【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

トライアンフから新型「スピードトリプルRS」が登場した。スペイン・アルメリアサーキットで開催された国際メディア試乗会からWebikeニュース編集長のケニー佐川がレポートする。

外見は変えず着実にアップグレード

2018スピードトリプルは従来モデルをベースに全面改良が加えられたフルチェンジモデルである。そして、シリーズ7代目にして初となる「RS」の称号が与えられた最上級グレードとしてラインナップに名を連ねることとなった。

精悍な2灯ヘッドライトや2本出しアップマフラー、ストリートファイターを思わせるマッシブなフォルムなどは従来モデルから踏襲され、一見しただけでは大きな変化はないようにも思える。
だが、そこがトライアンフ流。派手な演出をあえて控えつつ、着実にパフォーマンスを上げてくる。伝統を重んじるとも言えるだろう。世界最古のモーターサイクルメーカーとしての底力を感じる部分だ。

低中速はより厚く高回転も伸びる

特にエンジンは大きく変わった。従来からの水冷並列3気筒DOHC4バルブ1050ccをベースにシリンダーやピストン、カムやクランク、サンプシステムなど計105カ所に新型パーツを投入することで最高出力も10ps上乗せの150ps(従来比7%向上)、最大トルクも117Nm(同4%向上)へと高められた。

同時に乗り比べていないので感覚的なものだが、やはり10psの差は大きいと思う。それを感じるのがロングストレートでの加速だ。ピークパワーの回転数が1000rpm高められたおかげで以前にも増して伸び切り感が出て、一方では従来よりも低い回転域で最大トルクが発生するため全体的にパワーバンドが広がった。
つまり、一つのギヤで賄える速度域が広がったわけだ。サーキットにおいては、これは楽をして速く走れることを意味する。

洗練された3気筒の乗り味

低速から湧き上がるトルクとザラっとした粒感のある回転フィール、細かいパルスを含むビブラートの効いたサウンドなど、トライアンフ3気筒独特の世界観はそのままに、乗り味はより洗練され滑らかになった。

ハンドリングも軽快さの中にしっとりとした安定感があり、サーキットを攻める走りでも余裕がある。これはRSに標準装備された前後オーリンズ製サスペンション(φ43mmNIX30 倒立フォークとTTX36 リンク式モノシッョク)の威力も大きいと思う。

スロットルオン&オフによる前後への荷重の受け渡しがスムーズで、ブレーキングや加速での姿勢変化が穏やかなため、安心してコーナリングのプロセスを楽しめる。
ブレンボ製ラジアルモノブロックキャリパーもコントロール性の良さはそのままにパッドが改良されて、初期の食いつきにさらにメリハリが出たようだ。

トラコンの点滅さえ楽しめる

新型では電子制御も進化した。旋回中でもブレーキをかけられるコーナリングABSや、進化型IMUによる高精度なトラコンが採用されたことで、さらにスポーツライディングでの安心感も高められている。

サーキット走行用に装着されたピレリのディアブロスーパーコルサSP(OEはディアブロスーパーコルサ)とのマッチングも素晴らしく、立ち上がりで時々点滅するトラコンのインジケーターを視界の片隅にとらえつつも余裕をもって走りを楽しむことができた。

最強レベルのトラックモードであっても電制による緻密なサポートが常に介入してくれているのだ。この安心感を知ってしまうと、それなしではもはやスロットルを開けられない気がするほどだ。

速く走らなくてもグレード感が伝わってくる

一般公道でも短時間の試乗が許されたが、ライポジは軽く前傾してはいるものの速度を上げると丁度良く感じるレベルで、前後オーリンズの性能は公道ではそのまま乗り心地の良さとして伝わってくる。

大画面のTFTディスプレイは見やすくグラフィックも質感が高いし、5種類のライディングモードを含めて各種電子デバイスの操作も左手のジョイスティックで直感的に行えるのがいい。ちなみに走行中でもモード切り替えが可能だ。

試乗車にはオプションのグリップヒーターやダウンシフターが装備されていたが、標準装備のクルーズコントロールとともに快適なツーリングが楽しめる。
結論として、新型スピードトリプルRSはエンジンや車体、電制も含めてまさに全方位的な進化を確信できる仕上がりだった。尖がった高性能ではなく安心感の中で攻める走りもできるし、サーキットを速く走らなくても楽しめる懐の深さもある。

ひと言で表せばそれはグレード感と言ってもいいだろう。価値ある時間を共に過ごせるはずだ。

【Webikeモトレポート】トライアンフ スピードトリプルRS 試乗インプレッション

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