シフトアップでもシフトダウンでも、チェンジペダルを操作した後はペダルは常に同じ位置に戻るのが当たり前。そう思っているからこそ、踏み込んだペダルが戻らないと焦ってしまいます。そんな時も無理矢理ペダルを掻き上げればシフトアップできる場合もありますが、大きなトラブルにつながる場合もあるので、原因の確定と適切な修理を行うことが必要です。

チェンジリンクの潤滑不良や角度不良が作動性悪化の原因になることもある


太いスプリングがシフトシャフトのリターンスプリングで、細い方がシフト爪用のスプリング。リターンスプリングの端部はV字状になっているが、エンジンにセットする際はV字を開いてリターンピンに引っ掛ける。エンジンのオーバーホールやレストアを行う際は、破損の有無にかかわらず交換しておきたい。


シフトシャフトの軸部分にスプリングを挿入してV字状の両端を大きく開き、爪に掛けておく。チェンジペダルを踏んでも掻き上げても中立状態に戻すため張力が強いが、強い分だけ折れる時には一気に破損してしまうようだ。

クラッチレバーとチェンジペダルの操作がシンクロするか否かで、ライティングの快適性は大きく左右されます。シフトアップでもシフトダウンでも、レバーを握りペダルに足を添える程度の操作でカチッとシフトチェンジできればリズミカルに走行できます。逆にレバーが重かったりペダルにフリクションロスがあると、そちらに気を取られてストレスが溜まってしまいます。

クラッチの操作性を改善するには、ケーブル操作のクラッチであればケーブルの清掃と潤滑、レバーのピボットやレリーズアームのグリスアップが重要です。油圧クラッチであれば、定期的なフルード交換やマスターシリンダーやレリーズピストンの洗浄が有効です。

一方、チェンジペダルの動きが渋かったりペダルが重い場合、シフトシャフトとチェンジペダルをリンクで繋いでいる機種であれば、リンクの設定を見直してみることも有効です。シフトシャフトの端部のシフトレバーとチェンジペダルをつなぐシフトロッドの両端にはネジが切ってあり、ピローボールが組み込まれています。シフトロッドを回すことで、ピローボール間の距離が近づいたり遠ざかったりしてペダルの高さが変更できますが、この調整ではシフトロッドとシフトレバーはおよそ90°にするのがポイントです。

シフトロッドの調整量によりシフトレバーとチェンジペダルの角度が90°から大きくずれると、シフトチェンジの力がうまく伝わらず操作性を悪くする原因となります。メーカー純正のチェンジペダルで標準的な調整範囲内であれば、シフトロッドとシフトレバーの角度が大きくずれることはないと思いますが、シフトシャフトからシフトレバーを抜く作業をした場合は、正しい角度が再現できるよう復元することが大切です。

また基本的な部分ですが、チェンジペダルのピボット部分やピローボールに適切な潤滑を行うことも不可欠です。チェンジペダルはスプリングの力で中立に戻されるため、ピボット部分のフリクションロスが増加しても気がつきづらい面があります。しかし可動部分の汚れを洗浄して潤滑を行うことで、ビックリするほど滑らかにペダルが動き、シフトタッチが大いに改善されることもあります。クラッチケーブルの潤滑に気を奪われがちですが、たまにはチェンジペダル側にも配慮することで快適なライディングを楽しめます。

POINT

  • ポイント1・シフトチェンジの際のペダルタッチが渋い場合、リンク式ならチェンジペダルのピボット部分やリンクのジョイント部分の潤滑を行う
  • ポイント2・リンク式チェンジペダルはシフトレバーとシフトロッドの角度も重要

チェンジペダルを中立位置に戻すリターンスプリング破損が戻り不良の原因になることが多い


カワサキゼファーXのチェンジ外部機構。アウトプットシャフトとシフトシャフトが貫通するカバーを外すだけでシフトシャフトやシフトドラムが露出するのが特徴で、リターンスプリングもシフト爪のスプリングも容易に交換できる。


アウトプットシャフトのオイルシールもチェンジ外部機構のカバーに圧入されているので、シールの経年劣化でエンジンオイルが漏れたときもクランクケース圧入タイプのシールより簡単に交換できる。シフトドラム端面に一カ所だけ切れ目が入った黒い帯があるが、この帯部分がカバー側のニュートラルスイッチに触れている。シフトドラムがニュートラル位置に来るとスイッチ端子が帯の切れ目部分に接触して導通してニュートラルランプが点灯する。

クラッチケーブルやチェンジペダルの潤滑不足によるフリクションロスは、メンテナンスを怠ることで徐々に増大するタイプの不具合ですが、シフトチェンジに関して突如発生するトラブルもあります。それがシフトシャフトのリターンスプリング折れです。

シフトペダルを踏んでも掻き上げても、ペダルから足を離すと元の位置に戻るのは、シフトシャフトに組み込まれたリターンスプリングのおかげです。このスプリングは安全ピンのような形状で、コイル状のスプリングの両端が同じ方向に向かって延長されており、リターンスプリングピンに掛けられています。

このため、シフトシャフトは右回転しても左回転しても、つまりシフトアップしてもシフトダウンしても、リターンスプリングの位置がリターンスプリングピンで決められているため元の位置に戻ることができるのです。そして中立状態からシフトシャフトが動くと、その先の2本のシフト爪がシフトドラムを回転させてミッションギアの組み合わせを変えていきます。

リターンスプリングはチェンジ機構にとってとても重要な部品のひとつですが、前触れもなく突然折れてしまうことがあります。タイヤやクラッチ板のように摩耗する部品でもなく、シフトチェンジ動作が手荒だと劣化が早まるというわけではなく、一度も折れたことがないというバイクも少なくありません。

しかし、リターンスプリングが折損するとさまざまな支障が生じます。まず最初にチェンジペダルが下がったまま戻らなくなります。シフトシャフトに取り付けられたリターンスプリングは1本で、シフトアップでもシフトダウンでも作用しています。しかしペダル自体が重力によって下がるため、症状としてはペダル下がりとなります。

ペダルが下がるとシフトアップできない(正チェンジの場合)と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。シフトシャフトと一体化されたシフト爪が機能していれば、シフトペダルの位置は不安定ですが変速操作自体は可能な場合もあります。むしろ、変速できないという点では、シフト爪に組み込まれたスプリングの方が重要です。このスプリングはシフトドラムを左右から挟み込む2本の爪を引き合う働きをしており、破損するとシフトドラムが回せない=変速できない状態になってしまいます。

リターンスプリングに比べるとトラブル発生の確率は低めですが、どんな部品も絶対に破損しないということはありません。チェンジペダルは中立位置に戻るのに踏み降ろしても掻き上げてもつま先に変速できない、あるいはどちらか一方の動作しかできない場合は、爪側のスプリング破損が原因かもしれません。

POINT

  • ポイント1・シフトシャフトのリターンスプリングが折れるとチェンジペダルが下がったままになる
  • ポイント2・チェンジペダルを操作しても変速できない場合は、シフトドラムを作動させるシフト爪のスプリング破損の可能性がある

スプリングの破片が二次被害の原因となることもあるので早めの修理が必要


端部がV字状になるほど巻いてあるリターンスプリングが破損すると、リターンピンを挟めなくなり、シフトシャフトの位置決めができなくなる。その結果チェンジペダルは下がってしまう。いつ、どのようなきっかけで折れるかは分からないため、トラブルはいきなりやってくる。


リターンスプリングが折れると、当然ながらエンジン内部に落下する。この破片が回転部分に巻き込まれると大きなトラブルにつながるので、チェンジペダルが戻らなくなったらそのまま乗り続けることなく、早急な修理が必要だ。

シフトシャフトのリターンスプリングが破損するとチェンジペダルが下がったままになるものの、下がったペダルのさらに下につま先を入れれば掻き上げることは可能です。ただし折損したスプリングの破片がエンジン内部の回転部分に飛び込んでダメージを与える危険性があるので、早急に原因を特定して対処することが必要です。

ここではZ1やゼファーなどのカワサキ4気筒エンジンとドゥカティのシフトシャフトとリターンスプリング部分を紹介します。カワサキではクランクケースの外部にシフトシャフト一式を装着するのが伝統で、これをチェンジ外部機構と呼んでいました。このおかげでリターンスプリングを交換する際にクラッチバスケットを外す必要はありません。一方ドゥカティのエンジンはフライホイールの裏側にシフトシャフトがあるため、リターンスプリングを交換する場合はフライホイールの着脱が必要です。

したがってリターンスプリンが折れた場合、カワサキのZ系エンジン(GPZ900RやZZR系も含む)であればスプロケット裏側のカバーを外せば交換できますが、フライホイールやクラッチバスケットの着脱を要するエンジンの場合は作業に必要な工具や設備も相応の準備が必要になります。

チェンジペダルの動きの渋さは清掃やグリスアップで改善しますが、リターンスプリングがいつ折れるかを予想することはできません。普段と同じようにライディングしている途中でチェンジペダルが戻らなくなってしまったら、リターンスプリングのトラブルを疑ってみましょう。

POINT

  • ポイント1・シフトシャフトのリターンスプリング交換はエンジンの構造によって難易度が異なる
  • ポイント2・破損したスプリングの破片がエンジン内部にダメージを与えないよう、トラブルが発生した場合は走行をやめて早急に補修を行う

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