様々な箇所で使われるゴム部品。パッキンであり、ペダルであり、ストッパーであり、ダンパーであり……などなど、ゴムの特性を利用した機能部品が数多く使われているのは、ご存じの通りである。反発が強く抵抗もあるため、組み立て時には場面、場面に応じた「対処」をしないと本来の機能を得られなくなり、組み付け作業にも苦労するケースが時にはある。ここでは、ケーススタディでゴム部品の取り扱い方法をリポートしよう。

燃料コック仕上げ時はお約束の磨き



燃料コックにはON-OFF-RESなどの切り替え弁があり、筒形ゴムシールでもレンコン型ゴムシールでも、その相手の部品はアルミ鋳物やダイキャスト部品がそのほとんど。レンコンを輪切りにしたような形状のガスケットは、平面部分に溝を掘った切り替えレバー面が押し付けられるが、この接触面は、組み立て直後に滑りが悪いと(‘初期馴染みと呼ぶ)、ガスケット面が荒れて最悪で切れてしまい、ガスケットとしての機能を果たせなくなってしまう。そこで、レバー側の切り替え平面をオイルストーンできれいに面出ししなくてはいけない。また、切り替え溝にバリがあるときには、サンドペーパーで面取りを行おう。

ゴム部品の組み付けは摺動抵抗を減らそう



燃料コックの切り替えレバーを組み付ける際は、金属とゴム部品の滑りを良くさせるシリコン系グリスやラバーグリスをガスケット面に適量塗布し、レバーの作動性を確実に良くしよう。また、レバー面の腐食を研磨してガスケットを押し付けるチカラが弱くなると、ガス滲みや漏れが発生してしまうので、押し付けスプリング(ウェーブスプリング)の張力を増したり、2枚重ねにしたり、リングシムを追加してガスケットへの押し付けを強くすると良い。リングシムを手作りする際は、飲料水のアルミ缶をカットして開き、それを素材に強力バサミで切り出すのが良い。

なかなか押し込めないキックゴムだって!!



キックゴムやステップゴムをなかなか押し込めないこと、ありませんか?ゴムが硬いとより一層抵抗感が強く、なかなか思い通りに組み込めないことが多い。そんな際は、ゴム部品の穴の内側にラバーグリスを適量塗布して(ドライバーなどにグリスを振って押し付ける)、グイッと押し付けてみよう。それでも組み込めない時には、紙コップなどにステップラバーを入れ、ポットからお湯を注いでしばらく待とう。ゴム部品はヒートガンなどで温めるのではなく、熱湯に沈めることで芯まで温まって柔らかくなりやすい。また、大きさによってはシャコ万、もっと使い易いのが、日曜大工でも使う機会が多いマルチクランプを利用して、ゆっくり押し付けることでスムーズに組み込むことができる。

スタンドストッパーも同じ要領で





マルチクランプには様々な長さがあるので、長さ違いを持っていると本当に便利。相手が小さな部品同士の場合は、小型のシャコ万でも同じように利用することができる。様々な工具を所有していることで、困ったときにアイデアが湧くものだ。

POINT

  • ポイント1・ゴム部品と摺動する金属部品面にはバリや凸凹があってはいけない。できるだけ平滑面になるようにオイルストーンで磨こう
  • ポイント2・反発が強く固いゴムは、温めと道具次第で楽々組み付けられる

様々な箇所に数多くのゴム部品が使われているバイクや自動車。代表的な部品のひとつが「タイヤ」だが、このタイヤをホイールに組み付ける際にも、数多くのノウハウがある。滑り止めとしても利用されるゴム部品だけに、ホイールにタイヤを組み付ける際は、タイヤビードとリムがスムーズに動くように、ビードクリームやせっけん水を利用すると作業性が良くなる。潤滑成分が介在することで、驚くほど作動性が良くなるのがゴム部品であることも忘れてはいけない。また、ゴム部品は温めると柔らかくなる特性もあるため、真冬のタイヤ交換時などは、直射日光でタイヤを温めたり、クルマのトランクなどに交換タイヤを仕舞っておき、タイヤ本体を温めてから作業進行する裏ワザもある。このようにゴム部品の特性を利用した部品交換を行うことで、スムーズかつ部品の組み付け後も良い結果を得られることが多い。

写真解説のように、燃料コックの切り替え弁用ガスケットを組み込む際には、開閉弁となる作動面の面出しを確実に行い、ガソリン滲みや漏れの対策を行いたい。また、切り替え通路にバリなどがある際には、耐水ペーパーで磨いてスムーズ形状に面取り仕上げしよう。そして組み付ける際には、ゴム×金属部品の作動性を高めるシリコングリスやラバーグリスを忘れずに塗布するように心掛けよう。

キックゴムやチェンジゴム、ステップゴムの組み付け時にも、ゴムが硬くて組み込みにくいケースが多々ある。そんなときにはゴムを温めて柔らかくし、ラバーグリスを併用することでスムーズな組み立てが可能になる。また、バイクメンテナンス用の工具ではなく、日曜大工やプロの大工さんが利用する工具のひとつに「マルチクランプ」という商品がある。これはバイクメンテナンスでも意外と使えるので、作動範囲200~250mm程度の商品がひとつあるだけでも、大変便利である。是非、導入して頂ければと思います。

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