レストア好きなら誰もが一度は使ったことがあるのが、榮技研の「花咲かGシリーズ」。タンクのサビ取りや脱脂洗浄剤と並んでロングセラーとして人気の花咲かGワックスは、樹脂から金属まで幅広い素材に対応した磨きケミカルです。塗装面やアルミ部品は当然ながら、クロームメッキのくすみ除去にも効果があるので、絶版車ユーザーにもおすすめです。

1本でクリーナー、ポリッシャー、ワックスになるマルチプレーヤー


クリア塗装のあるガソリンタンクを磨くため、1500番程度の研磨ペーパーで表面を整えた後に花咲かGワックスを塗布する。


柔らかいウエスやマイクロファイバークロスでパーツ表面を磨く。ペーパーで研磨していない状態なら軽く擦ってクリーナーとワックス効果で仕上げることができる。今回はペーパー研磨をしているので、コンパウンド効果が得られるよう強めに擦っていく。

自分自身が旧車いじりやレストアを行う中で、性能に納得でき環境にも優しいケミカルが欲しい。そうした動機から作り出されたのが榮技研の花咲かGシリーズです。このシリーズを代表する製品といえばタンククリーナーです。

ガソリンタンクのサビ取りといえばかつては酸性が主流でした。サビ自体が金属の酸化物であり、それより酸性度の強い溶液を使うことでサビを落とし、アルカリ性の溶液で中和させるというのが反応の仕組みで、そのため使用後の溶液の処理に配慮する必要がありました。

そうした中、花咲かGのタンククリーナーは溶液の成分が中性という点が大きな特長でした。主原料の中性界面活性剤は洗剤と同じような成分なので、処理後の溶液の処理が容易で、さらに使い捨てではなく繰り返し使用できるのも特長です。

その榮技研のもうひとつの人気製品が花咲かGワックスです。チューブ入りでペースト状の花咲かGワックスはハンドクリームのような感触で、コンパウンドにしては研磨成分特有のざらつきが少なく、ワックスとしては油分が少ない印象です。しかしこの製品、1本でクリーナー、ポリッシャー、ワックスの機能を持っています。

バイク磨きが趣味というライダーにとって、洗車用のクリーナー、下地作り用のコンパウンド、表面仕上げ用のワックスの組み合わせを決めるのは、奥が深く楽しい半面難しい選択です。市販されているクリーナーやポリッシャーの中にも、それぞれの効果や効能が分かりづらく、使い分けに迷うものもあります。

そうした面倒を解決できるのが花咲かGワックスです。複数の効能を謳うことで、それぞれの機能が中途半端に終わりかねない心配もありますが、この製品については確かに下地から仕上げまでこれ1本で作業が完結します。マイクロファイバークロスやウエスに塗布して磨く際の力の加え方によって、クリーナーとして汚れを落とすだけなのか、ある程度の研削力で下地を磨くのかを使い分けでき、どちらの場合も磨き上げることでワックス効果を得られるのが特長で、さらにオープンカーの幌のビニール窓や自動車の樹脂製ヘッドライトの黄変や白濁の除去にも使えるというから驚きです。

POINT

  • ポイント1・榮技研の花咲かGシリーズは、旧車やレストアで使い勝手が良く環境に優しいことを重視して開発されている
  • ポイント2・花咲かGワックスは1本でクリーナー、ポリッシャー、ワックスとして機能するのが特長

クリア塗装の小キズやツヤ引けの再生で効果を発揮


ポリッシャーを使わずほんの短時間手磨きしただけだが、左半分はペーパー目が消えて光沢が出始めている。元々のクリア塗装が若干ゆず肌なので、花咲かGワックスで磨いた痕にも反映されているが、さらに磨き込めば光沢は均一になる。

花咲かGワックスをバイクの部品で使う場合、ガソリンタンクやカウルなどの塗装面は最適です。ニーグリップやタンクバッグ装着でついたタンクの小キズは、表面のホコリや汚れを落とした後にワックスを塗り広げることで、傷は徐々に目立たなくなります。傷の程度にもよりますが、軽く拭く程度で消えなければ、少し強めに擦ることで研磨力がアップします。

通常のワックスで傷を目立たなくしようとしても、拭き取ればやはり小キズは表面に出てしまいます。鈑金塗装用のコンパウンドを使えば傷は消えますが、コンパウンド自体の磨き傷が残るので微粒子、超微粒子と研磨剤の粒度を細かくしながら磨き傷を消さなくてはなりません。バイクや自動車のレストアやディティーリングに特化した花咲かGワックスは、補修目的の鈑金塗装用ケミカルとは成分が異なるようで「今ある部品をきれいにしたい」というニーズにピッタリと応えてくれます。

絶版車や旧車の塗装の中には、再塗装レベルまで劣化していないものの、ワックスの一時的な輝きだけでは物足りない、というものも少なくありません。こうしたコンディションの部品を花咲かGワックスで磨くことで、元の塗装の質感を生かしながら光沢を回復できる場合があります。

もちろん、塗装の劣化度合いは千差万別なので、すべての塗装面が改善されるとは限りません。旧車では珍しくないクリアのトップコートがない塗装面は、花咲かGワックスで塗色が落ちることもあります。またクリア塗装がしてあっても、そのクリアの劣化が著しい場合は満足できる仕上がりにならないこともあるでしょう。しかしそれらは、鈑金補修や再塗装を前提としたコンパウンドを使ったとしても同様です。

塗装面だけでなく、アルミ部品の切削部分の研磨やツヤ出しにも使えます。アルミキャストホイールの切削仕上部分がサビが覆われているのは旧車や絶版車にはありがちで、そうした腐食に対応できる金属磨き用のケミカルもあります。しかし花咲かGワックスはそうした部分にも使えるので、いくつものケミカルをこれ1本に集約できる利点があります。

POINT

  • ポイント1・花咲かGワックスは磨く際の力の加え具合でクリーナーとポリッシャーの効果を使い分けることができる
  • ポイント2・塗装面、樹脂面、アルミ切削部分のクリーニングやツヤ出しにマルチに対応できる

クロームメッキの傷は消えないが曇りやくすみはスッキリ晴れる


水洗い洗車だけではくすんだ感じが消えないクロームメッキ仕上げのウインカーボディに使用する。花咲かGワックスで傷やサビが消えるわけではない。


過去の擦り傷は消えないが、もやのようなメッキ表面のくすみが晴れてクリアな印象になった。ワックス効果があるので、磨き後は汚れの再付着防止も期待できる。

そしてもうひとつ、旧車好きにとって見逃せないのはクロームメッキの汚れ除去能力の高さです。クロームメッキ被膜自体は金属で塗装面より擦れに強いですが、硬いコンパウンドで研磨して発生した小キズは除去できません。またメッキの下で発生したサビに根本的に対処するには再メッキしかありません。

しかし経年劣化によって積み重なった汚れやくすみ、通常のシャンプー洗車では落ちないシミについては、花咲かGワックスのクリーナーとポリッシャー成分が効果を発揮する場合があります。ここではメッキ仕上げのウインカーボディを磨いてみましたが、クリーナー成分がこれまでのスクラッチに詰まった汚れを取り除き、表面の硬い汚れをポリッシャーが削り落とすことで光沢が大幅にアップしています。ポリッシャー成分でメッキの傷を消すことはできませんが、状態が悪くない部分のコンディションを改善することでくすみを減らすことができるのです。

旧車のレストアに造詣が深い榮技研が開発した花咲かGワックスは、素材を問わず磨き作業に使える便利なケミカルといえるでしょう。

POINT

  • ポイント1・クロームメッキの傷を消すことはできないが、くすみや汚れの除去には効果を発揮する
  • ポイント2・素材を選ばず、汚れが気になる部分に対してサッと使えるのが大きな利点

花咲かGワックス

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