チューブレスタイヤが当たり前の現代は、タイヤ交換するとき以外にホイールからタイヤを取り外す機会は滅多に無い。しかし、旧車やスポークホイール車の多くは、チューブを外してパンク修理することが多いため、ホイールAssyを車体から取り外して作業することが多い。しかし、タイヤ幅が狭いビジネスバイクや、軽二輪クラスでも旧車でチューブタイヤの場合は、ホイールを車体から取り外さないで実践する「車載パンク修理」が可能なモデルもある。ここでは、そんな旧車軽二輪クラス=250ccモデルのリアタイヤがパンクしたと想定した際の、車載パンク修理の手順を解説しよう。
目次
タイヤレバーは使い易いものをチョイス!!
様々なメーカーから、様々なタイプ(形状)のタイヤレバーが発売されているが、実際に使ってみないとその使い易さや使い勝手を体感することはできない。経験豊富なメカニックなら、その形状や長さ、グリップ部の形状で、使い易さをおおかた想像できるが、メンテ初心者にはそうもいかない。商品選択のときには、経験豊富なバイク仲間から意見を聞いても良いだろう。ここでは、あくまでバイク用に開発され、長さはやや短め、先端の部分が「しゃもじ」のようでポリッシュ仕上げされた商品を使ってみた。タイヤレバーは最低2本、3~4本あれば使い易い。
「レバー反対側」のタイヤを押し込み余裕を
メンテナンス用安全グローブを利用することで、最後までタイヤを外さないことでも、指先をメクレたタイヤビードの内側へ差し込み、滑らせるように引っ張り出すことで、作業時間を短縮することもできる。しかしこの作業とタイヤビードの硬さには相関関係があり、ビードが柔らかいチューブタイヤでも、劣化によってカチカチに硬化しているとそうは簡単に抜き取ることができない。少なからず言えることは、そんな劣化状態ではタイヤの接地面=トレッドパターンも間違いなく劣化しているはず。安全走行のためにも走る予定があるバイクはタイヤの鮮度を保ちたいものだ。タイヤレバーを利用する際には、レバーを掛ける180度反対側のタイヤビードを落として、ニップルあたりまでビードを押し込むとレバー返しの操作をやりやすい。
リムの内側コンディションは極めて重要!!
ホイールリムからタイヤビードを抜き、チューブを取り出したら、リム内側のコンディションを確認し、サビが発生しているときにはワイヤーブラシで擦って可能な限りサビを除去しよう。タイヤの内側も乾いたキレイなウエスで拭き取り、タイヤに刺さった金属片などでウエスが引っかからないか?目視確認も含めて徹底的に点検しよう。スイングアーム周辺にはトルクロッドの締め付け緩み止めに割りピンを使っているので、穴あき点検時に割りピン先端をチューブへ突き刺さないように要注意!!
原始的な方法でパンク穴を探そう
車載状態でもタイヤチューブを抜き取ったら、バルブにムシを組み込み、チューブにエアーを注入。チューブが強く張らないように、エアーの入れ過ぎには注意しよう。洗面器に張った水にチューブを押し込み、確認位置をずらしながらチューブへの穴あきや漏れ箇所が無いか?確認しよう。チューブへのダメージが無いことを確認したら、水で濡れたチューブを乾いたウエスでしっかり拭き取ろう。
大変便利な「タイヤチューブ引き込み工具」
タイヤチューブをリムとタイヤの隙間へ押し込む作業は、想像以上に面倒である。チューブが内側で折れていたり、ねじれたままチューブを押し込んだことが原因で、無意味にパンクしてしまうケースもある。過去にそんな経験、ありませんか? そんなタイヤチューブの復元作業時に便利なのが、タイヤチューブの引き込みツールだ。この工具があると作業時間を間違いなく短縮でき、より確実な組み立てを約束してくれる。使い方は、リム側エアーバルブ穴の外側から内側へ引き込みツールの先端ピースを差し込み、タイヤビードとリムの間から引き出した先端を取り出し、そのピースをチューブ側エアーバルブと接続。グリップを引っ張ることで、ワイヤーがエアーバルブをリム側のバルブ穴へ導く便利工具だ。単純に引っ張るだけではなく、工具先端をセットしたエアーバルブがタイヤ内に入るように導いくのがスムーズ作業のコツだ。
チューブの回転移動もパンク原因
チューブをセットしたら慌ててタイヤをリムへ組み込むのではなく、バルブ固定ナットをバルブ全長の半分くらいまで回し、通称ムシをセットしてエアーを少しだけ入れてみよう。チューブが丸断面になったら、チューブがねじれていないか確認しよう。ねじれが無かったらムシを抜き、タイヤビードへシリコンスプレーやビードクリームを塗布してからタイヤをリムへ組み込む。再びムシを組み込みエアーを注入してみよう。その時、エアーバルブが直立ではなく「斜めになる」ときは、エアーを抜いてタイヤとホイールまたはスポークを握ってタイヤビードを滑らせ、エアーバルブが直立するように調整しよう。再びエアー注入し、バルブが直立すれば作業OKだ。この状態になったら、バルブ固定用薄ナットを締め付けよう。
- ポイント1・実際に使ってみて「タイヤレバー」の扱い易さを事前確認しておこう
- ポイント2・ タイヤチューブを引き抜く際に周辺部品で二次パンクを起こさない
- ポイント3・洗面器でパンク箇所を確認し終えたらチューブをウエスで拭き取ろう
- ポイント4・エアーを入れた時にエアーバルブの傾きはチューブのセット状態が悪い証拠!!必ず修正しよう
カワサキ空冷ZやホンダCB750シリーズのスポークホイール車のように、大型モデルがパンクしたときには、前輪でも後輪でも、車体からホイールを取り外してパンク修理するのが当たり前だろう。一方、原付モデルの場合は、自転車のパンク修理のように、ホイールを外すことなくタイヤレバーを巧みに使ってチューブを引っ張り出し、洗面器に張った水に空気を入れたチューブを沈め、ポコポコッと泡立つパンク穴を探し出し修理する例が多い。大型車ばかりメンテナンスしている者にとって、そんな方法でもパンク修理できる原付クラスは、ものすごく新鮮な現実のように映るはずだ。
ぼく自身経験した、むかしむかしのお話。ガソリンスタンドでパンク修理の現場を見た時に「えっ!?バイクでもこんな方法でパンク修理できるんだ!!」と驚いたことを思い出す。そば屋の出前バイクや配達用ビジネスバイクの多くが、メインスタンドを装備しているため、そんなパンク修理の際にも、メインスタンドの存在は実にありがたいもの。
実は、過去にツーリングの帰路でパンクした経験があった。偶然、近所にガソリンスタンドがあったので、立寄って事情を説明した。するとバイクのパンク修理は頻繁にあるらしく「いつもよりバイクが大きいけど、なんとかなるかなぁ……?」なんてスタンドマンはぼくに向けてお話しながら、250ccモデルのパンク修理に取り掛かった。メインスタンドでリア周りを持ち上げ、ホイールを取り外さず車載状態のままで、パンク修理をやってのけてくださったのだ。時間にして40分程度だった。
パンクしたバイクは、スズキRG250E。キャストホイールモデルながら、キャスト黎明期だったこともあり、チューブを採用したキャストホイール=星形キャストモデルである。そんなキャスト仕様でも、作業手順はまったく同じで、見ている間にパンク修理は完了。あたりは真っ暗な夕闇に包まれたが、無事に帰宅することができた。そんなときにも「メインスタンドはありがたい装備」だと、強く思った次第である
木造建築の家が減ったことで、道端にクギが落ちていることは減っている。パンクする機会も少なくなった昨今だ。しかし、バイクにとってパンクはつきもの。特に、チューブタイヤの際は、パンクと同時にエアー圧が一気に低下し走行不能となってしまうため、その後の素早い対処が極めて重要になる。ロングツーリングの場合は、現場でパンク修理するよりも、ホイールを取り外して新品チューブに交換した方が手っ取り早く確実。抜き取ったパンクチューブは別途修理して、再びスペアとして所持していても良いだろう。ここでは、あくまでこんな方法&手順でも、「パンク修理が可能」なのだと知って頂ければ幸いだ。
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