なんだかんだ言っても「スロットル操作性」は操縦安定性を左右する!!

バイクは機械であるが故、乗り続けることで摺動部には磨耗が生じ、気がついたときには「キコキコッ」などとメカニカルノイズを発してしまうことも……。そして、最悪で部品交換しなくてはいけなくなってしまうケースもある。エンジンノイズは日頃から気にしていても、車体からのノイズや作動性の低下に関しては、意外と無頓着なライダーが多いのも事実。スロットルの操作性もそのひとつだろう。走行時には常に操作している機能部品だが、意外にも作動不良に陥っているバイクが多い。ここでは、そんなスロットル操作性の「現状最善」を目指してみよう。

知らず知らずのうちに汚れて作動性低下!?

乗りっ放しだったバイクはもちろん、普段メンテナンスしている車両でも、オフロード走行が多いバイクはスロットルハウジング内に水分やドロが入り作動性が明らかに低下しているケースが多い。スロットルハウジング内部の分解洗浄エアーブローはもちろん、定期的なグリスアップも必須項目だ。

ハンドルとスロットルパイプの汚れが×

転倒などによってスロットルパイプのコンディションが悪くなり(スロットルグリップをセットする部品)、スロットル操作が重くなったり、操作途中に違和感が出るケースも多々ある。ハンドルパイプの汚れはパーツクリーナーやガソリンを塗布したウエスでしっかり拭き取ろう。スロットルパイプ内の汚れも、パーツクリーナーを吹き付け、ロングドライバーにウエスを巻き付けてしっかり拭き取ろう。

部品単品での確認作業が重要!!

しっかり洗浄&クリーンナップしたからと言って、いきなり組み込んでしまわないのが最大のポイント。ハンドルパイプエンドにスロットルパイプを差し込み、単品部品同士でスムーズに回転するか確認してみよう。引っ掛かり感は絶対にNG。引っ掛かりがある時や動きが渋い理由は、転倒で削れたスロットルパイプやパイプの変形にあることが多い。

ケーブルのワイヤー摺動部にグリスアップ

ハンドルパイプエンドの曲がりや転倒時に発生したハンドル側のバリが原因でもスロットルパイプがスムーズに作動しないことは多い。すべてのパーツと単品部品同士の作動性を点検し、スムーズに動いたら復元開始。タイコの引っ掛け部分はもちろん、スロットルケーブルはインナーワイヤーを引っ張り出して、指先で擦り込むようにグリスアップしよう。

金属同士の摺動部こそ要チェック

リンク式チェンジペダルのピボットやブレーキペダルのピボット(アームやペダルの支点部分)は、機種を問わずどんなモデルでもグリスアップのポイントだ。リアブレーキペダルのピボット部分の洗浄&グリスアップは、部品を取り外して作業することで、より良いコンディションになる。フレームに溶接されているピボットシャフトにパーツクリーナーを吹きつけウエスで汚れをしっかり拭き取ってから、次の作業へ進もう。

グリスアップでコンディション激変!!

原付クラスなら鉄部品同士で摺動。中型クラスならペダル側にメタルブッシュが圧入されているケースもある。大型モデルの中には、ニードルベアリングが組み込まれるブレーキペダルもある。このリアブレーキペダルを取り外した「ついで」に、ブレーキスイッチの作動確認や調整、周辺パーツの様子もしっかり点検しておこう。ブレーキペダルの摺動ピボット部にはしっかりグリスアップ。ブレーキロッドのアジャストナット部にグリスアップすることで、後々のペダルの遊び調整が楽になる。分解せずしてグリスアップできるが、ナットを取り外してからグリスアップすることで、より高い効果を得られる。また、ナットの作動が渋いときには、ブレーキロッドのネジ部分にダイスを通して、ネジ山をリフレッシュするのが良い。

日頃からバイクをキレイに維持している車両は、各部のコンディションが想像以上に良いものだ。足周りがドロで汚れたときには洗車……。ホコリ被ぶりが気になるときにはウエスで拭き取る、などなど、バイクをキレイにすることで、様々な箇所を見て触れることになり、時には不具合にも気が付くことがある。ブレーキキャリパーの汚れを拭っていて「ブレーキパッドの減り」に気が付いたり、キャリパーのスライドピンから音が出ていたのでグリスアップするなどなど、様々な不具合に気が付き、同時にメンテナンスを実践。そんな繰り返しによって、バイクのコンディションは、知らず知らずのうちに良くなっていくものなのだ。

ここではスロットル系とリアブレーキ関連部品のグリスアップを実践してみよう。グリスアップと言えば、ホイールベアリングやスイングアームピボットなどへ施すことで作動性が良くなり、スムーズな走りを実現できるようになることでも知られている。部品の作動部や摺動部には、少なからずストレスが生じるもの。潤滑油やグリスが切れ気味になると、当然ながら作動性は低下してしまう。この作動性の低下=悪くなったことに気が付いたときは、素早く潤滑油やグリスを塗布したいが、すぐにメンテナンスできないときには、応急処置として防錆潤滑スプレーを患部に吹きつけておくのも良い。スプレーしても症状が改善されないときには、分解洗浄＋グリースアップが必要不可欠である。

スプレーを吹き付けただけで症状が改善されたときには「スプレーするだけで良い!!」などと思わず、分解＋グリスアップによって、さらなる作動性の向上を目指そう。オイルやグリス切れで作動不良だった部分に潤滑スプレーを施し症状が改善された状況時は、吹き付けた潤滑オイルによって、カジリ患部の汚れやゴミが滑り流されたからとも考えられる。こうなると、金属同士が直接摺動するのも時間の問題。より深いカジリ症状に至ってしまう前に、グリスアップを施すことでより一層良い作動性を追求しよう。

ちなみに、摺動部分の片側いずれかにゴム部品や樹脂部品が組み込まれている箇所へは、ラバーグリスを商品を利用することでより高い効果を得ることもできる。例えば、ブレーキのマスターシリンダーのポンプ周辺やフロントフォークシールの作動性向上も同様である。金属同士が擦れ合う部分にはMPグリス(マルチパーパスグリス)を利用し、金属×ラバー部品(ゴム部品)が擦れ合う箇所には、ラバーグリス(シリコン系グリス)を利用することで、作動性はより高まり、操作性も良くなるものだ。