普段から大事に扱っていても、ちょっとした不注意や不可抗力で傷ついてしまうこともある外装部品。それも味だと見なすのか、すぐさま修理したいと考えるのかは人によって異なりますが、いざ修理したいと思った時に「色」をどうやって手に入れるかが関門となります。そんな時に頼りになるのが、現物ベースでペイントを調色してくれる塗料店の存在です。

単純に見える赤や黒にも多彩な色合いが存在する


ソリッドのレッドといっても明るめの赤や暗めの赤などいくつかの原色がある。単色しか選べない場合は妥協が必要だが、調色するのであれば複数の原色を使って見本色に近づけることができる。


バイク用の塗料には塗料メーカーによる調色配合データが存在しないので、実際のパーツが見本になる。塗料のオカジマの調色はソリッドカラーのみ対応するが、逆に言えば再塗装やカスタム塗装のソリッドカラーでも調色は依頼できる。必ずしも純正色だけに限定されないのが色見本調色の強みでもある。

バイクメーカーがニューモデルを開発する際、その機種のイメージに合った新色を同時に開発するのが一般的です。例えば似たような青でも、明るさやメタリックのフレークの分量に変化をつけることで、色の名称が変わることは珍しくありません。

別の記事でも触れましたが、バイクの純正色には塗料メーカーによる調色配合データはありません。逆に自動車用の純正色には、Aという塗料メーカーの材料なら4色の原色をこの割合で配合しなさい、Bなら5色をこの割合で配合しなさいといったデータが存在します。したがってクルマのフェンダーやドアを鈑金塗装する場合、車種と純正色番号があれば近いレベルの色を作ることができます。塗装された部品は経年変化によって色褪せが起こることもあるので、新車当時の調色で100%色が合うとは限りません。それでも自動車メーカーにも納品している塗料メーカーのデータは重要なヒントになります。

バイク用の塗料にはそうした手がかりがないため、純正色の再現には塗装のプロの技術が必要です。ソリッドの赤だからいいか、と適当な塗料を塗ったところ周囲と色味が違って逆に目立ってしまったということも珍しくありません。

どうせ塗っても色が合わないから、ちょっとした傷ぐらいならそのままにしておくというバイクオーナーもいて、その気持ちも分からなくはありません。少々のダメージは愛車との思い出にもなります。しかしそれもレベル問題で、明らかに補修が必要なほど傷んでいる場合や、オークションやフリマで再塗装前提の予備部品を手に入れた場合などは、補修ペイントを行いたいものです。

 

POINT

  • ポイント1・バイク向けには塗料メーカーの調色配合データがないため、補修用の純正色を再現するには塗装のプロの目が必要
  • ポイント2・赤、黒、青といったシンプルなソリッドカラーも複数の原色を掛け合わせてあり、市販の缶スプレーの色合いで合うわけではない

実物をサンプルに調色してくれる塗料のオカジマ


複数の原色を混ぜながら見本色に近づけていく調色作業。見本部品の赤の明るさや濃さを観察し、自社で取り扱う塗料の特性を考慮してパレット代わりの紙片に塗って見本と比較して調整する。太陽光をダイレクトに当てたり斜めから見て合わせる必要があるため、写真や画像データではなく現物が必要。


紙片上で色味が決まったら、実際に見本部品に塗って確認する。ドライヤーで軽く乾燥させて塗料のウェット感がなくなった時に、正面や横から見て色のズレがないかを確かめる。チェックが終われば塗った塗料を拭き取っておく。


調色済みペイントは、燃料タンク着脱の際にヘッドパイプやトップブリッジに当てて塗膜を割りやすい先端部分の補修に最適。筆で重ね塗りして膜厚を稼いでからサンドペーパーでならせば、補修部分の見分けはつかなくなる。

一台分の外装パーツをすべて塗装するのであれば、プロの塗装業者に依頼するのが無難ですが、部分補修やパーツ単位で塗装したい時に頼りになるのが塗料のオカジマのオリジナル調色です。これは実際のパーツを見本に同社のスタッフが調色を行い、ペイントを作ってくれるというものです。

現在調色を行っているのはソリッドカラーのみで、バイクの外装パーツに多いメタリックやパール塗料には対応していません。しかし先述の通りバイクの純正色にはそもそも塗料メーカーの調色データがないため、アマチュアにとってはソリッドカラーでも色合わせはできません。ソリッドブラックならどんな塗料を使っても同じと思うかも知れませんが、黒にも色合いやツヤの幅があるため、適当な塗料を使うと失敗するリスクはあります。

塗料のオカジマは塗料販売店としてラッカーからウレタンまであらゆる塗料を取り扱いながら、さまざまな現場向けに店内で調色作業を行っています。バイクや車だけでなく、家の外壁や街頭のポールの塗装でもオリジナルの色を使用することがあります。そんな時に塗装業者にとって、調色済みのペイントが購入できるオカジマはとても便利な塗料店となるわけです。

我々バイクユーザーが愛車用の補修塗料を注文する際には、色見本となる部品を同社に持ち込むなり発送します。写真や画像データではカメラやモニターによって正確な色が再現できないので、あくまで現物が必要です。

また調色できるのはソリッドカラーだけで、メタリックカラーやパールカラーの調色は対応していないので注意が必要です。原色を何色使用するかは見本色ごとに異なります。とある原色が見本色にきわめて近ければ少ない色数で調色できることもありますが、何色も使わなければ再現できない場合もあります。これは色のプロにお任せするしかありません。

 

POINT

  • ポイント1・塗料や塗装資材を販売しながら、持ち込まれたサンプルや色見本を元に調色を行うショップがある
  • ポイント2・塗料のオカジマではソリッドカラーの調色を行い、メタリックやパールには対応していない

スプレー缶に充填してもらえばスプレーガンがなくても塗装できる


主剤と硬化剤を混ぜて使用する2液型アクリルウレタン塗料で調色すれば、耐ガソリン性のある高品質な塗装が可能となる。また硬化剤を混ぜない限り保管できるので、一度調色すれば長く使える。ただし硬化剤と専用シンナーと混ぜた上で塗装するため、作業にはスプレーガンが必要。


コンプレッサーやスプレーガンがない場合は、調色済み塗料をスプレー缶に充填してもらうこともできる。この場合、使用する塗料は1液型のアクリルラッカー塗料になる。耐ガソリン性が必要な場合は、別途缶スプレータイプのウレタンクリア塗料でコーティングする。

原色を混ぜ合わせて作った調色済みの塗料は缶に入れられるため、ユーザーが塗装する際はハケかスプレーガンで作業することになります。塗膜が割れて小さく剥離したり、線傷程度であれば小筆やハケでも目立たず補修できるでしょうが、サイドカバーや燃料タンクなどの大物はハケでは塗れません。さりとて誰もがスプレーガンやコンプレッサーを所有しているわけではありません。

そこで塗料のオカジマでは、調色した塗料を店内でスプレー缶に充填する作業も行っています。塗料とガスを適切に充填することで、ユーザーは調色済みのペイントを缶スプレーとして使うことができるのです。作業環境の養生は必要ですが、これならスプレーガンを用意するよりはるかに簡単に塗装できます。

塗料のオカジマによる調色作業には塗料代、調色技術料、スプレー缶にするなら充填費用が必要で、ホームセンターに並んでいる缶スプレーよりも高額になるのは確かです。しかしその対価として、愛車の塗装と同じ色合いの塗料が手に入ります。ソリッドカラーのみという限定はありますが、純正色を大切にしたいユーザーは塗料のオカジマのホームページ(http://www.paint-okajima.co.jp/)で作業内容の詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

POINT

  • ポイント1・調色した塗料で塗装するにはスプレーガンかハケを使う
  • ポイント2・塗料のオカジマでは調色済み塗料をスプレー缶に充填する作業も行っている

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