
断線した配線の修理や電気アクセサリーの取り付で不可欠な結線作業。プライヤーで握るだけで簡単に結線できる用品もありますが、仕上がりの良さを求めるならはんだ付けにはかないません。はんだごてといえば家庭内のコンセントにつなぐAC100V仕様が一般的ですが、バイクやクルマのメンテナンスではコードレスタイプも便利です。
屋外作業では電源が確保できないのが当たり前
工具ショップストレートが販売しているガスタイプのはんだごて。火力の調整が可能で、熱量は電気式のはんだごて相当で25~80W。はんだチップの先端は鋭く、細かいはんだ付け作業にも適している。
先端のはんだチップを取り外すとガストーチとして機能する。加熱範囲がスポット的なので、1本の配線に通した収縮チューブを確実に狙って加熱できる。はんだ付け部分の絶縁はビニールテープやハーネステープより収縮チューブの方がスマートで後々になって剥がれる心配もない。
少年時代にトランジスタラジオ作りに熱中した経験はなくても、工具箱の中にはんだごてが入っているというライダーは多いはず。誤って切断した純正ハーネスの配線を修復したり、後付けの電気アクセサリーの長すぎる電源コードの長さを調整する際はもちろん、サビで穴が開いてしまった燃料タンクの補修など電気工作以外の作業でも何かと重宝します。
ギボシ端子やエレクトロタップなど、はんだ付け以外にも配線をつなぐ方法はいくつもありますが、着脱不要の恒久的結線であれば結線部分がスリムで接触不良の心配もないはんだ付けに勝る手段はありません。
簡便さでいえばプライヤーで噛み込むだけで結線できるエレクトロタップが魅力的ですが、つなぎ目部分が大きくかさばるため見栄えは良くありません。また被覆を切り裂きながら芯線に金具を接触させるため、配線の太さに適したタップを選択しないと接触不良や不全断裂の原因になります。ギボシ端子は着脱が必要な配線には適していますが、外す必要のない結線部分に用いる利点はありません。つまり配線をしっかりつなぎ合わせたいならはんだ付けが最適というわけです。
はんだ付けを行うには、鉛とスズの合金であるはんだを溶かすはんだごてが必要です。そのはんだごては対象物によって消費電力が異なるものを使い分けます。トランジスタや半導体など熱に弱い部品を扱う際は10W程度の熱量の小さいこてを使い、鉄板を張り合わせる鈑金作業では100Wやそれ以上の大型のこてを使います。
昔ながらのはんだごては電源プラグをコンセントに差し込むAC100V仕様が一般的で、20W級の製品なら数百円で購入できる物もあります。鈑金で使うつもりでなければ、そうしたリーズナブルなこてを1本所有しておくだけでも良いでしょう。しかし電気系いじりに多少心得がある、むしろ積極的に楽しみたいと思うのなら、AC100V仕様だけでは物足りなさを感じることもあるはずです。
例えば屋外で作業している時にはんだ付けが必要になった時、身近にコンセントがなくて自宅から延長コードを引っ張ったり、わざわざ車体から配線を外すのは面倒です。またガレージ内であっても、電源コードが邪魔ではんだごてが扱いにくい場面もあります。そんな時に重宝するのがコードレスタイプのはんだごてです。
- ポイント1・電気の理屈や電気工作が苦手でも、愛車の補修やメンテナンスのためにはんだごてを持っておきたい
- ポイント2・はんだごての電源はAC100Vが一般的だが、コードレスタイプを活用すれば作業環境にコンセントがなくても作業できる
充電式とガス式に分かれるコードレスタイプ
ガス式の充填はこて本体のバルブにライター用ガスを押しつけるだけで完了する。リチウムイオン電池の充電にはある程度の時間が必要だが、ガスの充填は数秒で終わるため連続作業向きともいえる。ただしライター用ガスを使い切ったら入手に走らなくてはならないが、電池式ならコンセントさえあれば充電できる利点もある。
ライター用ガスの燃焼熱ではんだチップを加熱してはんだを溶かすガス式はんだごて。燃焼用の空気を取り入れるスリットが必要で、風が強いと燃焼が安定しない場合もある。最大火力で燃焼し続けると先端が過熱状態になるので、スイッチ部分のレバーで調整する。
コードレスタイプのはんだごての熱源はガスか電池のどちらかです。ガス式はこて本体に充填したライター用ガスを燃焼させてこて先を加熱します。熱量が大きいことが特長ですが、燃焼ガスの気化が作業環境の温度に影響されたり、風の強い場所では着火しづらいこともあります。一方でガスの燃焼にともない熱風が出るため、こて先を交換してヒートガンのように使える製品もあり、そうしたはんだごてを選べばはんだ付けから熱収縮チューブによる絶縁まで1本でこなせるため作業効率がアップします。
電池式はリチウムイオン電池を使った充電式が主流で、今や家の中に何本もあるUSBコードで充電します。ガス式に比べて熱量は小さい傾向にありますが、加熱の立ち上がりスピードが速いため待機時間を短縮できます。
どちらも取り扱いが容易ですが、ガスや充電が切れると止まってしまうためAC100V仕様のような連続作業には不向きです。ただ30分も1時間も連続して加熱し続けることはあまりないので、コードレスだからといった不便さを感じる場面はないでしょう。とはいえ充電が必要な電池タイプは、電池が切れた段階で一定の充電時間が必要になるため、あっという間にライターガスを充填できるガス式の方が作業が止まる時間を節約できます。
- ポイント1・コードレス式はんだごてにはガス式と電池式がある
- ポイント2・リチウムイオン電池を使うはんだごてはUSBケーブルで充電できるため利便性が高く、ライター用ガスを使うガス式は短時間で充填できる
両手がフリーになるサポートスタンドがあると作業がはかどる
配線を保持するクリップと、熱いはんだごてを差し込むホルダー、こての先端をクリーニングするスポンジと作業部分を拡大するルーペが一体となったサポートスタンド。芯線のより合わせを最小限にとどめて配線をスリムに仕上げたいなら、クリップで固定するのが最も効果的。
クリップで配線をつまんでおけば、芯線をより合わせることなくはんだ付けすることも可能。はんだ付けする際はこて先で芯線を加熱してはんだを落とすことで、毛細管現象によって芯線の隅々まではんだが染み込み強固に結線される。芯線の温度が低いまま溶けたはんだを落としても、芯線の表面に載るだけでしっかり付かない。
はんだごてがコードレス仕様か否かに関わらず、はんだ付けの際はつなぎ合わせる配線をしっかり保持しておくことが重要です。より合わせた芯線が外れないように指でつまみながら、はんだごてとはんだを操るにはテクニックが必要です。とは言え芯線を団子のように丸めると絶縁用のテープや収縮チューブも盛り上がってしまい見栄えが悪く、スリムに仕上げることができません。
このような時に重宝するのが、はんだ付けをサポートするスタンドです。棒の両端に取り付けられた2このワニ口クリップで配線を挟むシンプルな仕組みですが、配線の保持から解放されて両手が自由に使えるようになる快感は一度体験するとやみつきになります。画像で紹介している商品は作業台の上で使うタイプですが、土台部分をマグネットとしたスタンドもあり、これを鉄フレームに貼り付ければ車体に付いたハーネスを取り外すことなく、車上で配線の補修をする際にもはんだ付け部分を安定して保持できます。
電気のことはよく分からないというライダーでも、経年劣化による断線や作業中に誤って切断してしまった配線をつなぐことはできるはず。そんな時に芯線を指で捻ってビニールテープを巻くだけでは、接触不良や再度の断線の原因になりかねません。
もしAC100Vが確保できないという理由ではんだ付けができないのであれば、是非ともコードレスタイプのはんだごてで電源の問題を解決しましょう。そして使い勝手の良いサポートスタンドとの組み合わせによってはんだ付けや電気工作を楽しく実践しましょう。
- ポイント1・はんだ付け部分の芯線は離れないように保持することが重要
- ポイント2・サポートスタンドを活用すれば作業時に両手が自由に使えて、はんだ付けに集中できる
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USB 充電のヤツの方が温度管理も出来て便利。
私もUSB電源、充電式の方が良いと思う
使いたい時にスイッチいれるだけで45秒で使えるよ
必要の時にスイッチ入れたり切ったりして使った方が危なくない
ガス式だと点火するのが面倒です
オススメひ
EARTH MAN Home-Link 3.7V 充電式 はんだごて&スチロールカッター HC-37LiA
です
私もUSB電源、充電式の方が良いと思う
使いたい時にスイッチいれるだけで45秒で使えるよ
必要な時にスイッチ入れたり、切ったりして使った方が危なくない
ガス式だと点火するのが面倒です
オススメ
EARTH MAN Home-Link 3.7V 充電式 はんだごて&スチロールカッター HC-37LiA
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