
【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】
アプリリアから新時代のミドルスーパースポーツが登場した。
「RS 660」は最適なパワーウェイトレシオに基づく新しいコンセプトのスポーツモーターサイクルだ。サーキットだけでなくストリートでも気軽にスポーツライディングを楽しめるモデルとして開発されたという。
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◆【新車】アプリリア、新型エンジンを搭載した「RS 660」を発表
目次
RSV4の前半分を切り取ったような並列2気筒
最高出力100ps/10,500rpmを発揮する新開発の水冷並列2気筒660ccエンジンはアプリリアが誇るスーパーバイク、RSV4に搭載される V4エンジンのフロント側だけ切り出したようなコンパクト設計で、ボア・ストロークもV4同様の値(63.9mm×81mm)を採用。
もちろんEuro 5対応だ。最大トルクの80%を4,000rpmで発生、6,250rpmには最大トルクの90%を発生するというトルクフルとでフラットな出力特性が与えられ、270度クランクによる鼓動感のある走り楽しめるはずだ。
軽量コンパクトにこだわったハンドリングマシン
車体もコンパクト設計にこだわり、エンジンをアルミ鋳造製ツインスパーフレームの強度部材として利用するとともに、同じくアルミ製スイングアームもピボット部をエンジン後端部に設けることで、ロングスイングアーム化しつつも1370mmのショートホイールベースを実現。
リヤショックもリンクレスの直押しタイプとするなど、徹底した軽量コンパクト化が図られている。結果として車重も183kg(乾燥重量169kg)に抑えられ、ライトウェイトを武器に優れたハンドリングと扱いやすさを実現したという。
足まわりはφ41mm KYB製アジャスタブル倒立フォークにブレンボ製ラジアルマウントキャリパーとφ320mm ダブルディスクを採用。前後17インチホイール(120/70-17、180/55-17)にはピレリ「Diablo Rosso Corsa II」をOE装着するなど、ストリートでの扱いやすさと安全性、サーキットパフォーマンスを両立させている。
RSV4譲りの最新電子デバイスをフル投入
また、RSV4同様のAPRC電子制御パッケージを搭載。マルチマッピングを導入したライド・バイ・ワイヤと6軸慣性プラットフォームを採用し、5種類のライディングモード(内2つはサーキット専用モード)をはじめ、ATC(トラコン)、AWC(ウィリーコントロール)、ACC(クルコン)、AQS(アップ&ダウン対応クイックシフター)、AEB(エンブレ調整)、AEM(エンジンマップ)など多彩な電子デバイスをコントロール。
さらにスポーツ性能を損なうことなくストリートで最大限の安全性を確保する最先端のマルチマップコーナリングABSを採用。4色の新型TFTダッシュボードのパラメータによって完璧に制御される仕組みだ。
また、エアロダイナミック性能を高めた独特のダブルフェアリングにはアプリリア特有のトリプルLEDヘッドライトと新たにコーナリングライト機能を搭載するなど夜間走行の安全性も向上。
さらに追加オプションとしてスマートフォン連動のマルチプラットフォーム機能も利用できるなど、まさに至れり尽くせりの内容となっている。
EICMA2019で見た実車は400cc並みのコンパクトさだった
実は昨年11月、ミラノで開催された「EICMA2019」においてワールドプレミアとしてアンベールされた実車を現地で目の当たりにしたのだが、その美しくデザインされた凝縮感のあるフォルムに心を奪われ、続いて外装からディテールに至る質感の高さや、車体に組み込まれたコンポーネンツのグレード感に感心した。
そして、やはり一番印象的だったのがコンパクトさ。跨ることは叶わなかったが、手の届くような距離から見ても400ccクラスかと見まがうほどのサイズ感。臆せずに扱い切れる100psきっかりのパワーに絞り込んだライトウェイト、そして最新デバイスのサポート付きとくれば「乗ったら絶対楽しそう!」と直感的に思った記憶がある。
RS660の日本での販売価格や発売時期については未発表だが、かなり期待できそうなモデルだけに楽しみだ。
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