どんな部品でもオイル漏れに気がついたときには、できる限り素早く修理したい。特に、素早く対応したいのが、フロントフォークのオイルシールだ。そのまま放置してしまったことがきっかけで、ディスクブレーキローターやブレーキパッドにダンパーオイルが滴り落ち、あわや怖い想いを!?といったお話しは、決して珍しいものではない。フォークシール交換時には、インナーチューブや内部パーツのコンディションにも気を配ろう

気がついた時にはダダ漏れに……



正立式でも倒立式でも、インナーチューブが露出したモデルはオイルシールの傷みが早い。気合いを入れて洗車&ワックス掛けするのは良いことだが、それ以上に、ウエスでこまめに拭き取り掃除したいのが、インナーチューブやリアショックのダンパーロッドだ。ウエスで汚れを拭き取り、さらに防錆オイルをウエスに吹き付け、そのウエスでメッキ部品を磨き、拭き取ることで、インナーチューブやダンパーロッドのケアをできる

メーカー垣根を越えても大丈夫!?

メーカー純正部品は間違い無いし安心して使うことができる。一方で、オイルメーカーのブランドオイルも、一度は試してみる価値がある。大切なことは、定期的なオイル交換を実践することによって、インナーパーツの摩耗が減り、常にコンディション良く部品性能を発揮させることだ。今回、マシンオーナーさんから預かったのは、カワサキ純正フォークオイルの10番。オイル量はメーカー指示通りとの申し送りだった。メーカー純正指定のオイル粘度やオイル量、油面の高さは、あくまで参考基準値と考え、ライダーの走り方や実際の走行フィーリングでセッティング変更しても良い。大柄なライダーでノーズダイブが気になるのなら、スプリング強化の前にフォークオイルの粘度を高めたり、油面の高さを増しても良いだろう。僅かなセッティング変更でも、実際の走りとして体感できることは意外と多いのだ。

オイルシールも純正部品だけではない

フォークオイルシールとダストシール、またボトムケースの底からインナーダンパーを締め付けるボルトに入るガスケットワッシャーなどなど、マシンオーナーから新品部品を預かった。機種によっては、低フリクションロスのオイルシールやダストシールがセット販売されているパーツもあるので、スポーツ走行を楽しむライダーなら、それらのスペシャルパーツを試してみるのも良いだろう。

正立フォークの分解時はトップブリッジから

フロントフォークを抜き取ってしまうと、インナーチューブの固定に困り、分解しにくくなってしまうことがよくある。そうならないために、ステム(アンダーブラケット)のクランプはそのままに、トップブリッジのクランプを緩めるのが良い。こうすることで、車載状態で、フロントフォークのトップボルトを緩めることができる。

先にボルトを緩めてしまうのがコツ



拭き取ってしまったフロントフォークのトップボルトは、インナーチューブが回ってしまい緩めにくい部品として知られているが、ステムクランプがしっかり固定されていれば、供回りすることなくしっかり緩めることができる。左右のボトムケースが金属製フロントフェンダーでがっちり固定されているモデルなら、ボトムボルトも車載状態で緩める(締め付けトルクを抜く)ことができる。抜き取ったフロントフォークのトップボルトは、簡単に取り外せる。つまりオイル交換も容易に行うことができるはず。マシンオーナーさんから伺ったお話では、前回のオイル交換から1年走ったそうだ。

インナーチューブのクランプ部にサビ発見

湿気の多い場所での保管や軒先保管、あるいは雨中の走行後は、インナーチューブの汚れや水分を頻繁に拭き取るように心掛けよう。インナーチューブのオイルシール摺動面に点サビが発生すると、それが原因で、オイルシールにダメージを与えてしまうことが多い。このVTRは、ステムクランプ部分に水分が入り込み、表面サビが始まっていた。オイルに浸した2000番の耐水サンドペーパーで磨き落とすことができたので良かった。ザビを除去する際には、インナーチューブの長手(上下)方向で磨くのではなく、インナーチューブにサンドペーパーを巻き付けて、回転させるように磨いてサビ除去するのが良い。

オイルシール組み付け時の作業段取り

インナーチューブ端面は想像した以上に鋭い。オイルシールを組み込む際に、シールリップにインナーチューブのエッジが当り、肝心のシールリップにダメージを与えてしまう(切れてしまう)ことがある。そんなダメージから回避するためにお勧めしたいのが、ビニール袋やラップをインナーチューブエッジに被せてから、オイルシールを組み込むテクニックだ。フロントフォークだけではなく、他のオイルシール組み付け時にも応用することができる。

リップを痛めないようにゆっくりと



現実問題、洗浄したインナーチューブを拭き取り、オイルシールをそのまま組み込んだことで、シールリップにダメージを与えてしまった……といった実例は多い。分解しないと交換できない部品でもあるので、組み付け時には、念には念を入れて、組み立て進行すべきだろう。オイルシールリップにはラバーグリスを適量塗布し、ラップを被せた上からもラバーグリスを薄く塗布するのが良い。さらにオイルシールリップを一方へ押し付け、隙間を設けながらスーッと差込むコツを覚えよう。

POINT

  • ポイント1・気がついたときにはできる限り早めにオイルシール交換
  • ポイント2・オイルシールを痛めないためにも、日頃からインナーチューブの汚れやゴミを除去し拭き取るように習慣づけよう
  • ポイント2・インナーチューブにオイルシールを差込む際には、ビニールを被してラバーグリスを併用しよう

フロントフォークオイルもエンジンオイルと同様に、メーカー純正はもちろん、様々なメーカーから様々な商品が発売されている。旧車に多いダンパーロッドタイプは、一般的なオイル粘度(市販車は10番が多い)を採用しているが、高性能モデルのカートリッジダンパー仕様などは、柔らかいオイル粘度を採用し、メカニカルにダンパー性能を発揮させるタイプが多い。いずれにしても、メンテナンスするモデルに併せたオイルのチョイスが重要なことを事前に知っておこう。

一般的に高性能フロントフォークオイルは、熱に対してダレが少なく、オイル温度が上昇した時に発生する気泡の量が少なく、消泡性が良いオイルとされている。一般市販車で公道を走るときなどは、その違いを体感することはなかなかできないかも知れないが、例えばミニバイクでも、3時間や7時間の耐久レースでは、その違いは明確になって現れるものだ。過去にあった事例だが、第一ライダーで走った後、数時間後に再び出番が回ってきたので騎乗。そのときに、第一ライダーで走った時とはまるで違ったサスセッティングに変っていたことがあった。レース途中でダンピング変更やバネの固さ変更は行っていなかったので、その違いは「フォークオイルの劣化」と判断することができた。そこで、次のレースへ参戦するときには、高性能フォークオイルを使用。さらに硬めオイルセッティングに変更したことで、フォークオイルの劣化は以前と比べて少なく、安定したセッティングで長丁場を走りきることができた。

ここでは、ホンダ車にカワサキ純正(KYB社製)フロントフォークを利用したが、特に問題は無い。スポーツ走行(サーキット走行)に参加する前のメンテナンスだったので、次の機会には是非、高性能フロントフォークオイルも試してみて欲しいと思った次第である。

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