大切にきれいに乗ってきた車両でも、普段は手が届かない箇所に、サビの発生を見つけてしまうことがある。鉄部品なのだから、致し方ないところである。しかし、サビを見つけてしまった以上、これ以上の侵攻は、可能な限り抑えておきたいところだろう。そんなときに利用したいのが、サビを除去するラストリムーバーや、サビの発生を抑える効果が高いケミカルである。ここではサビの除去から、さらなる発生を押さえ込むテクニックをご覧頂こう。

液が流れ落ちないように部品を保持



広範囲にサビている部品こそ、花咲かGラストリムーバーでサビ落としを行おう。ペットボトルをカットした容器にラストリムーバーを小受けして、サビに直接、刷毛で塗り込もう。薄く伸ばし塗りを繰り返してから、しばらく放置する。

サビの層はスクレパーで除去



想像以上にサビの層が厚かったので、スクレパーを利用して金属地肌を痛めないようにサビを削ぎ取る。サビを削ぎ取ったら、ウエスで拭き取るように除去し、再度、ハケを使ってラストリムーバーを塗り込んでいく。しばらく待つと金属表面が灰色に変化し、サビの再発を防止する表面皮膜が形成される。

灰色の皮膜形成で反応確認



金属地肌に赤サビが発生していると、ラストリムーバーの反応が早いようだ。マフラーエンドキャップのパンチングメッシュメタルに発生した赤サビにラストリムーバーを塗布。20分程度経過した後に塗布患部を見ると、まさに灰色に変化していた。この皮膜が防錆皮膜として赤サビの発生を防止し、黒サビ(黒皮)のようになる。サビに覆われた雰囲気の旧車を、その状態のまま仕上げるには、このようなケミカルでサビの侵攻をストップするのが良い。

亜鉛含有スプレーでサビをストップ





ラストリムーバーでサビを抑えて防錆皮膜を形成できたところで、さらなる仕上げとして亜鉛メッキスプレーを塗布してみた。フェンダー裏側などの目立たない箇所やガソリンタンクの裏側などは、このスプレーで仕上げ塗りすることで、サフェーサー調に仕上げられる。色合せしたいのなら、亜鉛含有スプレー後に色合わせ用の缶スプレーで仕上げても良いだろう。

知らず知らずのサビ浸食に要注意

表面のクロームメッキコンディションが良いだけに、フロントフェンダーを取り外したときのサビの浸食には正直驚いた。気がついたときには内側からボロボロに……、といったことにならないためにも、不具合や気になることを発見したときには、見逃すことなく早め早めに対処しよう。そんな作業の繰り返しで、愛車は最善のコンディションを維持できるようになるのだ。

POINT

  • ポイント1・サビを除去する際には、ブラシやサンドペーパーを利用しがちだが「ケミカル」に頼ると効果的に作業進行できる
  • ポイント2・ ケミカル利用時は、使い方説明書をしっかり読み、理解してから作業開始しよう
  • ポイント3・スプレーケミカルを利用することで、さらなるサビの発生を押さえ込む効果を得られる

車体カバーを掛けてバイクを保管していても、置き場や環境によっては、知らず知らずにサビが侵攻してしまうことが多い。メッキや塗装など、各部品の表面処理によってサビの出方は異なるが、鉄部品なら赤サビ、アルミ部品なら粉を吹くような白サビが一般的だ。腐食に至る最大の原因は「湿気」である。仮に、屋内保管であっても、湿気が多い倉庫などでは、バイクはサビやすい環境だ。軒下で車体カバーを掛けてバイクを保管する場合でも、アイデア次第でサビの侵攻に大きな影響を及ぼすことができるので、いくつかの対策方法を知って頂ければと思う。

例えば、同じ場所や環境で、同じように車体カバーを掛けて保管している2台のバイクがあったとしよう。実は、僅かな保管方法の違いで、数年後のコンディションには、大きな違いが出てしまうことがあるのだ。単純に車体カバーを掛ける前に、不要になった敷布や毛布を掛けてから車体カバーを掛けることで、外装パーツへのサビの発生はもちろん、小キズやスクラッチキズも防ぐことができる。さらに車体カバーと毛布の間に、地面から段ボールを立てかけるように(バイクの前後足周りやエンジン周りを左右から囲うように)することで、カバー下側への雨のハネ返しや砂利の吹き付けからバイクを護ることができる。ただし、雨降り後の晴れた日には、車体カバーを外して、敷布や毛布や段ポールを乾燥させることも必要不可欠だ。要するに、バイクへの湿気を毛布や段ボールに吸わせて、晴れた日には、湿気を飛ばして乾燥させることで、バイクコンディションを「現状最善」で保てるようになるのだ。

メンテナンスの際に、普段なら取り外すことがない部品を取り外すことがあるが、そんなときにサビの発生に気がついたら、さらなる侵攻を防ぐために可能な限りサビを除去しよう。ここでは、クロームメッキのフロントフェンダー裏側に発生していた赤サビを除去した後に、再発防止のスプレーを吹き付け、より一層の効果を求めてみた。

例えば、クロームメッキ仕上げの旧車用新品マフラーを取り付ける時などは、パーツクリーナーなどで「マフラーの内部」をしっかり脱脂してから、亜鉛メッキスプレーをエキパイ内部や排気口からマフラーの内側へ吹き付けることで、内側からのサビの発生を抑制することができる。マフラー下部に水抜き穴がある場合は、スプレー塗料で埋めてしまわないように、吹き付け後の通気確認を必ず実践しよう。先細ノズルのエアーガンを通気穴に差し込み、圧縮エアーを吹き付けることで通気確保することができる。

フェンダーの裏側やチェーンケースの裏側など、広範囲に赤サビが発生している場合は、サンドペーパーやワイヤーブラシやボンスターなどで磨き落とすのではなく、サビ取りケミカルでまずは除去。ケミカルの利用で表面に防錆皮膜が形成され、サビの再発を抑制することができる。ケミカル処理後に、さらにサビの発生防止スプレーを吹き付けることで、さらなる防錆効果を得ることができ、大切な金属パーツの延命にもなる。こんな部品のケアも実に重要なので、サビを見逃すことなく実践してみよう。

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