【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

ハーレーダビッドソンの2020年モデル全32モデルの予約発売が8月末より国内でも開始された。中でも今回の目玉はソフテイルファミリーの新型「ローライダーS」。都内で開催された発表会でお披露目された実車を紹介しつつ、どんなモデルなのか探ってみたい。

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114エンジンと専用の足まわりで強化

新型『ローライダーS』は、新ソフテイルファミリーとしては国内投入された11番目のモデルとなる。エンジンはミルウォーキーエイト114エンジンと呼ばれる空冷V型2気筒排気量1868ccを誇るハーレー最大級のパワーユニットを標準搭載しているのが特徴だ。ちなみに「S」が付かないスタンダード(STD)のローライダーは1746ccのミルウォーキーエイト107エンジンを搭載している。

シャーシはハードテール時代のクラシカルな雰囲気を継承しつつも、剛性を強化し軽量化された新ソフテイルフレームにより現代的でコンフォートな走りを実現。
加えて、よりアグレッシブな走りに最適化された専用サスペンションを装備するなど足まわりも充実。フロントにφ43mmカートリッジ式倒立フォークと4Pダブルディスクブレーキ(STDは正立フォークとシングルディスク)を採用していることからも、走りのパフォーマンス重視であることは一目瞭然だ。

ミニカウル、ソロシート、ブラック仕上げ

「ローライダーS」の特徴的なブラックアウト仕上げは1980年代のローライダーをイメージしたものとのこと。直径1インチの“モトクロススタイル”ハンドルバーを4インチのハイストレートライザーと呼ばれる高めのハンドルポストに装備するなどライポジもアグレッシブ。
低めのライザーにプルバックハンドルがセットされたクルーザースタイルのSTDとはライポジも大きく異なっている。

また、LEDヘッドランプを取り囲むミニカウル、強烈な加速を受け止めるバックレストを強調したガンファイタータイプのソロシートなども「S」専用装備。
容量5ガロンのフューエルタンクに描かれた象徴的なハーレーのロゴグラフィックや、スモークタイプのLEDレイバックテールランプ、ダークカラーに合うブロンズ仕上げの鋳造アルミホイール(サイズはフロント19/リヤ16インチでSTDと共通)がスタイリッシュな雰囲気をさらに盛り上げている。

王道の“ウエストコースト・スタイル”で攻めてきた

「ローライダーS」は“ハードエッジなウエストコースト・スタイルで復活した”とハーレーも声高らかに謳っている。
これは米国西海岸で流行っているクラブスタイルと呼ばれるもので、特徴としてはハーレー独特のロー&ロングなシルエットは生かしつつ、ダーク系カラーとミニカウルやシングルシート、ドラッグバーなどでクールにドレスアップ。

さらにエンジンチューンや足まわり強化など走りにもこだわった“攻め”のカスタムが特徴だ。「S」はまさにクラブスタイルの王道であり、ハーレーの中でも特に人気のローライダーをベースにスタイルと性能の両面から極めたメーカーズカスタムと言っていいだろう。

データからも分かる「ローライダーS」の走りの良さ

まだ実際には試乗はしていないが走りもある程度想像がつく。会場に展示された「S」は一見してフロントフォークが立っていることが分かったが、データを見るとキャスター角(ハーレーではレイクと呼ぶ)はSTDの30度から28度に起こされ、トレール量は163mmから145mmへ、ホイールベースも1630mmから1615mmへと短縮。
バンク角も29.6度から33.1度へと増やされている。簡単に言えば、よりクイックな旋回性を発揮するスポーティなディメンションに変更されているわけだ。

また、車重は308kgとSTDより8kg増えているが、最大トルクでは155Nm / 3000rpmとSTDから10Nm(約7%)上乗せされるなど、車重分を補って余りある余裕の動力性能が与えられていることもポイント。ちなみにこれらのスペックは、新ソフテイルシリーズ最強と言われるファットボブ114と同程度の値となっている。
元々走りの良さで定評のあるローライダーなので大いに期待できそうだ。

発表会で自らプレゼンテーションを行ったハーレーダビッドソンジャパン代表のグレッグ・ウィリス氏も「ローライダーSは走りの性能を追求したモデル。その素晴らしいパフォーマンスをぜひ楽しんでもらいたい!」と自信満々に語っていた。試乗できる機会が楽しみだ。

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