【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】
いよいよ年の瀬。2019年を締めくくる意味で毎年恒例のトップテンを発表します。本年度に発売されたニューモデルについて、Webikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキング。話題性や注目度、社会に与えたインパクトやユーザビリティなどを総合的に評価したものですが、あくまでも感覚的なものですので、楽しみながらご参考にしていただければ幸いです。
なお今回は国内・海外を分けずトータル順位とさせていただきました。また、発売前のモデルは除外しています。ではまず6位~10位までをご紹介しましょう。
【関連トピックス】
◆ケニー佐川が勝手に決める「2019モーターサイクル トップ10(1位~5位)」
目次
第6位「HONDA CRF1100Lアフリカツイン」
アドベンチャー性能を底上げしつつ日常使いも進化
ホンダが誇るビッグアドベンチャーモデル、アフリカツインが新型に。「どこまでも行ける」という基本コンセプトはそのままに、ロングツーリング向けのアドベンチャースポーツとガチにオフロードを楽しめるスタンダードモデルとに明確に棲み分けしたことが新しい。
パルス感を増した270度クランクの並列2気筒エンジンは排気量を86cc拡大して最高出力も7ps上乗せの102psへ向上しつつ車重は5kg軽量化するなど、よりパワフルで軽快な運動性能を手に入れた。フルカラー大型TFTモニターを採用し、特にアドベンチャースポーツにはショーワ製電子制御サスペンションを装備したES仕様が追加されるなど、電子制御も進化している。また、車体幅をスリム化してこの手のモデルでネックになる足着き性を向上。シート高830mmとロードモデル並みに低いローダウン仕様とサスストロークをたっぷり取ったスタンダード仕様、さらにDCTと通常のミッションタイプを用意するなど選択肢の幅を大きく広げたことも評価に値する。
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第7位「MOTOGUZZI V85TT」
80年代ラリー風に最新メカで気持ち良さナンバーワン
モト・グッツィが久々に放つオフ系モデル。何十年も基本レイアウトは変わっていない伝統の空冷縦置き90度VツインOHV2バルブに最新の車体と電子制御を組み合わせ、80年代のラリーマシンのイメージで仕上げたアドベンチャーツアラー。モト・グッツィでも「クラシック・トラベル・エンデューロ」と位置づけ、ガンガンにダートを攻めるというよりは、ときに林道に立ち寄りながら快適にまったりとバイク旅を続けたい人向け。
とはいえ、そのエンジンは完全新設計でV9ボバーと同じ排気量853ccから最高出力は80psへと大幅にアップ。倒立フォークとラジアルキャリパー付きのダブルディスクにABSとトラコン、フルカラーTFTディスプレイに3種類のライディングモードなど、現代的なシャーシとそれをバックアップする電子制御が過不足なく備わっている点もポイントだ。走りは見た目以上にステディでグレード感があり、何よりも程よいサイズ感と適度なパワーで安心して操れている実感が持てるところがマル。こういうモデルを求めていた旅系ライダーも多いのでは。
【ケニー佐川 関連コラム】
◆モト・グッツィ「V85TT」海外試乗会速報 ”気持ち良さナンバーワン”とあえて言いたい
第8位「BMW S1000RR」
スーパースポーツの新たな領域へ踏み出した挑戦者
変化が少なかった今年のスーパースポーツ戦線において、最も大きなチャレンジをしてきたのがBMWだった。新設計のフレックスフレームはあえて剛性を逃がすことでライダーに安心感とインフォメーションを与える新発想で、フルフロータータイプのリンク式リヤシッョクとともにしなやかな乗り味を実現。そして、最大のトピックはBMWで初採用された可変バルブ機構「シフトカム」だろう。これにより低中速から高回転域までフラットな台形パワーを実現。ピーク207psというクラス頂上レベルの圧倒的なパフォーマンスを扱いやすい形でアウトプット可能にした点が素晴らしい。
自分も酷寒のサーキットで試乗したが手強さはなく“普通に”乗りやすかった。従来は大柄だった車体もひと回りコンパクトに軽くなりフットワークもさらに俊敏に。フォルムも流麗になった。シンメトリー顏になり個性が薄らいだという声もあるようだが好みの問題。元々完成度が高かった従来モデルとあえて決別し、新たな一歩を踏み出した英断に一票。
【和歌山利宏 関連コラム】
◆やはり、新型S1000RRは直4スーパースポーツの革命児だった
【丸山浩 試乗インプレ】
◆新型BMW S1000RR試乗速報!!
第9位「YAMAHA NIKEN GT」
「安全に疲れずに遠くまで」をさらに深化
ヤマハ独自の傾けて曲がる3輪バイク「LMW」初の大型スポーツモデルとして2018年に登場したNIKEN。フロント2輪が路面に吸い付いたような安心感・安定感はLMWならではで、フルウェットでヒザ擦りしたり、縁石の段差を斜めに突っ切ったり、コーナリングしながら躊躇なくブレーキをかけられるなど、通常の2輪ではできないことが簡単にできてしまうという凄さ。
それだけでも十分革新的だが、その圧倒的なセーフティと心の平和という利点を最大限に生かしたのが今年ラインナップに加わったGTだ。エンジンはMT-09ベースの水冷並列3気筒845ccでクランク慣性モーメント増により低速域は扱いやすく、厚盛りで足着き性の良い新型シートやグリップヒーター、12V電源、トップケース対応グラブバーにセンスタなど、快適バイク旅のための装備をテンコ盛りしたロングツアラー仕様が出来上がった。LMWの技術としてはKIKENで既に完成の域にあったが、GTはその革新的なコンセプトをより深化させたと言える。本来ならもっと上位にランクインさせたいところだ。
第10位「W800 STREET/CAFE」
日本的ネオクラシックの金字塔がここにある
多くのファンの期待に応えてW800が復活。第3世代となる新型は従来イメージを踏襲した「ストリート」と、ハーフカウルに低めのハンドルの「カフェ」の2タイプが用意された。空冷並列2気筒SOHC4バルブ773ccの古典的レイアウトは従来のまま吸排気系の見直しにより最高出力は4ps増しの52psに。360度クランクらしい整然とした鼓動もよりワイルドな炸裂音を伴った魅力的なサウンドになった。
フレームはパイプ径を拡大し剛性を最適化することで高速域での安定性を向上。足まわりも強化され、フロントフォーク径をφ37mmからφ41mmへと拡大しつつ前後サスのバネレートと減衰力を高め、リヤブレーキをディスク化するなど、トータル的なアップグレードが図られた。結果、エンジンは味わい深くもよりパワフルに、車体も安心して峠道を攻められるレベルへ。快適で街乗り向きの「ストリート」、よりスポーツツーリング向きの「カフェ」と棲み分けもはっきりした。W1由来のノスタルジックな雰囲気に走りは現代的という、ひとつの理想形がここにある。
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