メーカー在庫がある部品なら問題は無い。仮に、メーカー純正部品が販売中止になっても、補修用の社外リプレイス新品部品が入手可能なら、大問題にはならないはず。しかし、旧車や不人気低年式モデルの場合は、メーカー純正部品はすでに絶版、リプレイス部品も適合部品が無いケースは多々ある。応急処置で各種ケーブルを加工流用したことがあるサンデーメカニックはいると思うが、ここでは、実際の具体的ケーブル加工をご覧いただこう。ケーブルエンドのタイコが無いときには「プラグのねじアダプター」を転用できるケースもある。ここでは、そんな自作のタイコ造りやケーブルにまつわる加工テクニック&ノウハウをお届けしよう。

ヒートガンで熱しエンド金具を引き抜く



単純にインナーケーブルが長くて遊びが多くなってしまうケーブルは改造も比較的容易だが、インナー長に対してアウターケーブル長が短いと、スロットルが全開になってしまって乗ることができないケースもある。そんなときにはアウターケーブル長を詰めて、加工利用することができるケースもある。そんな加工時を実践したいときには、アウターケーブルのエンド金具をヒートガンで温めることで、金具はスーッと引き抜くことができる(プライヤーを利用する)。

アウタースパイラルをゆっくりほどこう





アウターケーブルを潰さないように万力で固定し(丸断面部品をクランプできる口金があるとしっかりクランプできて便利)、アウターケーブルのスパイラルカバー部分をニッパで引っ張る。あらかじめカット分のビニール被覆を剥がしておくと作業の目安になる。スパイラル部分をゆっくり引っ張ることで隙間が広がるので、その隙間にインナーケーブルをクルクルッと通し、その後、不要なスパイラルをニッパでカットする。アウタースパイラルのカット後は、エンド金具の端部をラッパ状に少しだけ形状修正し、ヒートガンで金具を温めてからアウターエンドに押し付けて、冷えたらラッパ状に広げた部分を元に戻して固定しよう。

スパークプラグのアダプターがタイコに!?



タイコ部分を作る便利なパーツが発売されているが、機種によっては、タイコ外径のΦ数がスパークプラグの頭に取り付けられるアダプターキャップと同じケースがある。タイコ外径が太いタイプは、アルミ板などをカットして挟んで利用することもできる。このやり方は、あくまで自己責任に於ける応急処置と考えるべきだ。アダプターキャップの中央にインナーケーブルサイズの横穴を加工しよう。

固定したらパチッ、パチッと引っ張り確認



インナーケーブルを通した後に、同ネジサイズのボルトでケーブルを真横からしっかり締め付け、トップキャップの反対側に押し付けることでインナーケーブルがロックされる。作業完了後は、レバーにタイコをセットして、レバーとアウターケーブルを左右の手に握り、ムチ打ちのようにパチッパチッと左右に強く引っ張ってタイコが抜けないか確認しよう。さらにネジに緩みが無いかもレンチで確認する。同寸のイモネジがあるなら、上下のネジ山から締め付け、完全にケーブルを押切にすると、なおも強く固定可能。

POINT

  • ポイント1・アウターケーブルの長さを調整する際にはエンド金具を熱して抜き取る
  • ポイント2・アウタースパイラルはいきなりカットせず、スパイラルをほぐしてからカット
  • ポイント3・ エンドタイコをボルト固定したら、しっかり引っ張って抜けないかテストしよう

各種ケーブル(ワイヤー)を流用&自作する際に注意したい点は、「インナーケーブルの太さ」や「アウターケーブルの太さと長さ」や「ケーブルエンドのタイコ径」などなどがある。大袈裟に例えれば、細くてスムーズに動くのが信条のスロットルケーブルを自作する際に、クラッチケーブルのように太くゴツイケーブルでは素材として良くない。各種ケーブルを流用自作する際には、似たようなモデルのパーツを素材としてチョイスし、各部を微調整して流用可能にするのが手っ取り早い方法だ。

過去に経験した実例では、ダックスST70のブレーキケーブルに、ホンダエイプ用純正ブレーキケーブルを加工流用したことがあった。ダックス時代のブレーキケーブルは、想像した以上にインナーケーブルが細く、ブレーキング時に伸びてしまい、ブレーキの効き味は今ひとつ。一方、エイプ時代のインナーケーブルは、ダックスと比べて太く頑強で素材も良い。太過ぎるケーブルだと流用できないこともあるが、何とか対応可能なサイズだったので、加工流用をトライしてみた。すると、車体側プレーキパーツはノーマルのままで、ブレーキシューもそのままなのに、驚くほどブレーキの効きが良くなり、気持ち良く走ることができるようになった。

ここでは、欠品していた旧車用クラッチケーブルを他機種用部品の加工流用で対応した場面をリポート。このようにアウターケーブルとインナーケーブルの比率が合わず、遊びを調整し切れなかったり、逆に、遊びが無くケーブルがパンパンに張ってしまうこともある。そんなときには、インナーケーブルを詰めるように改造したり、アウターケーブルだけを短く詰めて、インナーケーブルの遊びを増やすなどの方法もある。いずれにしてもケーブル自体の長さに余裕が無くては危険なので、実装取り付け時には、ケーブルの取り回しに注意しながら、ハンドルを左右ともに末切りまで作動させ、ケーブルが突っ張らないことも確認しよう。流用加工はすべて「自己責任に於ける作業」なので、慎重なうえに確実な作業進行を心掛けよう。

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