高品質かつ高品位な溶接作業が可能になれば、様々なオリジナル部品を自作することができるようになる。ここでは、既存の部品同士を組み合わせることで、ユーザーオリジナルの4イン1マフラーを自作。部品の組み合わせはユーザー本意であり、自己責任によって行う作業であることも、ここで改めて御理解頂きたい。

Z550にカワサキZRX400マフラーを装着

カワサキゼファー400の空冷2バルブ4気筒エンジンのルーツには、1979年に発売されたZ400FX(輸出モデルはZ400J)があるのは周知の事実。そのゼファー系エンジンを進化させ登場したのが水冷ZRX400エンジンなのでは?などと勝手に考え、ZRX用マフラーをZ550GP(Z400FXの輸出派生モデルとして登場)に取り付けてみた一例がこれ。もちろんボルトオン装着など不可能なので、エキパイフランジ部分のカットと新規フランジの自作と溶接。メガホン部分のマフラーステーは、フレーム側のマウント寸法に併せて鉄板を切り出し試作し、それをマフラーに溶接した。メインスタンドは取り外してある。これらのDIY改造によって大人のライダー向け「サイレントな4イン1マフラー」が完成した。ブラッククロームのメガホン本体と黒塗りエキパイは、カワサキZRX-IIの純正仕様をずばり引き継いでみた。

メインスタンドをカット&溶接補強で改造

ここではクロームメッキ仕様のゼファー400用純正4イン1エキパイを利用した集合マフラーのDIY製作をリポートしよう。メインスタンドを利用したいため、ゼファー純正4イン1マフラーのレイアウトでメインスタンドが干渉しないように大改造。チャンバー室の出っ張りはすべてカットして、排気ガスがスムーズにマフラーへ流れるようにチャンバー室部分のインナーパイプの向きも改造(2重構造になっている)。最後にチャンバー除去部分の穴は切り出した鉄板で埋めた。エキパイを固定するため、口金部分をカットして、エンジンに合った口金の溶接し直しから開始。テールパイプとメインスタンドの干渉部分はメインスタンド側をカットし、格納状態とスタンド利用時を確認しながらマフラーと干渉しないように補強しつつ溶接。ここまでできたので、いよいよはメガホンの取り付け検討だ。

KERKER製GPz400F用を改造流用



ガレージセールで購入したKERKER製メガホンマフラー。インナーのパンチングメッシュパイプがテールパイプまでつながるストリート仕様の4イン1用サイレンサーだ。偶然にもゼファー純正テールパイプとメガホンの接続径がドンピシャだったので、接合部分は無改造で取り付けられそうだ。KERKERメガホンが外側へ張り出さないようにレイアウトしつつ仮固定してエンジン始動。試運転でサウンドフィールを確認してみた。

車体に合せながらマフラーステーを溶接



KERKERメガホン本来の取り付けステーを切り取り、メガホン単体にしてから現車側の吊りブラケットに合せてステーを製作。メガホンをエキパイに接続固定し、ステーを車体側にボルトオンした状態でメガホンにステーを仮溶接。剥がれ落ちない程度の仮付けから開始。仮付け後にメガホンを取り外して、ブラケット部分を本溶接。周辺へ飛び散った溶接スパッターなどをダブルアクションサンダーを利用して削り落とした。

再クロームメッキを専門業者へ依頼し艶々仕上げに



車載状態ではブラケットの溶接は仮付けまでとし、取り外してから本溶接でガッチリ溶け込ませて一体化したブラケット。メガホン内部は、文字通り筒抜けなので、脱脂洗浄液を入れて容器にメガホンを沈め、カーボンを溶かして完全洗浄。さらに溶接部周辺を磨いた後に、インターネットで調べたメッキ業者さんへ再メッキを依頼した。数週間後に仕上がってきたメガホンは、まさにピカピカ!!

メーカー純正仕様っぽい4イン1の完成

今回のDIYマフラー作りは、サビサビで廃棄されていたゼファー400(2バルブエンジン車)用エキパイを頂戴したことから始まった。不要な部分をカットしてZ550GPに組み合わせたところ、何となく完成形を想像することができた。そこで、エキパイの程度が良いゼファー400用中古マフラーを格安購入(不要なメガホン部分には転倒ガリキズがあった)。そのエキパイをベースにオリジナルマフラー作りを展開してみた。

カワサキ純正オプションのような集合管!?



4イン1のエキパイ製作段階でメインスタンドを「取り付けたい、使えるようにしたい!!」と考え、ネットオークションで購入したZ400FX用メインスタンドを大改造。その結果、このようなメーカー純正かのようなKERKERメガホンの4イン1マフラーが完成した。内部構造が物語るように、サウンドは極めてジェントル!! それでいて4イン1特有の吹け上がりフィーリングかつノーマルマフラーよりも明らかにパワーアップした印象になった。こんな改造をDIYで楽しめるのは「溶接機を所有」していたからこそ。アイデアの具現化は実に楽しい!!

1981年型の初期型Z550GP(型式KZ550D1)をベースに、カラーリングをZ400FX/E4A仕様に変更。メッキ仕様の4イン1メガホンを組み合わせながらも、メインスタンドを利用できるこの雄姿!?アイデアの具現化は本当に楽しい!!

POINT

  • ポイント1・溶接機があり使い方をマスターすることで、様々なアイデアを具現化できるようになる
  • ポイント2・自分だけのオリジナルマシン製作に溶接機は必要不可欠。溶接の楽しさを知ったら、さらにステップアップにチャレンジ

「大は小を兼ねる」といった言葉がある通り、溶接機と言えば、以前は200ボルト電源仕様が当たり前の世の中だった。一般家庭用の電源、いわゆるコンセントから取り出せる「AC100ボルト」電源用の溶接機は、遙か以前から存在していた。しかし、その多くが「手棒溶接機」であり、薄板鉄板の溶接には不向きだった。

ところが!! 21世紀に入ってDIYユーザーの増加とともに、溶接機に対するユーザーニーズにも変化が現れてきた。様々な商品が日進月歩で登場し、今尚、進化し続けているのがご家庭用「溶接の世界」でもある。ここでは、他機種用のエキパイやマフラーを、切った貼ったの現合(ゲンゴウ=現物合せの意味)で、また違ったモデルに取り付けてしまうDIYマフラー作りを実践してみた。ご覧のようにオリジナル度が高く、唯一無二のワンオフパーツ製作が可能になった!!自己満足度の高い部品作りを楽しむことができたわけだ。そんなアイデアを具現化できたのも、手元に溶接機があったからに他ならない。

この撮影を行った当時と今現在を比べてみても、溶接技術の進化は著しく、100ボルト溶接機もさらなる進化を果たしている。家庭用の100ボルト電源溶接機ながら、インバーター制御を搭載したモデルが登場したことで、薄板鉄板の溶接にも適した商品が登場。ホームセンターでも溶接機を積極的に取り扱うほど、一般ユーザーやご家庭のDIYシーンでも、存在意義が大きくなりつつあるのが溶接機であり、そのニーズは益々増えていくのは確実でもある。

100ボルト仕様の高性能溶接機を使っているのに、なかなか上手く溶接できない、安定した溶接ビードを引くことができない!?そんな時には、電源を確認してみよう。電圧降下が著しいと、本来なら100ボルト近くあるはずの電圧が、95ボルト以下に降圧しているケースも珍しくないし、コードリールで電源を引っ張り出すことで、大きく電圧降下してしまう例も数多くある。コードリールを利用する際には、溶接に「利用できるコードリール」であり、使い方にも決まり事があるので(コードをすべて引っ張り出して利用するなど)、電源の安定化を目指すなら、メインブレーカーから溶接機専用の電源コンセントを設ける工事を行うのも良い。安定した溶接作業を望みたいなら、まずは安定した電源から。それが何よりも基本である。

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