部品交換する際にも、周辺部品や関連構成部品をしっかりクリーンナップしなくてはいけないのは同じである。また、単純に部品交換しただけでは、コンディション改善を得られないケースもある。ここでは、キャブレターの分解&メンテナンス時に、気にしておきたい部分に注目してみよう。

スプレー式!? それとも、漬け込み洗浄!?



キャブレターの汚れを洗浄&クリーンナップするケミカルには様々な商品がある。どんな商品が良いのか!? それは実際に使ってみないとわからないものだが、手軽に洗浄作業ができるスプレー式と、各部品を分解してからクリーニングする漬け込み式があることを知っておこう。わずかな汚れならスプレーケミカルで何とかなってしまうが、見るからに激しい汚れの時には、初めから覚悟し段取りを決めて、確実な洗浄作業を進行したいものだ。

高い信頼性のヤマルーブ【原液タイプ】

良く振った現液タイプの洗浄剤とガソリンを3対7の割合で希釈し、分解したパーツを浸してクリーンナップするケミカルが、ヤマルーブから発売されているスーパーキャブレタークリーナー【原液タイプ】。小さな容器の中に、細かな部品を浸し洗浄するが効率良く作業するテクニックだ。PETボトルをカットした容器を自作するのがお勧め。

磨き込みで打痕消し!?



フロートバルブが引っかかるとバルブが閉じきれずにガソリンが落ち続け、それが原因でオーバーフローに至ってしまうことがある。それだけが原因ではなく、フロートバルブとフロートの接点に段差や摩耗が発生し、そこにバルブ先端が引っかかってフロートバルブを閉じ切れなくなってしまうこともある。そんなフロートバルブを作動させる部分が真鍮部品や金属部品の時には、綿棒とメタルコンパウンドで段差摩耗を磨き落としても良い。こんな地味な作業でオーバーフローを解決できることもある。

ちょっとした部分も注意深く



フロートバルブを作動させるフロートの舌部分に段差があるとバルブが引っかかってしまいスムーズに動けないことがある。また、フロートバルブのシートにゴミが付着したまま取れないとオーバーフローを繰り返してしまう。突っつき棒にはやわらかい爪楊枝が良く、シートを磨きたいときには綿棒にメタルコンパウンドを少量塗布して磨くのが良い。

機種対応があれば頼りになる燃調キット





フロートチャンバーガスケットの合わせ目部分から、ガソリンが滲んでしまうことはよくあること。ガスケットに切れが無くても、完全に押しつぶされているとシール性能は著しく低下してしまう。そんなときにはガスケットを新品に交換したいものだが、仮に、機種適合があるならキースターの燃調キットをお勧めしたい。燃調セッティングパーツだけではなく、各種ガスケット類も含めて1パッケージのセット販売。ありがたいパーツだ。

フロートバルブセットも含まれる燃調キット



とあるモデルの純正フロードバルブセットを購入しようと思ったら、オールインのキースター製燃調キットと、部品価格に差が無いことが判明したことも。キースター製キットパーツは、それだけ廉価でもあるのだ。フロートバルブを交換する際には、舌の磨きと油面の高さ調整は必ず実践しよう。

リフレッシュすると気持ちイイ!!

メインジェット、パイロットジェット、フロートバルブセット、ニードルジェットにジェットニードル等々、燃調キットに同梱されるパーツでオーバーホール実践した2スト旧車用キャブレター。フロード形状は「ハの字」で正解だが、このタイプのキャブに限らず、フロートが歪んでキャブボディやフロートチャンバー内壁と干渉してしまい、フロートバルブが閉じきれずにオーバーフローを起こしているケースも多い。キャブレターの分解メンテナンス時には、先入観だけではなく、現状コンディションをしっかり見極めなくてはいけない。

POINT

  • ポイント1・オーバーフロー原因も様々なので、原因特定時には先入観を捨て去ろう
  • ポイント2・キースター製燃調キットは、セッティングだけではなくキャブのオーバーホール時にもありがたい商品

経験があればあるほど先入観を持ちやすいものだが「思いも寄らなかったところ」にトラブル原因を見つけた時には、「えっ、こんなこともあるの……」なんて思いをしながらも、この稀なトラブルもひとつの大きな経験になる。そんな経験が、サンデーメカニックの「引き出し」の数になるのだ。キャブレターからガソリンがオーバーフローしたので、各部品を分解して、しっかり洗浄後に組み立て、車体に復元してガソリンを流したら、またしてもオーバーフローに…… そんな経験のあるサンメカもいるはずだ。

単純にゴミの引っ掛かりが原因なら、分解洗浄後の復元でオーバーフローは止まることが多い。しかしその際に、ガソリンタンク内に汚れは無いか?燃料コックのストレーナーカップに汚れが溜まっていないか?などなど、何故、キャブのフロートバルブにゴミが引っ掛かったのか?その原因を突き止めておきたいものだ。

長年乗り込んだバイクの場合は、フロートバルブを作動させるフロートの舌(通称名)と呼ばれる部分に、バルブ接点の突起が打痕を残してしまうこともある。そうなると、ガソリン流入量に合わせてフロートが作動する(浮き上がる)途中で、バルブの突起と舌の打痕が引っ掛かってしまい(本来なら舌の上をバルブ突起が滑って移動する)、その位置でフロートが止まり、バルブを閉じきれない状態になってしまう。そんなトラブルを発見したときには、舌の打痕を平ポンチで軽く叩いて戻したり、症状が軽いときには綿棒にメタルコンパウンドを塗布して磨くことで、打痕を無くすこともできる。このようなトラブルは真鍮製フロートに多いので、分解時には舌のコンディションを確認点検するように心掛けよう。

フロートチャンバーをボディへ組み込むと、チャンバー内壁とフロートの一部が干渉し、フロートバルブを閉じ切れずにオーバーフローを繰り返すこともある。キャブを車体に復元してから、まだトラブル解消していないことに気が付くのでは遅いので、キャブ単体の状態でオーバーフローしないか?オイラーに入れたガソリンや点滴タンクを利用して、ガソリンをあらかじめ流して、オーバーフローしないか単品確認してから車体に復元するのが良い。特に、4気筒4連キャブなら尚更点検しよう。

キャブレターの分解メンテナンス時にあると便利なのが、キースターブランドの燃調キットである。フロートバルブセットや数段階のメイン/パイロット(スロー)ジェットセットやその他の主要パーツはもちろん、各種ガスケットやOリングも同梱されているので、手っ取り早く補修部品を購入することができる。また、ガソリンタンクに頼らずエンジン始動が可能になる、メンテナンス用燃料タンク(通称点滴タンク)があると作業進行が早いので、サンメカなら所持していたいものだ。

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