
様々な機能を愛車へ追加すると、ツーリングなどの出先でバイクを操るのが楽しくなるもの。ところが、各種機能やデバイスの追加には、各種ハーネス=各種配線類の追加が必要不可欠なことが多いである。ここでは、後々気になってしまう各種配線類を「まとめ」てみることにした。
目次
可能なものなら整理しておきたい配線類
ヘッドライトを明るくするリレーキットや後付けの水温系を装備したりするなど、それによって増えてしまうのが各種ハーネス=各種配線だ。機能追加なのだからどうにもならないケースもあるが、可能な限り整理整頓し、無用なトラブルとは遭遇したくないものである。また、保護テープがホツレてヨレヨレになった配線類は、即刻修復したいものだ。
一長一短なスパイラルチューブに要注意
むき出し配線を保護したり、バラバラの配線を束ねたいときに便利なのがスパイラルチューブやコルゲートチューブである。ガソリンタンクの下や、完全にカバーされる部分の裏で利用するには良いが、露出した部分で利用すると、知らず知らずの間に雨水や跳ね返し水が侵入し、チューブ内に砂利やゴミが溜まってしまうこともある。砂利で擦れてダメージを受けるハーネスもあるので、使用箇所には気を配りたいものだ。ここでは、スパイラルチューブを取り外し、ギボシ端子をカシメ直しつつ、ビニールチューブ内に配線を収めることにした。
フューズやリレーは単純な抜き差しだけでも効果アリ
追加機能を装備した中古車を購入したときなどには、それらを機能させるハーネスの取り回しも注意深く点検しておこう。配線分岐で電源を取り出しているときには、その取り出し部分のコンディションには特に注意。むき出しの配線同士をグリグリッとネジり、ビニールテープを巻いただけの最悪な接続状況も考えられる。また、フューズは切れたら交換するが、切れていないときにも抜き差しを行い、端子接点のアタリや馴染みを良くしておこう。各種リレーに関しも、端子台に差し込むタイプは、フューズと同様に定期的に抜き差しし、接点のアタリを良くしておこう。こんな作業によって電気の流れにストレスが生じ無くなる。
不要なハーネスは取り外してスッキリ度アップ!!
フロントカウルを取り外したら、カウルステーに不使用のハーネスがビニールテープで巻き付けてあった。オーナーさんに尋ねると、不要なものは取り外しても良いとのお話だったので、不要なハーネスやスイッチを取り外して配線をまとめ直し、コントロールユニットをカウルステーに固定し直した。
即席フローティングマウントで固定してみた
当初はコントローラー本体を数本のタイラップでカウルステーに縛ってあった。このような部品を固定する際は、カットチューブを利用したフローティングマウント式にすると良い。チューブにタイラップを通し、カウルステーパイプにクルッと回したら再びチューブにタイラップを通し、その状態でコントローラーのステー部分を縛って固定する。こうすることで、コントローラー本体は車体振動をダイレクトに受けにくくなる。
ハーネステープのホツれは見逃さずに修理しよう!!
純正ハーネスを保護するテープが剥がれて、内部のハーネスが露出していることは多い。そんな時には、ホツれたその場だけを補修するのではなく、周辺のハーネステープも剥がして、一緒に補修することで、より確実な修理を行うことができる。こんな修理の際に使いたいのが、一般的なビニールテープではなく、薄く巻きやすいハーネス専用テープである。
バッテリー電源やアーシング端子はしっかり圧着
電気の流れを効率良くし、本来の性能を引き出すことができるアーシングシステム。90年代のカスタムシーンで大流行したのがこのアーシングだった。アーシングが良く効くニンジャは取り付け例が多いが、このバイクは接続端子の圧着が悪く、単純に折り曲げられただけになっていた。これでは接続強度が無く抜けてしまうので。筒状カシメの圧着端子に交換。コードの取り回しレイアウトはそのままで、すべての端子を交換。圧着器を使ってしっかりカシメ直した。
意外と多かった修正箇所。これだけ不要になりました。
雑に巻かれていたスパイラルチューブはすべて取り外し、ハーネス保護用のビニールチューブにすべて交換した。ギボシ端子が邪魔でチューブへ通せない部分は、端子をカットしてチューブに通してから新しいギボシをカシメ直した。格納確認用のサイドスタンドスイッチは、そもそも結線されていなかった(キャンセルされていた)ので、取り外すことにした。
- ポイント1・突然の豪雨でも対応しなくてはいけないのが各種電装ハーネス。厳しい目で愛車と向き合おう
- ポイント2・無駄な配線、邪魔な配線はしっかり整理整頓
「電気は見えないから、よくわからない……」と語るメカニックは、プロアマを問わず意外と多い。漠然と見てしまうことで、確かに、何が何だか理解できないこともある。ヘッドライトボディを外して、ライトケース内を覗き見したときには、ゾッとすることだってある。そんな経験があるサンデーメカニックは、きっと数多いはずだ。しかし、配線はそれぞれ色分けされているので、メーカー純正の配線図やサービスマニュアルに記されているユニット毎の「簡略配線図」を確認することで、意外とシンプルだったことに気がつくことも多い。メーカー別で各機能の配線色は異なるが、まずは電源線やアース線の色、さらにはメインキーやフューズを通過した後の電源線の色を覚えよう。あとは、点検したいユニットごとに使われている配線色を理解することで、意外なほど電装メンテナンスは楽しくなる。
そんな電装回路問題とは別に、整理整頓したくなるのも電装系である。各モデル用のメインハーネスやスイッチハーネスは整理整頓されているが、そこに水温系や油温計、現代ではETCや各種デバイスを取り付けることが多いため、それに伴った配線を取りまわさなくてはいけない。また、90年代後半以降には、アーシング回路の装備によって「チューニング効果を体感できる」として大人気になり、ありとあらゆる箇所にアース配線が取りまわされるようになった。そんな追加ハーネス類が、ゴチャゴチャに取り回されている車両は意外と多く、カウル付きモデルの外装パーツを取り外したら、その内側は配線だらけ!! しかも統一感が無く、取りまわした本人でなくては、手をつけるのがイヤになってしまうようなことも多い。
ここでは、そんな追加配線類の整理整頓を推奨したい。無駄なものがあるとトラブルが発生したときに、その原因を探るのが大変になる。特に、電源やアースはわかりやすく取り出すのが理想的。最近は、メーカー別や機種別で「電源取り出し」キットも販売されているので、純正ハーネスを加工改造することなくカプラコネクターに割り込ませることで追加電源を確保できる。そのような市販パーツを利用することによって、各種機器をシンプルに取り付けることも可能になるのだ。また、大容量電源が必要な場合は、バッテリーから直に、フューズを内蔵した電源ターミナルボックスへ繋ぐ商品もあるので、大型ツアラーモデルに様々なデバイスを取り付ける際は、そんな電源ボックスから配線を取りまわすのが良いだろう。
アーシング効果を体感してしまうと、様々なポイントにアーシングケーブルを取り付けたくなるものだ。例えば、シリンダーヘッドとバッテリーアースをダイレクトに接続したら、思いの外、トルクフルになったというのはよく聞くお話だ。以前ならシフトダウンしてして追い越していたような場面でも、アーシング後はスロットル操作だけで追い越しできるようになったなどなど、その効果は意外と多い。だからこそ様々な箇所にアーシングケーブルを取り回す例が多いのだが、ケーブル自作時には、接続端子のカシメをしっかり行いたいものである。いい加減なカシメだとケーブルを引っ張ったときに簡単に抜けてしまうからだ。スリーブ状の端子を使うなら、圧着機を使ってしっかりスリーブをカシメたいものだ。また、抜け止め策として締め付けボルト側のスリーブ穴にハンダを流し込むのも良い。ただし端子を加熱しすぎるとケーブル被覆が溶けてしまうので要注意だ。
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