今後しばらく乗る機会がなくなる?なんて思った水冷エンジン車なら、冷却水を抜き取り、水道ホースでエンジン冷却通路をしっかり洗浄。その後、エアーブローも行い、水分をしっかり除去してから保管に入るのが望ましい。冷却水を入れっ放しにしたまま保管していたら、冷却水を新品に交換してからエンジン始動に取り掛かるのが良いだろう。このNSR250Rは不動状況で冬眠数年。以前にしっかりメンテナンスされていた様子で、美しい緑色の冷却水=LLC=ロングライフクーラントが出て来たので良かった

冷却水のドレンボルトを緩めるときには

NSR250Rの/前傾2ストロークV型2気筒エンジンの場合は、下側シリンダーの左側に冷却水用のドレンボルトがあった。ドレンボルトを緩める前にラジエターキャッブは取り外さないこと。キャップを取り外してしまうとエアー抜けが良くなり、ドレンボルトを取り外したのと同時に冷却水が溢れだしてしまう。

ドレンボルト→ラジエターキャップの順番



ドレンボルトを抜き取っても、冷却水はチョロチョロッとしか出て来なかった。そこでラジエターキャップを取り外すと、ドレンボルト穴からは勢いよく冷却水が飛び出してきた。通気が良くなると冷却水の流れは激変する。作業場を水浸しにしてしまうのではなく、洗面器やたらいで受けてから処理するのが良い。作業近況を良くすることも、メンテナンス段取りのひとつだ。

水道ホースを突っ込んで流そう



LLCがほぼ出切ったら、水道ホースを突っ込み、勢いよく清水を流し込もう。流している途中に冷却ホースを指先でもんで流れに変化をつけるることで多くの古い冷却水を流し出すことができる。ドレンから出てくる水が完全透明になったら水道水の流し込みをやめて、エアーガンをラジエターキャップ部分へ押し付け、ウエスで押さえつけながらエアーを送り込もう。とにかく古い冷却水をしっかり流しだそう。

「原液利用」と「水割り利用」がある



今回購入したLLCは水割りタイプ。使用条件(気温環境)によって水割り希釈する濃度をへんこうするのだ。気温環境は零下15度を超えることはないが(そもそも極寒の雪国でばいくに乗ることはないと思うが)、今回は念のためにLLC原液35%の清水65%で希釈した冷却水を準備。雪国の自動車で利用する際には、希釈濃度をもっと高めておく必要もあるはずだ。また、バイクに乗らずとも極寒の厳冬を越えるような地域なら、LLC濃いめに冷却水を作るのが良いだろう。原液利用タイプなら、希釈することなくそのまま利用することができる。

混合燃料でエンジン始動



しばらく乗ることがなかった2ストロークエンジンは、分離給油式でもガソリンとエンジンオイルをあらかじめ混ぜた混合燃料で始動テストするのがベストだ。4ストロークエンジンならフレッシュなガソリンだけで大丈夫だが、2ストロークエンジンなので、オイルポンプ機能を信用することなく「混合ガソリン」を利用してエンジン始動しよう。混合ガソリンを作るときにあると便利なのがミックスタンクだ。混合比率に合せてガソリンとエンジンオイルを別々に入れてフタを閉じ、タンク内で混ぜて混合ガソリンを作るのだ。20対1や30対1など、メモリに合せてガソリンとオイルを入れてから混合しよう。

点滴タンクが使いやすい

2ストローク用エンジンオイルの分離給油タンク内のオイルは、灯油ポンプを使ってヘットボトルへ抜き取り最低限の量だけ残そう。混合ガソリンを入れた点滴タンクを準備して裸の車体上に吊り下げて、エンジン始動の段取りに入る。

比較的容易にエンジン始動!!



点滴タンクを下げて準備ができたらコックON。チョークレバーを引いてキックを踏み込むこと数発!!気持ち良くエンジンは始動できた。さすがに数年間(2年程度)眠っていたので、クランクケースの一次圧縮室内にはエンジンオイルが落下して溜まっていたのか、マフラーからの白煙は通常以上に長く続いた。ある程度エンジンを温めたら、ラジエターキャップを外して冷却水量を確認してみよう。エアー噛みの分は減っているので、2000rpm程度の高めのアイドリングを保ち、冷却水の液面を確認。コポコポッと水量が減るときには、追加でキャップギリギリまで冷却水を満たそう。液面変化が無くなったら、キャップを閉じてエンジン回転5000rpm程度に保つこと約10秒。その後、エンジンを停止してキャップ直下に液面があるのを確認しよう。エンジン回転を高める際にはキャップを閉じよう。キャップを開放したままエンジン回転を高めると、次に回転落ちと同時に冷却水が溢れ出てしまう。

POINT

  • ポイント1・しばらく乗る予定が無いバイクは、冷却水とガソリンをしっかり抜き取り保管するのがお勧め
  • ポイント2・古い冷却水はしっかり排出。新しい冷却水を入れたときにはエアー抜きをしっかり行おう
  • ポイント3・希釈タイプのLLC/冷却水は、LLC対清水の混合比を間違わないように希釈しよう
  • ポイント4・2ストエンジンの始動テスト時にはガソリンではなく混合ガソリンを利用するのがおすすめ

空冷エンジン搭載モデルばかりに乗り続けていると、水冷エンジン車に戸惑ってしまうことがある。その名の通り「水冷=冷却水」問題が脳裏をよぎるのだ……。このNSR250Rは、しっかりメンテナンスされていたので良かった。コンディションが良い緑色のロングライフクーラントが出て来たので安心(赤色のLLCもある)。すべてがこんなコンディションなら良いが、放置車両の多くが、そうではないことが実は多い……。

水冷モデルで長年放置。ホコリがどっさり被ったようなバイクは、ラジエターキャップを取り外し、まずは冷却水コンディションから点検してみよう。赤色クーラントのクリア度とは違った、赤色冷却水(赤レンガのような濁った赤色)時には、要注意である。その原因の多くが「サビ」なのだ。LLC=ロングライフクーラントは、防錆効果が高いうえに、確実な冷却効果を発揮できるのが大きな特徴。エンジン内には鈑金部品や鋳鉄部品がある。例えば、ウォーターポンプのイニペラはスチール製鈑金部品が多く、シリンダーの冷却には鋳鉄スリーブをダイレクトに冷やしているモデルも多い。したがって、真水や水道水だけを冷却水に使うと、気がついたときには冷却水が真っ赤にサビてしまうことが多いのだ。

レースシーンでは、LLCの使用が禁止されていて、水道水を使うように指示されていた時期があるが、そんな当時は、レース終了後のパドックで冷却水を抜き取るのが一般的なメンテナンスだった。抜き忘れてしまい、そのまま放置したことで冷却水が真っ赤にサビてしまって……といったお話しは珍しくない。冬場に冷却水が凍結してしまい、ラジエターが破裂!!最悪で、シリンダーブロックが膨張亀裂……といったお話しもあるほどだ。したがって、何らかの理由で水道水を利用した際には、早めに抜き取るかLLCに交換しておこう。

冷却水を入れ換えるときの注意点は、古い冷却水をできる限り抜き取ってから新品LLCを注入する。また、注入後にエンジン始動したら、アイドリングを保った状態でラジエターへつながるアッパーホースやロアホースをつまんで揉み、エアー溜まりやエアー噛みを無くして、容量いっぱいまで冷却水を満たそう。水温が上がってサーモスタットが開くと、ゴボゴボッといった音とともに水位が一気に低下するので、その段階でLLCを注ぎ足し、冷却水を満タンにしよう。ラジエターキャップを開けたままエンジン回転を上下させると、エンジン回転下降時に冷却水が溢れ出てしまうので、エンジン回転を4~5000rpmに保ちつつ冷却水をラジエターいっぱいまで注ぎ入れ、エンジン回転を保ったままキャップを閉じるのもひとつのテクニックである。最後にエンジン停止したら、冷却水リザーブタンクのアッパーレベルまでLLCを注ぎ入れて作業は終了だ。

また、ギヤオイルやエンジンオイルを点検した際に、フィラーキャップの裏側に「乳化した白いオイル(エマルジョンと呼ばれる)」がクリーム状に付着しているときには、ウォーターポンプのメカニカルシール不良や水漏れが疑われるので、大きなダメージに至る前に、原因究明し、必要に応じた修理が必要不可欠なことも知っておこう。

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