趣味のパイクいじりを楽しんでいると、エッ!?この部品は新品に交換しなくちゃいけないの!?とか、吹っ飛ばして紛失……さぁ、どうしよう!!または、エンジンオイルやギヤオイルを入れ過ぎてしまった……などなど、そんな出来事はよくあることだが、ここでは、そんな「困った……」な場面を切り抜けるためのテクニックやノウハウなど、知って得する裏ワザや裏テクをリポートしよう。

オイルを入れ過ぎたらサクションガンを利用



四輪車のギヤオイルやデフオイルは、エンジンオイルと違って注入部分(フィーラー部)が床下になり、オイルを抜いたまでは良くても、新しいオイルを注入するのに困ってしまうことが多い。オイルジョッキで注入できるような広いスペースはまず無いため、そんなときに利用するのが「サクションガン」と呼ばれるシリンジを巨大にしたツールだ。このツールで硬いギヤオイルやデフオイルを吸い上げ、オイル注入口へホース先端を差し込み、ハンドルを押し込むことで吸い上げたオイルを流し込むといった工具だ。バイクメンテナンスで利用する機会はまずないが、エンジンオイルやギヤオイルを入れ過ぎてしまったときなどは、新らしいオイルのうちにサクションガンで吸い上げ、オイルレベルを調整しよう。特にエンジンオイルは、アッパーレベルを超えるとブリーザーから吹き出してしまうため、エンジンオイルの入れ過ぎには要注意だ。

転倒した直後には「ホイールリムの歪み」を確認



転倒が多いモトクロスの現場では、当たり前のようにホイールを取り外してリムの歪みや振れ確認をジャイロスタンドで行うが、街乗りバイクの場合は、日常的になかなか前後ホイールを取り外して、リムの歪みを確認する機会は少ない。それでも転倒してしまったときには、なんだか気になるし、実際、乗り心地に変化が現れることもある。そんなときには前後ホイールの「簡易的な点検」を実践しておきたいものだ。ここで利用しているのは通称タイラップの呼び名で知られる結束バンドだ。前輪ならフロントフォーク本体。リアホイールならスイングアームへタイラップを縛って固定し、先端がリム近所を指すようにセットし、前後タイヤを浮かせてフリーにすることで歪みや振れをかくにんすることができる。左右の振れなら、タイヤを組み込んだままの車体コンプリート状態でスポーク調整することもできる。

極小部品だからフッ飛ばしやすい……





ベテランサンメカにローガンはつきもの!?昔は裸眼の肉眼でメインジェットの数値を難なく読み取ることができたが、現在は虫メガネを使わないと読み取れない……。虫メガネが無いときには携帯カメラで撮影して、画像を拡大して読み取る!!なんてこともある。バイクいじりをしていて、または、キャブセッティング実践している最中に、ジェットニードルのクリップを吹っ飛ばしてしまい、行き先不明……。スペアパーツも無くジェットニードルを固定できないことから、実走行テストが不可能に……。そんな現実を目の当たりにしたことがあるサンデーメカニックもいるはずだ。そんなときのトラブル回避作戦として利用することができるのが、ワイヤーリング用の細く強いステンレス製ワイヤーを使った応急措置だ。ワイヤーツイスターで適当な長さにツイストしたら、ジェットニードルのクリップ位置にスイストしたワイヤーを押し付け、先にツイストした方をプライヤーでつまみ、反対側をワイヤーツイスターでクルクル縛ることでワイヤーをクリップ代わりに利用する作戦だ。実際に紛失後、補修部品が納品されるまでの間はこの方法で走っていたが、特に問題なく走ることができた。

えっ!?Oリングが大きくなって溝に入らない……





キャブセッティングやキャブの洗浄時に、フロートチャンバーを復元しようと思ったら、メーカー純正Oリングタイプのガスケットが、大きく膨らんでいて(こんな現象を膨潤と呼ぶ)、フロートチャンバーを復元できない!!ボディと挟んで潰し切ってしまいそう!?
なんて経験、したことありませんか?こんなときには、無理やりOリング溝にガスケットを押し込んで復元してはいけない。ハミ出たガスケットを潰してしまうからだ。何故、こんな現象になるのか!?それは現代のガソリンに問題がある。昔と違って現代のガソリンにはエタノールが添加されており、どうやらその環境問題対策のエタノールがゴム製部品を膨潤させているようなのだ。確かに、以前ならそんなトラブルが起こることは無かった。こんな場面に遭遇したときには、中性洗剤と濡れ手で泡をしっかり立て、その手のひらでガスケットを優しく洗浄。決して引っ張るように洗浄してはいけない。しっかり泡泡洗浄でガスケットを洗ったら、水道水で流して、完全乾燥させてみよう。ここではクルマのボンネットに載せて乾燥させたが、夏場の暑い時期なら古新聞やティッシュに載せて乾燥させれば良いだろう。すると、あ~ら不思議っ!?ガスケットが縮んで、スムーズに溝にセットできるようになった……。こんな反応があることも知っておきたい。

POINT

  • ポイント・メンテナンスの進行はすべて経験で決まる。いろいろ試して実感することが大切!!

プロショップのように、素晴らしい設備や各種工具類を持っていないのがサンデーメカニック。プロにとって一番大切なのは、確実な作業実践と「時間」である。一方、趣味でバイクメンテナンスを楽しむサンデーメカニックの場合は、時間が掛かってしまっても「自分自身の手で行うメンテナンス」が何よりも大切なことかも知れない。また、技術的経験が豊富なプロショップなら、当初から間違えようが無いことでも、経験が少ないサンメカだから、うっかり間違えてしまうことも多い。

ここでは、サンメカが「困った……!!」といったケースで切り抜ける方法をリポートしよう。例えば、オイル交換時にエンジンオイルを入れ過ぎてしまうことがある。レベルゲージやオイル注入口のディップスティックを見れば理解できるが、アッパーレベル⇔ロアレベルの間にはある程度の「許容範囲」がある。原付クラスの小型モデルでも、200ccほどは許容範囲があり、大型モデルの場合は、500cc前後の許容範囲がある。経験不足なオーナーは、オイル量がアッパーレベル限度まで入っていないと気持ち悪いと思うかも知れない。中には、アッパーレベルを超えているぐらいの方が安心……。しかし、これは大きな間違いだ。オイルレベルには許容範囲があるため、その中間あたりまでオイルが注入してあればそれで十分。例えば、ミニバイクレースなどでは、オイルレベル下限で予選を走ることで、オイル抵抗やクランクケース内の空気室容積が増え、ポンピングロスが減ることから「ラップタイムを詰める」こともできる。そんな考え方もあるのだ。

逆に、エンジンオイルを入れ過ぎてしまうと、ポンピングロスが増え、エンジンの回転が重く感じてしまうこともある。また、クランクケースブリーザーからオイル飛沫を吹いてしまうこともある。入れ過ぎに気がついた時には、ドレンボルトから抜き取ることになると思うが、そんなときに利用できるのが、自動車整備の現場では頻繁に使われている「サクションガン」と呼ばれる工具だ。オイルフィラー穴にホースを差し込むことができれば、入れ過ぎたエンジンオイルをシリンジのように簡単に吸い上げて抜き取ることができる。イザといった場面で実に頼もしい工具なので、サンメカだからこそ常備しておきたい商品だろう。

その他にも「困った場面」を切り抜けるノウハウは、経験豊富なメカニックなら誰もが数多くの引き出しを持っているはずだ。やっぱり、知って得する「裏技裏テクの取得」は、サンデーメカニックにとって永遠のテーマと言えるかも知れない。

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