文/Webikeスタッフ:リュウ

【ヤマハ NIKEN】
ディテール&試乗インプレッション

【Alpen Master by LMW】というコンセプトの元登場した「NIKEN」。トリシティ125/155に次ぐ、フロント二輪のLMW第3弾です。
2018年9月26日に実施されたメディア向けの試乗会にて一足先に乗ることができたので、インプレをお届けします。

車両サイズ

車両サイズはひと目見て、まずフロント周りが非常にゴツい。
そもそもタイヤが2つあるので当たり前ではあるんですが、改めて見ると本当にボリューミー。
同じLMWのトリシティ125、同排気量のMT-09と比較してみます。

【全長/全幅/全高】

・NIKEN:2,150mm/885mm/1,250mm
・MT-09:2,075mm/815mm/1,120mm
・トリシティ125:1,980mm/750mm/1,210mm

【車両重量】

・NIKEN:263kg
・MT-09:193kg
・トリシティ125:159kg

トリシティはあまり参考にならないですが、MT-09と比較してもいかに車体が大きいかわかります。
特に横幅が全然違いますね。
車両重量が263kgなので数字だけ見るとちょっと身構えてしまいますが、跨ってみると意外とその重さを感じません。
押し引きはさすがに重いんですけどね。。。

▲NIKEN
▲トリシティ125
▲NIKEN
▲トリシティ125

ちなみにこのNIKENですが、サイドスタンドを取った状態では自立しません。
あくまでも走行中の安定感が増すのであって、停止時は普通に倒れます。

NIKENの構造はどうなっているのか?

カウルを外した状態で、NIKENの構造を見てみましょう。
なんと言っても目玉は新設計のステアリング機構「LMWアッカーマン・ジオメトリ」でしょう。
最大バンク角を45度に設定し、【2軸ステアリング・外側倒立フォーク・15インチフロントタイヤ/410mmトレッド】を採用することで、自然な操縦性とリーン特性を生み出しています。
従来のアッカーマン・ジオメトリだと、深くリーンする程にそれぞれのタイヤの動きが反することになってしまい、適切な挙動をしなかったそうです。
これを今回LMWアッカーマン・ジオメトリを採用することによって、深くリーンしても両方のタイヤが同心円を描きながら進むことが可能になりました。
トリシティでは内側にあったフロントフォークを外側にしたのはクリアランス的な問題もあるそうですよ。

NIKENのシート高と足つき

シート高自体はMT-09と同じ820mmですが、シート幅が広いために足つき性はMT-09よりもやや厳しめ。
身長170cmのスタッフではつま先立ちで、180cmの私で両足かかとが地面に着く感じです。
先述の通り、跨ってしまえばあまり重さを感じなかったのが救いでしょうか。

▲シート高820mm(スタッフ身長170cm)
▲シート高820mm(スタッフ身長180cm)

NIKENの灯火類

NIKENの灯火類は全てLEDが採用されています。
MT-09ではウインカーのみバルブでしたが、NIKENはウインカーもLEDになっています。

【ヘッドライト/フロントウインカー】

フロントウインカーはミラー内臓のものでスッキリした見た目。
ヘッドライトはロービームで外側の2灯点灯。ハイビームで内側の2灯が追加されて4灯が点きます。

▲ロービーム
▲ハイビーム

【テールライト/リアウインカー】

テールライトはMT-09と共通のものです。リアウインカーもLEDです。

▲テールライト:無点灯

▲テールライト:キーON
▲テールライト:ブレーキ握った状態

視認性の高いネガポジ反転液晶メーター

NIKENのメーターは昼夜ともに非常に見やすく、表示内容も豊富です。
「速度計、タコメーター、モード、トラコン、シフト表示、燃料計、時計、ODO、トリップ、平均燃費、水温、外気温」が表示されます。
基本的にメーター内表示の切り替えは手元のスイッチで行いますが、面白いことにトラコンの切り替えだけはメーター付属のボタンで行います。

▲TCSというボタンがメーター下にあります

ハンドル周り

先述の通り、メーター表示を手元で切り替えるためにハンドル周りはスイッチ類が多く存在します。
モードの切替は右手で、それ以外は左手で、と思っておけば良いと思います。

ハンドルバーはリラックスした乗車姿勢を取れる形状です。

やや大きめのタンク

アルミ製のタンクは18Lで容量は多くて良いのですが、結構幅広な形状です。
それによってシートにも幅が出てしまって足つきが若干悪くなっている印象です。
ただ、ニーグリップ時の安定感は流石です。

タンク容量比較

・NIKEN:18L(航続距離は約300km程度を想定)
・MT-09:14L
・MT-09トレーサー:18L

▲シート側への絞りはあまり無い

シート

シート素材は2種類の素材を使用しており、スポーティーな印象と高級感の両面を感じられるデザインになっています。
シートの幅自体は広いですが、走行時の安定感はかなり高く快適に走ることができます。
タンデムシートにも座りましたが、座面はそこまで広くないもののタンデムグリップがしっかりしているので走行中の不安感はありませんでした。

タンデムシートの下はスペースがほとんど無いですね。ETCの車載器は入りそうです。
また、シートの裏には車載工具が付属しています。

▲シート裏
▲シート下スペース

NIKENの足回り

何よりも気になるのが足回りですね。
LMWの説明の部分でも少し触れましたが、LMWアッカーマン・ジオメトリを採用するにあたって構造が大きく変化しています。
少し画像多めでお送りします。

タイヤのサイズは左右のタイヤ可動部のクリアランスを確保すると同時に、ライトなハンドリングを実現するために選択されています。

【タイヤサイズ】

・フロント:120/70R15M/C (56V) ※左右共通
・リア:190/55R17M/C (75V)

▲フロント:120/70R15M/C (56V)
▲フロント:内側
▲リア:190/55R17M/C (75V)
▲リア:190/55R17M/C (75V)

【サスペンション】

フロントサスペンションは見ての通り片側2本ずつ。見た目の存在感は他車の比じゃないですね。
左右ともに、伸び側・圧側調整ができるのは1本ずつです。
このサスペンション、外から見ていて驚いたのが、軽くブレーキをかけた程度では全然動きません。
ウェット路面でフルブレーキをかけているのに動かない。非常に不思議な光景でした。

【リアサスペンション】

リアはモノサス装着です。
プリロード調整を簡単にできるリモート操作機構を装備。いつでも手軽にセッティング変更が可能です。

【ブレーキキャリパー】

フロントブレーキキャリパーは対向4ポットラジアルマウントキャリパーを装着しています。
これが・・・とってもよく効きます!ちょっと強く握り込むとガツン!と強力なブレーキが掛かってくれますので、制動力はバッチリ。
また、ABSは標準装備です。

いざ走ってみた!

と、いうわけでNIKENで実際に走行しました。
「LMWの性能を存分に体感せよ!」とでも言わんばかりに雨が降り始めて路面はあっという間にウェットに。
それでもフロント2輪の安定感を確かめる絶好のチャンスと思って積極的に走りました。
今回はクローズドコースでの走行です。あと、あくまでも素人の感想です。

まず、エンジンはMT-09をベースに少しだけマイルドな設定になっています。
出荷時の設定が【モード:2/トラコン:2】との事だったのでまずはその状態で走行してみました。
トラコンの強さは2段階で調節可能で、1(介入弱)→2(介入強)→OFFとなります。
モードは3段階に分かれ、1(パワフル)→2(中間)→3(優しい)で設定可能です。

走り出しはモード2でも普通にパワフル。
アクセルを開ければ100kmくらいまではあっという間ですが、MT-09に比べると確かに優しい加速感。
路面状況もあってすぐトラコンが効いてくれたので気持ち的にも余裕を持って走行できました。
その後は基本的に【モード:1/トラコン:1】で走行してましたが、MT-09のような元気いっぱいすぎるパワー感では無く扱いやすい出力特性だと思いました。

走行中の感想ですが、まず違和感を覚えたのがフロントの重さ。
タイヤ2本分の重さはやっぱり感じますね。クイックな切り返しをしているつもりでもワンテンポ遅れた反応でマシンが動きます。
コーナリングの際もそれはやはり感じられ、特性を掴むのに少しだけ時間がかかりました。

そこの挙動に慣れると今度はフロントの安定感をしっかり感じることができました。
ウェット路面だろうと、落ち葉の上だろうと平気で走れます。これには本当に感動・・・!
あまりの安定感に走行のペースも徐々に上がり始め、雨が降っていることなどほとんど忘れてました。
「転ぶかもしれない」なんてことはもはや頭にありませんでした(笑)

それによって自分の中での「バンクさせている感」もかなり薄れていたのか何度かステップを擦ってしまいました。
ただ、そこまで行っても転ぶ気はしなかったので自分でも驚きました。

この感覚はコレまでにない新しいもので、感動と戸惑いの両方を抱えながら走行を終えました。
私程度のライディングスキルでは深い事を感じて伝えることはできませんが、ある程度ビッグバイクに乗り慣れている方であれば楽しんで走行することができると思います。

その後、ライダーを交代して私はタンデムシートに乗ってコースを一周してみたのですが、後ろに乗っている時は不思議な事に普通のバイクなんです。
既に自分で走っていたのにも関わらず「え、こんなに倒して大丈夫!?」みたいに一瞬思ってしまいました(笑)
タンデムも慣れてしまえばウェットでも安心して走行を楽しむことができました。

不思議だけど安心して楽しめる素晴らしい一台です!

NIKENの価格

さて、そんなNIKENの気になる価格です。
こちらは完全受注生産になっており、NIKEN取扱店でのみ購入することができます。

【車両本体価格】

1,782,000円(消費税8%込)

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まとめ

LMWによる安定感は多くのライダーにとって余裕を与えてくれるでしょう。
100%転倒はないとは言い切れませんが、転倒リスクが大幅に減少しているという事実だけでもかなり大きなメリットになると思います。
「最近バイクから離れていたけれど、やっぱり月に1回くらいは走りたいな。そして転倒リスクを減らして楽しみたい」なんていう方にピッタリ。
是非NIKENを手にして新たな世界を存分に楽しんでください!

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