
経年劣化や事故やサビなどで傷んだ塗装を補修したいと思った時、バイクの塗装は塗料メーカーから調色データが提供されていないため、純正色でのペイントが難しいとされています。ノーマル仕上げが尊重される現在の絶版車において、純正色が再現できるとして重宝されているのが、バイクペイント.comの塗料セットです。ウレタン塗料が使える塗装環境が必要ですが、塗料のプロが調色する純正色はたいへん好評です。
バイク用塗料にはペイントメーカーの調色データがないため純正補修が難しい
ホンダCB750FBの純正色であるキャンディーブルゴーニュレッド。色名にキャンディーとあるとおり、下地にシルバーを塗った上からカラークリアを重ね塗りする。色味は合っていても、塗りムラが出やすく、塗り重ねるうちにどんどん濃くなってしまうのがキャンディカラーの難しいところ。これはバイクペイント.comのスタッフの手によるものなので、仕上がりは抜群だ。
純正色を再現するための調色は独自に行い、色番号を付けてストックしている。これがバイクペイント.comの重要な財産となっている。
バイクメーカーには新車販売が終了してからも一定期間、消耗品や重要保安部品を供給しなくてはならない義務があります。ブレーキパッドやケーブル類はそれなりに古い機種でも販売されるのはそのためです。しかし現実には、新車として売れた台数や販売終了してからの経過期間、市場での残存台数によって調整しているようです。
そんな純正部品の中で、燃料タンクやサイドカバー、カウルなどの外装部品は転倒すれば破損するのが当たり前ですが、1台の機種でカラーバリエーションが2~3種類あると部品の保管に要するスペースも相応となるためか、比較的早期に販売終了になることが多いのです。
絶版車の世界では2000年代前後にはオーナーやペインターの個性を発揮したカスタムペイントも多かったのですが、純正仕様がもてはやされるようになった現在では経年劣化や事故などで破損した外装部品を純正テイストで補修したいという要望が高まっています。
自動車用の純正色であれば、塗料メーカーから鈑金工場向けに調色配合データと呼ばれる見本が提供されています。自動車用でもバイク用でも、大半の純正色は複数の原色塗料を混ぜ合わせて製造されています。調色配合データには純正色ごとに、その塗料メーカーから何色の原色を、どの程度で混合するかが示されています。純正色も経年変化で色合いが変化することがあるので、新車当時の色を再現する調色配合データだけでは100%合わないこともありますが、塗料メーカーが提供する資料だけに間違いはありません。
絶版車にはカワサキZ2の火の玉カラーやCB750フォアのキャンディレッドなど、ユーザーがすぐにイメージできるモデルごとの象徴的な色が存在します。また、機種によっては純正カラーコードが存在することもあります。しかし、実はバイク用の塗料には自動車用のように調色のベースとなるデータがありません。そのため、補修ペイント時にはそれぞれのペインターが独自の方法で純正色を再現して塗装を行っているのが現状です。部品用品メーカーのデイトナでは、MCペインターシリーズでメーカー純正カラーを販売していますが、ラインナップは現行車用が主体で絶版車向けとはいえません。
絶版車は相応の年月を経過するうちに紫外線で褪色したり、コンパウンドで磨きすぎて変色するなど、たとえオリジナルカラーであったとしても新車当時の色なのかどうか?という点では難しい問題があります。
- ポイント1・補修用の純正部品の中で、塗装済み外装部品は比較的早く販売終了となることが多い
- ポイント2・バイクの純正色には調色配合データがないので、バイクメーカーが設定する純正色を調色データで再現することは事実上不可能
絶版車が現役だった頃から純正色のデータを採取してきたバイクペイント.com
膨大な原色からどの色を選択してどう調色するかは塗装のプロならではのノウハウがある。バイクメーカーが使用している塗料を手に入れることはできないので、独自の調色技術で純正色再現する。
絶版車の純正色を自社の塗料でどのように表現するかは、レシピとして保管されている。このデータで調色を行うことで、バイクペイント.comで販売されている純正色の品質は安定している。
これはカワサキZ2の火の玉カラーを再現するための塗料と塗装順。下地にシルバーを塗装した上にキャンディブラウンとラインのオレンジを塗装する。これもキャンディカラーなので、どこで塗り終えるかの判断が難しい。
バイクの純正色を補修ペイントで再現するのは難しいという現状に、蓄積されたデータと技術力で応えてきたのがバイクペイント.comです。同社はバイクの修理やレストアなどの補修系塗装を20年以上に渡って行ってきた塗装職人集団です。と同時に、補修作業と並行して純正塗装のデータ化を行ってきました。
自動車のような調色配合データが存在しないバイクの塗装では、使用している塗料のメーカーや原色の掛け合わせ具合が分かりません。つまり純正色を再現するにはどれだけ近づけていくかが勝負になります。そしてそのためには、できるだけ多くの程度の良いサンプルからデータを取ることが重要になります。
バイクメーカーで新車を製造する際は当然ながら品質管理をしていますが、使用する塗料のロットや塗装ラインでの作業次第で一定範囲の色のズレが生じている可能性はあります。黒や赤などのソリッドカラーであれば差違は少ないですが、1970年代の市販モデルが積極的に採用していたキャンディカラーは安定させるのが難しいとされています。キャンディカラーは下地となるベース色にカラークリアーを重ね塗りして仕上げているからです。そのため1973年1月に製造した車両と7月に製造した車両では、カラー名称が同じでも100%一致しているかどうかは分かりません。
バイクペイント.comでは多数の絶版車の純正色を製品化して販売しています。同社はバイクメーカーの新品部品の塗装をしていたわけではないので、純正部品を色見本にしています。再塗装された部品で調色できないのは当然ですが、純正色であっても日焼けで色抜けしてしまった部品では参考になりません。ただ同社では純正色を解析し、再現し、データ化する作業を20年以上前から地道に行い続けているため、当然ながら現在よりも程度の良い部品を見本に色作りを行っている点が大きなアドバンテージとなっています。
もうひとつユニークなのは、純正色と共にストライプやグラフィックを再現する図面も販売している点です。この図面は純正部品から採寸したデータを元に製作されています。細かいことを言えば、メーカーから出荷されたばかりの新車のストライプやグラフィックも、全車が寸分たりとも違わないというわけではありません。製造中のタンクの上にグラフィック用のテンプレートを置いて塗装を行っているため、どれか1台がタンクの中心からテンプレートが1mmズレて作業が進むことも珍しくありません。ラインデータを採取したサンプル次第ではありますが、バイクペイント.comではリアルな純正ストライプやグラフィックを元に図面を製作しています。
グラフィックを再現するにはデザインテープやマスキングテープを駆使してマスキングを行う必要があり、図面があれば完璧なグラフィックやラインが描けるわけではありません。しかし何も参考になる情報がない状態で勘に頼って作業するより「中心から●mmの位置に●mmのストライプを入れる」という情報が明示された図面があれば格段に参考になるのは間違いありません。
- ポイント1・大量生産される市販車の純正色や純正グラフィックは、一部も隙もなく同じというわけではなく、一定の幅の中でズレが生じている
- ポイント2・現在では絶版車となった機種の純正部品の塗装を20年以上前からデータ化してきたことが、バイクペイント.comの純正色塗料セットの最大の特長
仕上がりのクオリティは高いがスプレーガンとウレタン塗料で塗装できる環境が必要
車種別の図面付き塗料セットに含まれるマスキング用図面。ラインの位置や幅が寸法表示されているのでとても分かりやすい。分かりやすいがマスキングテープで滑らかなラインが引けるかどうかは別なので、情熱と粘りが必要かも知れない。
マスキング図面に従うと純正グラフィックが再現できる。新車は大量生産品なので、サンプルを採取する車両によって若干の差違はあるだろうが、純正部品から採寸したデータであることは間違いなく、写真や画像から想像するより正確に再現できる。
自分で塗装したいユーザー向けに、通信販売も積極的に行っているバイクペイント.com。塗料セットには作業手順を記載したマニュアルも同梱されているので、基礎知識から学ぶことができる。初体験でいきなりプロ級の出来を期待するのは難しいが、良い材料で作業することで仕上がりが良くなるのは確か。
色あせのない純正部品から調色されたバイクペイント.comの塗料は、再現度の良さから高い評価を得ています。グラフィック図面付きの機種別塗料セットに加えて、バイクメーカーが機種ごとに設定しているカラー名称に従って調色した塗料も販売しているので、色違いで購入した補修用部品を愛車の純正色に塗り直す際にも重宝します。
ただ塗装の品質にこだわるプロが販売する製品ゆえ、同社の純正色ペイントはウレタン塗料となります。ウレタン塗料は主剤と硬化剤の2液を混合してスプレーガンで吹き付ける塗料なので、コンプレッサーやスプレーガンなどの設備が必要です。またきれいな仕上がりにしたいと思えば、塗装する環境も塗装ブーストまでは言わずとも露天より囲われた場所の方が良いでしょう。DIYでペイントしたいサンデーメカニックにとっては、ここが高いハードルになるかも知れません。
しかし、たとえば塗装作業はプロにお願いするとしても、塗料はバイクペイント.comの製品を支給するという手段もあります。人によっては自身で調色した塗料を使いたいという作業者もいるでしょう。しかし塗装のプロだから絶版車の純正色を再現できるとは限りません。塗装が劣化した部品の再生を依頼する場合はなおさらです。またバイクペイント.comは社内にペイント設備があるので、自分の部品を送って塗装してもらうことも可能です。
自分で塗装できる環境があり、なおかつ純正色で再ペイントをしたい場合は、バイクペイント.comの豊富なラインナップに愛車のカラーがあるか確認してみることをお勧めします。
- ポイント1・バイクペイント.comの材料はウレタン塗料なので、塗装するにはスプレーガンとコンプレッサーが必要
- ポイント2・自分自身で塗装作業ができない場合はバイクペイント.comに作業を依頼することも可能
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こちらの商品は販売終了いたしました
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