あれっ!?ボルトが折れている、とか、折れてしまった……といったときには、DIYで抜き取りチャレンジするのか?それとも内燃機業者へ依頼するのか?状況に応じた判断が必要になる。ここでは、気が付いたときにはすでに折れ込んでいた、ハンドルクランプボルトのDIY除去にチャレンジしてみた。

ナメでかかると大失敗!!

スペアパーツで購入した旧車用トップブリッジ。磨いて使おうと思ったら、クランプボルト(M6サイズ)1本が折れ込んでいた。仮に、締め付け途中の金属疲労でボルトが折れた場合は、比較的容易にボルトは抜けることが多いが、緩める途中で折れたボルトは、そうは簡単に除去できないことが多い……。

ボール盤のベッドにしっかり固定して作業進行



どんな状況でも折れ込みボルトを除去するには、折れたボルトと同じ角度で穴加工できる状況でなくてはいけない。トップブリッジのフォーククランプの座が平面だったので、その座を作業テーブルにしっかり押し付けて固定(木工用クランプを利用)してから作業に取り掛かった。

垂直かつセンターに穴あけ



ボール盤のテーブルにトップブリッジをしっかり固定したら、折れ込みボルトのセンターにポンチマークを付け、そのマークに向けてセンタードリルを押し付けて下穴作りを行う。下穴をボルトの中心付近に加工したら、切削油を下穴に吹き付け、まずはΦ4.0mmのドリル(キリ)でボルトに穴あけした。折れ込みネジががっちりネジ山に食いついていなければ、この段階で折れ込みボルトがクルクル回り出すこともある。今回は貫通穴を開けられたので、その穴にスクリューエキストラクターを左回しに食い込ませてみた。エキストラクターが折れそうになったり、まったく歯が立たないときには、エキストラクターは使わずさらに穴拡大して折れ込みボルトを切削除去する方法もある。

熱膨張の利用は賢い裏技



ボルトの折れ込み部品がアルミだろうと鉄だろうと、患部周辺をヒートガンやバーナーで温めることで、ネジ穴が膨張して防錆浸透油が染みこみやすくする。ネジ穴が貫通穴なら、裏側からオイルを吹き付けても良い。部品を温めることで食い込んだスクリューエキストラクターは回りやすくなる。

ネジ山が生きているか?まずはタップで確認

折れ込みボルトはスクリューエキストラクターで難なく抜き取りに成功した。折れ込みボルトの中心に下穴を明けられた段階で勝利だった!?ボルトを抜き取ったら、ネジサイズのタップを通してネジ山コンディションを見極め、それからボルトがスムーズにクルクル回るか指先で確認しよう。

POINT

  • ポイント1・ハンドドリルで下穴加工を施す際には、誰かにドリルキリの倒れを確認してもらいながら穴加工しよう
  • ポイント2・できる限りハンドドリルではなくボール盤を利用して穴加工を行いたい
  • ポイント3・ ヒーターやバーナーを併用してネジ穴周辺を膨張させてから作業進行しようも

折れたボルトは抜き取り復旧しなくてはいけない。高年式モデルで中古部品が入手できるのなら、部品交換してしまった方が手っ取り早いこともある。しかし、必ずしも部品が見つかるとは限らないので、折れ込みボルトは復旧しなくてはいけないケースが多い。ここで知っていてほしいのが、ボルトが折れたタイミングだ。「締め付け途中に折れてしまった」ケースと、「緩める途中で折れてしまった」ボルトでは、その後の対処方法にも大きな違いが出てくる。一般的に、締め付け途中やトルクを掛けようとしたときに折れてしまうボルトは「金属疲労」によるものだと考えられる。

一方、緩める=抜き取ろうとした途中で、ボルトが折れてしまったようなときは、「ネジ山カジリ」によるボルト折れが多い。ネジ山が貫通穴なのか?それとも袋小路なのか?によっても対処法や作業のしやすさに違いがあると思うが、いずれにしても前者=締め付け途中で折れてしまったボルトのネジ部分は、比較的容易に取り出す=レスキューすることができる。

逆に、緩める途中で折れてしまった、とか、ネジ切れてしまった、と言った場合は、そう簡単に復旧できないと考えよう。ネジ部分が焼き付いて折れてしまうケースが多いのだ。ベテランサンメカになると、ボルトを緩める途中の手に伝わる違和感やキーッと音が聞こえたときには、その場でネジを緩める手を止め、逆に締め付け方向に僅かだけ回すことがある。この際に、締め付け方向に少しでも回ればラッキー!! その段階で防錆浸透スプレーをネジ穴に向けて吹き付け、ある一定範囲、角度的には45~90度(1/8~1/4回転)程度で「締め×緩め」を繰り返し行う。抵抗感が減ったら、再び防錆浸透スプレーをネジ部に吹き付け、回転角度を徐々に増やしながらボルトを抜き取るのが良い。

うりゃ!!と工具を無理に回してボルトを折ってしまうことを考えれば、このような小角度回しの繰り返し+オイル塗布の方が、間違いなく時間を有意義に使うことができるはずだ。そして、ボルトを抜き取ることができたら、部品復元の前に、ネジ穴に合致したタップでネジ山をさらい、新しいボルトをスムーズに締め付けられるか確認だ。

折れ込みボルト抜き取るために生まれた「レスキュー系工具」は数多くあるが、大切なことは、締め込み時の折れか?緩め時の折れか?明確にすること。そして、慌てず確実な方法で復旧することである。こりゃダメかな!?と思ったときには、DIYで頑張ろうなどと考えず、内燃機加工のプロショップへ復旧依頼することをお勧めします。

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