10.8~28.38万円


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