
ペイントに興味を持ち始めると、美しく仕上げるための様々なテクニックを勉強したくなるもの。それと同時に、塗りたいペイント色=調色の大変さにも気がつくはずだ。ここでは、旧車のフルレストアを実践するにあたり、バイクペイントドットコムで色合わせ済の塗料を購入。プロのペイント仕事を覗き見しながら、作業進行に関するアイデアを垣間見させていただこう。
目次
完成色と塗り分け指南書もあるバイクペイントcom
バイクペイントドットコムで購入したヤマハYA5用「ゴールドグルデン」カラー。50年代末から60年代初頭に登場したヤマハ製モデルで、ゴールドグルデン色を採用していたのは、ヤマハスポーツ250S/YDS1とヤマハYA5の2モデルのみ。調色する必要が無い調色済みの塗料セットを購入。僅かに色調整したい際には、この調色済みペイントをベースに、微調整を施せばよいだろう。
ペイントのプロに作業依頼
モトメカニック誌のテクニカルアドバイザーでもあるモデルクリエイトマキシの板橋さんにペイント作業をお願いした。バイクペイントドットコムで購入したペイントセットに同梱される硬化剤を、規定量通りに塗料ネタに混ぜ、さらにシンナーで希釈してペイントガンで吹きやすいように希釈。厳密なセットアップを行うため電子秤を利用。
プレスフレームのマウントに四苦八苦!?
プレスフレームでもパイプフレームでも、ペイント時にはペイント固定用スタンドがあると便利だが、普段、フレームペイントを数多く担当しているわけではないので、今回はYA5用ブレスフレームに合わせて、市販のアングル材を利用してペイントスタンドを製作。本棚用などのアングル材をカットして、フレーム幅、ピボット穴などを考えフレームを溶接で固定。さらにブラケットのボルトオンや材木+木ねじで部分的に固定し、ペイントスタンドを自作していた。DIYペインターには参考になるはずだ。
塗り忘れないように要所から徐々にペイント
ペイントブース(マキシ工房ではペイント部屋を利用)にフレームペイント台を設置。エッジや突起部分など、平面以外から徐々に塗り重ねていくマキシさん。大物のフレームはフレームだけでペイント進行し、その他の小物パーツは、まとめて作業進行した。
乾燥室で温度管理乾燥
ペイントのプロショップには、ペイント後の部品を乾燥させる機器があるが、マキシ工房では鉄骨フレームの自作乾燥キャビネットを利用している。温度調整可能な温風ヒーターと実温度計を組み込み、キャビネット温度をアナログ管理しながら温風ヒーターの強弱を調整している。小物部品のペイント乾燥なら、カーベックのCVジュニアを利用することができる。
自作の乾燥機で一気に小物部品を乾燥
プロ御用達でもある様々な機器があると、作業効率は一気に向上するものだ。ペイントの場合は、ペイント作業環境も大切だが、ペイント後の乾燥機器の有無でも作業性や仕上がりに大きな違いが出る。自然乾燥で、ある程度経過待ちしてから、約70度設定の乾燥温度で2~3時間ほどゆっくり乾燥させた。フレームだとやっとこ一台入る乾燥機キャビネットでも、その他の部品はすべて一度に乾燥させることができた。
ゴールドグルデンの美しい輝き
プレスフレームの実用車的ツーリングモデルがヤマハYA5。なかでもホワイトウォールタイヤとダブルシートを装備したのがYA5デラックス。1962年モデルが前期型で、63~64年モデルは、タンクマークがプラスチック製音叉マークになった後期型だ。
ダブルシートがデラックス仕様
1961年モデルとして登場したYA5は、1962年シーズンにYA5デラックスを追加。当時のライバルモデルはホンダベンリースーパースポーツCB92やスズキS30、カワサキB8などなど。ヤマハ初のロータリーディスクバルブを採用した2ストローク混合ガソリンエンジンで、1964年発売のYA6では、整備性を高めたオイルポンプ付きロータリーディスクバルブのニューエンジンを搭載。1962年当時、デラックスタイプの新車価格は13万5000円だった。
- ポイント1・純正ペイント色を再現したペイント材料を購入することで、上手ヘタに関係なくペイントを楽しむことができる
- ポイント2・先の工程を見据えた段取りで作業進行することで、仕上がりに影響が出る
専門業者へ依頼する「再メッキ作業」以外は、すべて自分自身=DIYでやってます!!といったプライベートレストアラーは多い。旧車ブームと呼ばれる現在だが、様々な要素が絡み合い、今、再び、往年の名車や、当時の憧れモデルが注目されている。例えば、現役当時の80年代は不人気モデルであっても、今現在の眼で見れば、個性的で魅力的なモデルは意外と多く、ニューモデルの開発販売が少ない現在とは違って、80年代当時は各メーカーが競ってニューモデルを開発販売してきた。特に80年代は、バリエーションが幅広く、様々なモデルが登場した時代だった。
返り咲きライダーと呼ばれる世代も様々だが、80~90年代にバイクの楽しさや素晴らしさを知ったライダーは圧倒的に多い。さらに遡ること60~70年代のモデルにも不変的な魅力があり、幅広い世代に注目されている。例えば、数年前に生誕60周年迎えたのがホンダのスーパーカブ。生誕60周年と同時に、シリーズ生産累計1億台を同時にカウントしたのもスーパーカブシリーズだった。そんな話題があった以前と今現在のスーパーカブシーンを比較すると、新たなユーザーがスーパーカブの素晴らしさに気がつき、ユーザー層が幅広くなっている。
二輪車免許制度が改変されたことで、大型自動二輪車が身近になった90年代。それによって、以前では注目されなかった大型ツアラーカテゴリーが今では大人気!!週末の高速道路を一気に走り、遠乗りを楽しむユーザーが圧倒的に増えている。その一方で、高速道路や有料道路ではなく、一般道や旧市街地をトコトコ走る原付二種クラスのツーリングも注目されるようになった。そんなムーブメントのなかで注目されたモデルが、スーパーカブシリーズであり、最近では、オンオフ両刀使いで楽しめるハンターカブCT125が大人気モデルとなっている。
純粋な旧車ファンのあいだでは、60年代に活躍した名車、ホンダドリームCBナナニイやCLナナニイ、ヤマハスポーツYDSシリーズやスズキスーパースポーツT20&T21などが相変わらずの人気モデル。そんな歴代モデルのレストアでは、外装パーツのペイントが仕上がりを大きく左右する。DIYペインターやペイントのプロショップなどのニーズに応じ、調色済み塗料を販売しているのがバイクペイントドットコムを運営する浜松第一塗装である。これまでに数多くのペイント実績があり、60~70年代に大活躍した往年の名車や80年代のバイクムーブメントを盛り上げた人気モデル用などなど、国内メーカーの様々なモデル用カラーチャートをラインナップ。ここでは、たぐちがフルレストアした、ヤマハYA5デラックスのペイントの様子をご覧いただこう。ペイント作業は、モデルクリエイトマキシにお願いしたが、DIYペインターを目指すサンデーメカニックにとっては、参考になる作業手順をご覧いただくことができる。
マシンオーナーにとって、自分の誕生年や生誕年にどんなバイクが登場し、販売されていたのか気になるものだが、1962年生まれの私たぐちにとって、同じ1962年に登場したヤマハYA5デラックスは、以前から気になるモデルの一台だった。ヤマハ初のロータリーディスクバルブの2ストローク混合ガソリンエンジンを搭載したモデルだが、技術的に問題が多く、後に登場したYA6では、完全新設計のニューエンジンにスイッチ。だからこそフルレストアにあたっては、完調なエンジン作りと同時に誰が見ても「美しい」と思っていただける完成度を目指し、バイクペイントドットコムの塗料を使い、ペイント仕上げすることにした。
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