
文/Webikeスタッフ:アキヒト
目次
【ホンダ スーパーカブ C125】
ディテール&試乗インプレッション
公表されてから何かと話題となっていたスーパーカブC125。1958年に登場した初代スーパーカブC100がモデルとなっていますが、そのスタイルはどこか懐かしいフォルムなだけでなく、上質さも兼ね備えられています。
スーパーカブは世界生産累計台数1億台を超えるロングセラー車種であり、日本では主にビジネスバイクとしてバイクに乗っていない人でもその名を知らない人はいないと言っても過言ではありません。
しかし、スーパーカブC125はそんな広く知れ渡ったビジネスバイクとしてのスーパーカブとは全く異なる顔を持っています。
このスーパーカブC125は初登場から60周年を迎えたカブシリーズの新たな1ページとなるのか、徹底インプレしていきます!
伝統と上質感の融合
【全長/全幅/全高】
・C125:1,915mm/720mm/1,000mm
・スーパーカブ110:1,860mm/695/1,040mm
【車両重量】
・C125:110kg
・スーパーカブ110:99kg
スーパーカブC125は、デザインのモデルとなった初代スーパーカブC100の特徴的な「鳥が翼を広げたような形」と言われるハンドルデザインを継承しつつ、レッグシールドからリアフェンダーまで繋がったカブシリーズの伝統的なフォルムが守られています。
その中で、これまでのスーパーカブには無いアルミキャストホイールやディスクブレーキ、LEDが採用された灯火類を新たに装着していますが全く違和感を感じさせません。
今回はスーパーカブ110と比較しながら全体を見ていきましょう。
シート高、足つきをチェック
【シート高】
スーパーカブC125:780mm
スーパーカブ110:735mm
【足つき】
これまでのスーパーカブと比較しても、シート高は座った瞬間に感じるほど高くなっています。シート高の変化に対してハンドル位置は従来と変わらない為、ハンドルやメーターの位置が少し低く感じますね。
走行時も自然と上半身が前屈みになりますが、ポジションに違和感はありませんでした。
足つきについても車両が軽いので、つま先立ちになっている身長156cmのスタッフでも楽に車体を支えられました。
灯火類は全てLEDに!
【ヘッドライト】
2018年モデルのスーパーカブ110/50にもヘッドライトはLEDが採用されましたが、C125ではヘッドライトだけでなくウィンカーにもLEDが採用されました。
ウィンカーの形状もC100をモチーフとした楕円形になります。
【テールライト】
テールライトもLEDが採用され、これまでのスーパーカブのテール周りから一気にシャープになった印象ですね。
このテール周りがこれからのスーパーカブのスタンダードになっていくかもしれませんよ!
▲テール周りもLEDになり、テールライトは縦長に変わりました
シフトインジケーターが追加されたメーターにも注目です!
メーターは上質感を伴うクロームメッキの縁に収められています。
表示される情報はアナログスピードメーターとデジタルの燃料計とシフトインジケーター、時計とODOとトリップ切り替えです。
新たに追加されたシフトインジケーターは、走行時にリターン式、停車時にはローター式のミッションを搭載するスーパーカブにはピッタリのアイテムですね!
特殊なギアチェンジとなるので、慣れていない人でも「今ギアが何速に入っているの?」という不安を解消してくれます。
足回りをチェック
【タイヤサイズ】
フロント:70/90-17M/C 38P
リア:80/90-17M/C 44P
足回りでもっとも目を惹くのは、削り出しのアルミキャストホイールです。
これまでの長く親しまれたスポークホイールからキャストホイールに変わったことで、タイヤもチューブレスタイヤになりました。
キャストホイールになっただけでなく、スポークのデザインも今時のスポーツモデルのホイールのように多数スポークが採用されています。
スポークデザインからも、これまでのスーパーカブにあった「ビジネスバイク感」から一歩抜き出て、上品さを感じさせますね!
【ブレーキ】
今までのスーパーカブは前後ともドラムブレーキ搭載が主流でしたが、C125ではフロントにディスクブレーキが採用されています。
当然ながらドラムブレーキとの比較では制動力はバツグンに向上していますが、単にディスクブレーキなっただけでなく、キャストホイールとチューブレスタイヤ、それにサスペンションとの総合的な組み合わせが制動力の向上に繋がっていますね。
【サスペンション】
サスペンションも見たまんま「スーパーカブ」とわかるデザインではありますが、しっかりと路面に合わせてストロークするのが感じとれます。
地面から伝わる感触はキャストホイールになったことで、よりダイレクトになっているのかもしれませんね。
シンプルなハンドルまわりとスマートキー
ハンドルやスイッチの配置などには大きな特徴や変化はありませんが、キーの操作で大きな変更がありました。
ポケットなどキーをしまったままでもイグニッションのON/OFF操作が可能な「Honda SMART Keyシステム」が採用されました!
以前にも新型フォルツァを試乗した際にスマートキーを使用しましたが、鍵を出さなくてもエンジンを掛けられるのは思った以上に楽ですよ♪
ただ、車両とキーが連動する時や、車両から離れる時に車体からアラームがなるのですが、これが思った以上に大音量です…
朝や夜など音を気にする時間帯には少し気が引けてしまいました汗
見かけ以上に変わったシートとタンクをチェック
全体を青色ベースのカラーに統一された中でワンポイントとなっている真っ赤なシートは、クッションも厚めになっていて座り心地も中々のものでした。
一見すると真っ赤なシートに目を奪われがちですが、1番変わっているのがシート下なんです!
スーパーカブのシート下といえば燃料タンクになるのですが、そのアプローチはいたってシンプル。吸盤でくっついているだけのシートを持ち上げればすぐ下には給油口が現れます。
しかし、このC125は同じ感覚でシートを持ち上げようとしてもシートは持ち上がりません。「どうなっているんだ?」とシートの周りをまじまじと観察しているとありました!シートを開けるボタンが!!
シートを開けてみると今までのモデルと同じように給油口が現れました。
タンク容量は3.7Lで燃費はWMTCモード:66.1km/L(クラス 1)と日ごろの足と使うには申し分ない燃費ですね。
給油口にたどり着くと更に見慣れないボタンを発見。何なのかと押してみるとそのボタンはシート横のケースを開ける為のボタンでした!
ケースは書類などが入れられるスペースになっています。
新しくなったエンジンをチェック
エンジンはこれまでのスーパーカブを125ccにボアアップしたものではなく、タイで主流のウェーブ125系エンジンをベースとしています。
ベースエンジンが変わったこともありますが、野太くなった排気音と125ccのトルクフルな感じは、ついついスロットルを開けてしまいますね!
走行時にはリターン式、停車時にはローター式の独特なミッションと、細長いマフラーも従来同様に引き継がれています。
ただ、お気づきの方も多いかと思いますが、このC125はキックペダルが無くなっています?!
現行モデルのスーパーカブにもキックペダルは装着されていただけに、ここの違いに敏感なユーザーも多いのではないでしょうか?
スーパーカブ C125の気になるお値段は!?
2018年10月現在のメーカー販売価格は以下となります。
メーカー希望小売価格(消費税込み)399,600円
今までスーパーカブを見てきた人からすると、色々な装備がついたとしても価格が一気に上がったように思われるかもしれません。
ただ、近年の125ccモデルとして考えるとそこまで差は無く、現実的な価格設定になっていますね。
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C125に乗ってみました!
普段スーパーカブ110で往復40km程度の通勤をしているスタッフが早速C125に試乗してみました。
比較的交通量も多く、流れの早い国道メインです。
まず、跨って感じるシート高の高さ!普段の735mmと比較すると全然違います。
車両サイズや重量に関しては数値ほどの違いをあまり感じませんでしたが、シート高だけは別でした・・・。
スーパーカブ110よりも、クロスカブに近い感覚です。
で、エンジン指導やアイドリングは特別変わった部分も無かったのですが、発進した瞬間のパワーに驚きました。
私自身カブ歴はそこまで長くなく、試乗含めてJA07/JA10/JA44/クロスカブに乗った程度ではありますが、そのどれよりもパワフル。
「110と125でこんなに差が出るのか・・・」と衝撃を受けました。
カブ110であれば、発進後比較的早い段階で2速→3速→4速とシフトアップしていく方が多いと思うのですが、C125に関しては極端に言えば「無理なく引っ張れる」。
カブ110だと苦しい速度も簡単に出る。これは停止状態からのスタート時などでかなり嬉しく感じました。
先頭で信号待ちの時って発進直後は後続車に結構気を使うんですが、C125はその必要なし。普通にスタートして力強く加速するので交通の流れに乗るのも容易です。
先日試乗したモンキー125やグロムと似た感覚。
カブにしてはなかなかスポーティな走りをするなぁという印象です。
そして何より感動したのが制動力の高さ!
私が乗っているのはJA10なのでドラム径が小さいんです。ですので、それと比べると本当によく止まる。
先述の通り、排気量UPしたことでパワフルになっている分、制動力の不安が解消されているのは非常に嬉しいですね。
自分のカブもディスク化したい・・・と思ってしまうほどでした。
乗ってる時にこれといった不満はありませんでしたが、あまりにもこれまで乗っていたカブと走り心地が違いすぎて戸惑いがあったのは事実です。
慣れてしまえばどうでも良いことなんですが、最初はやっぱり「カブっぽくない・・・」なんて思ってしまいました。
走ってるうちに「でもこれはこれで楽しいぞ!」と思って走り続けてました。
あとはもうとにかく高級感のある佇まいなので所有感を満たしてくれます。ビジネスバイクっぽさは無くなったので、保管には気を使うなぁと心配になりました(笑)
それら全部含めて「カブらしくない」のもC125の魅力なのかと思います。
余談ですが、自宅まで乗って帰る途中の信号待ちでC125と並び、一人で喜んでしまいました。
この記事を読んで気になった方は是非、実車も見てみてくださいね!!
撮影協力:株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
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