あれ!?メインスタンドを掛けたのに、何故だか前後タイヤが地面に接地している……。何故なんだ!?と思ったら、メインスタンドのマウントを兼ねたステップブラケットをクランクケースに締め付ける、ねじがナメで抜けそうになっていた。こうなると恒久的なねじ山修理が必要不可欠。そんなときに頼りになるのがねじ山再生の「リコイル」である。

クランクケースへ締め付けてあるホンダ4ミニ



ホンダダックスをベースにオフロードスタイルのカスタムマシンを製作中。取り外したステップブラケットに取り付けられるステップは、本格的かつ誇張したオフロードスタイルの3輪バギー=ホンダATC185用ステップを流用した。ゴツイ仕様のステップだが、この取り付け状況が悪く、締め付けボルトのネジ山が上がって(ナメて)しまった。

恒久的ねじ山修理にはリコイル



ねじ山がナメてしまったので、しっかり修理しないとステップブラケットを確実に固定することができない。そんなときに頼もしい味方がリコイル。ステップブラケットの締め付けボルトサイズはM8P1.25。このねじサイズとピッチに合致したリコイルを準備。コイルの長さは、ねじサイズに対して1.5倍の長さになる1.5Dを使うことにした。

正しい下穴サイズのドリルで加工

リコイルを打ち込む際には、ねじサイズ用のタップや下穴用のキリ(ドリル)が一式セットになっている商品もある。M10P1.25サイズのボルトなので、下穴加工はメーカー指定通りΦ8.3mmのキリをセット。バイクを寝かせ気味に下穴加工を行ったが、ナメたボルト穴に対してキリが倒れないように注意しながら下穴加工を行った。

ドリル&タップ加工時は倒れに要注意

ドリル加工の際にはクランクケースを突き抜けないよう要注意!!慌てず焦らずに作業進行しよう。ねじ山の深さを確認してから、キリにテープを巻き付けて加工深さの目安にするのも良い。下穴加工を終えたらリコイル専用タップでねじ山作りを行うが、この際にも前後左右にタップが倒れないように、慎重かつ丁寧に加工進行しよう。

リコイル打ち込み挿入前にはエアーブロー

タップ加工を終えたら、ねじ穴内部をエアーブローしてゴミ(切粉)をしっかり吹き飛ばし、挿入ハンドルにセットしたリコイルをゆっくり慎重に挿入していく。ねじ山に食い込んだら、押し付けないようにスムーズに軽く回して挿入する。

これで安心!!スタンドアップ



リコイルの端部がねじ山座の端面に対して半ピッチから1ピッチほど潜ったら挿入作業は終了。90度に曲がったタン部分へ専用工具の押し棒を当て、ハンマーで軽く叩いてタン部分を取り外す。ポキッと折れたタン部分をボルト穴から確実に取り出したことを確認しよう。次に締め付けボルトを「指で回してスムーズに入っていくか?」しっかり確認しよう。スルスルッとスムーズに入れば大丈夫だが、硬かったり渋いときには、打ち込み挿入に失敗したと考えられる。

ステップに両脚立ちしてもバッチリ安定

メインスタンドでバイクを立てても安定感抜群!!もちろん大柄のライダーがバイクに跨がりステップへ両脚を載せても安定感に変わりはない。この時代のダックスは、メインスタンドアップ時に、ニュートラルもしくは前輪が軽く浮く荷重配分になっている。

POINT

  • ポイント1・ねじ山の再生には様々なやり方があるが、エンジンでも内燃機関に直接関係無い部分ならリコイルで恒久的に修理できる
  • ポイント2・ 下穴加工やタップ通しの際には、キリやタップが倒れて加工しないように要注意
  • ポイント3・リコイルの打ち込み挿入時は押し付けると失敗の原因になるので、リコイルを回すことだけに神経を集中し作業進行

作業中にボルトが「緩まない!!」とか、ボルトが「折れてしまった!!」とか、ねじ山が「なめてしまった……」などなど、そんなトラブルに直面したことがあるサンデーメカニックは数多いはず。ボルト折れと言っても、その8~9割は、緩める途中に起こるトラブルで、締め付けている最中にボルトが折れてしまうトラブルは極めて数が少ないはず。過去にあった出来事を思い出してみると、おおよそ、そんな割合ではないかと思う。

昔からよく言われているのが、締め付け途中に折れてしまったボルトのレスキュー(折れ込み部分の抜き取り)は簡単。しかし、それとは逆に、緩める途中で折れてしまったボルトの抜き取りは、極めて大変だという事実。トルクを掛けて緩めていたボルトが引っ掛かり、そのまま緩めようとしたときに、ねじ山とカジってしまい、バキッと折れてしまうのがその大方の原因である。カジリ自体の原因は、ゴミの混入やボルトへのサビ発生だと考えられる。そんなカジリ状態で折れ込んだボルトを、簡単に除去できるはずがない。

一方、締め付け途中に折れてしまったボルトの多くは「金属疲労が原因」だと考えられる。仮に、折れたボルトの端が飛び出しているときには、プライヤーなどでつまめば、折れたねじ部分はスルスルッと抜き取れることが多いはず。また、ボルト穴の深さに対して長すぎるボルトをネジ込み、底付きしているのに回し続けることでボルトを折ってしまうこともあるが、いずれにしても、抜き取り途中でカジってしまい、結果的に折れてしまったようなボルトとは大違いで、締め付け途中のトラブルは、何とかなってしまうことが多いと思います。

ボルトの締め付け途中、規定トルクを掛けようとしたところ「あらら、スルッ」となってしまうのが「ねじ山のナメ」である。仮に、ねじ穴の底が深く、さらにタップを通してねじ山を追加できるのなら、ボルトを長いものに交換することで応急処置は可能になる。しかし、完全にナメてしまった場合は、新たなねじ山を作り直さないといけない。相手がアルミ部品の場合は、そのようなトラブルが起こりやすいが、そんなねじ山トラブルを恒久的に修理再生できるのが、リコイルを使った修理方法である。そもそも強度が必要な部品は、アルミ部材に直接ネジ込むのではなく、締め付け部分の締結剛性を確保するために、初めからコイルを挿入(打ち込み)し、剛性確保している例もある。例えば、ディスクブレーキを標準装備し始めた当所のカワサキマッハやZ2/Z1の純正キャリパーブラケット(アルミ製)は、締結部分にあらかじめコイルが挿入してあり、ねじ山へのダメージを減らしていた作りとなっていた。

ここでは、クランクケースの底部にあるステップマウントのねじ山修理を実践してみた。こんな場所のねじ山修理にお勧めしたいのがリコイルである。作業進行には、ハンドドリルやタップハンドルが必要不可欠。タップ作業後にエアーブローするが、パーツクリーナーで内部洗浄しても良い。作業実践にあたっての注意点は、穴加工やタップ作業時に、キリやタップが取り付け面との垂直から倒れ、斜めに加工進行しないことである。

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