旧車に限らず長年乗り続けてきたバイクは、サイドスタンドやステップなどのヒンジ部分=折りたたみ部分の摩耗が進行し、例えば、パーキング時に車体が大きく傾いてしまったり、折りたたみステップの角度が傾き過ぎて、ライディング時に踏ん張りが効かず、気になってしまうことがある。そんな気になる部分は、溶接補修や溶接肉盛りで、修復改善することができる。ここでは、フルレストアの進行時に、そんな気になる部分を修理再生してみた実例をリポートしよう。

※画像に誤りがある事を指摘いただき、正しい画像に修正いたしました(2022/04/21)

サイドスタンドの傾き過ぎ、あるある

サイドスタンドが傾き過ぎる原因の多くは、サイドスタンドのピボットボルトの摩耗や、ピボットボルトを受けるフレーム側ブラケット穴の拡大摩耗である。ボルトの締め付け確認は定期的に行い、同時にヒンジ部分の隙間からスプレー式のドライブチェーングリスを吹き付けたり、面倒でもサイドスタンドを取り外し、ボルトや受け部分にグリスアップすることで、このような摩耗トラブルを回避遅延することができる。普段からメンテナンス&注油していれば、このようなガタの発生も少ないのだ。グリスアップの大切さを、改めて思い知ることができる場面でもある。フレーム側ブラケットのボルト穴が完全に摩耗しているときは、アジャストリーマなどを使って楕円になった穴を徐々に拡大し、真円に加工する。その後、拡大された穴にブッシュを圧入固定することで、フレーム側ブラケット部分を再生できる。画像はストレートリーマでボルト穴を拡大中。

スタンド格納角度が深くドライブチェーンと干渉!?

サイドスタンドのピボットボルト穴摩耗と同時に、サイドスタンドの格納角度を決定するストッパーの摩耗で、サイドスタンド先端とドライブチェーンが干渉してしまっていた。スタンドストッパーの摩耗部分を修正するには、フレーム側もしくはサイドスタンド側ストッパー部を溶接肉盛りで再生することができる。今回は、フレーム単体=フルレストア実行時に作業したが、このような溶接補修はコンプリートバイクの状態でも可能である。分解前に何ミリ程度肉盛りすれば干渉を避けられるのか?事前に寸法確認してから肉盛り作業に取り掛かろう。

ステップストッパーも肉盛り再生



脚を載せるステップ角度がタレ側に傾いてしまうと、ライディング時の脚に踏ん張りが効かず、乗り心地が安定しないことがある。このバイクのステップは折りたたみ式だが、ストッパー部分が大きく摩耗し、地面に対してステップ先端がかなりタレ気味になってしまっていた。そこで、ペイント依頼の前にステップ側ストッパー部を溶接肉盛り。ステップ角度を修正した。肉盛り成形時は、実際のライディングを想定し、幾分、肉盛りを多めにしておくのがコツだ。

サイドスタンドのストッパー部も肉盛り

サイドスタンドの格納角度は、フレーム側への肉盛り修正で行った。溶接前にフレーム側の肉盛り部分を脱脂洗浄し、そして溶接肉盛りする。ある程度肉盛りしたらサイドスタンドを取り付け、格納角度を確認しながらディスクグラインダーやベルトサンダーで溶接肉盛り部分の形状を整えよう。

大きく摩耗したボルト受け部分にはブッシュ圧入



フレーム側サイドスタンドのピボットボルト穴は、アジャストリーマで拡大加工(もしくはドリル加工後にストレートリーマで形状修正)。今回は旋盤でブッシュを加工製作し、圧入することにした。潤滑性や滑りが良くなる砲金材料でブッシュを削りだしてみた。グリス切れなどが起これば摩耗してしまうので、車両完成後は定期的なグリスアップが必要不可欠。再び楕円に減ったら、再び削りだしブッシュを圧入し直せば良いだろう。

サイドスタンドマウント部分溶接肉盛り&再生

フルレストアのベース車両として購入したバイクだったが、サイドスタンドピボットのガタが大きく、当然ながら車体は左へ大きく傾きパーキング状態。ピボット部分のガタとスタンドを出したときのストッパー部の摩耗がその大きな原因だと判断できたので、それらの気になる部分をすべて溶接肉盛り&削り修正などで対処した。この後、スタンドのストッパー部分を切削→溶接肉盛り→切削成型を繰り返し、納得いく仕上がりにした。

サイドスタンドの接地部分も溶接補修



靴に例えるとサイドスタンドのヒール部分も摩耗やサビで今ひとつのコンディションだった。そこで、板厚3.2t(3.2ミリ)の鉄板をサイドスタンドヒール形状と同じように切り出し、サイドスタンドヒール部分に押し当てて溶接補修した。せっかくフルレストアするのだから、このような部分の修理再生を徹底しなくては仕上がりが今ひとつになってしまう。

完全補修後にペイント依頼



サイドスタンドマウント部分を溶接肉盛り。ステップブラケットの角度合せ。その他の目立つ擦れやキズ部分を溶接補修してからペイントのプロショップへ作業依頼した。依頼先は、愛知県豊田市のパウダーコーティング・カトー。今回は、カスタムではなくフルレストアなので、純正色のきめ細かなシルバーでペイントしていただいた。同社代表の加藤社長は、自らもオフロードバイクを愛するVMX(ビンテージモトクロス)&トレールファンとしても知られている。

撮影協力:パウダーコーティング・カトー

POINT

  • ポイント1・サイドスタンドやステップの取り付け角度、傾きが気になるときにはその原因を究明してから修復実践
  • ポイント2・ ピボットボルトの穴が楕円摩耗しているときには、アジャストリーマやドリリング&ストレートリーマで楕円穴を芯円に再生してからブッシュ圧入。
  • ポイント3・ステップやサイドスタンド関連の溶接肉盛りは、フレーム単品ではなくコンプリート車でも墓所によっては作業可能

新車や極上中古車なら、このようなトラブルはまずありえないが、長年乗り込まれたモデルでは、本当に当たり前のような「気になるポイント」のひとつがフレーム各部の問題。車体全体の磨き込みや美しさ度はかなり良いのに、サイドスタンドやメインスタンドが汚れたままのバイクは意外と多い。そんなモデルに限って、と言ったわけではないが、サイドスタンドピボット部分にはガタが多く、実は、定期的なメンテナンスやグリスアップを行っていなかったことで、パーキング時に車体が妙に傾いているケースが多い。何よりも重要なことは、愛車がこのような状況に至らないために、定期的にサイドスタンドを取り外し、パーツ各部をクリーニング。そして、組み立て時には圧力が掛かるピボットボルトや摺動部にグリスをしっかり塗布することである。定期的なクリーニング+グリスアップによって、間違い無くパーツ摩耗を最小限に抑えることができるようになる。

ステップの傾きも気になるが、一般的な走りならこのレストア車のようにはならない。この車両は、モトクロッサーとして利用され続け、ほぼノーメンテナンスで走らせ続けられたようだ。何しろキックシャフト先端が折れ(キックアームの締め付け不良が原因で折れる)、シャフトに穴加工を施し、その穴にキックシャフトがボルトオンされていたほど、さんざんな扱われ方だった。< 折りたたみ式ステップは、ストッパー部分を溶接肉盛りして左右ステップのセット位置バランスを合せたが、固定式ステップの場合は、足場管などの単管パイプを利用し、ステップゴムを外してからバー角度を調整するのが良いだろう、エンジン下にステップブラケットを締め付け固定するタイプのモデル(スーパーカブやモンキーやダックスなど)は、締め付けブラケット部分を万力に固定し、単管パイプを利用して左右の曲がりバランスを調整し直すことで、ライディング時のバランスも良くなり、踏ん張りが効くようになって走りが楽しくなる。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    画像全般的におかしくない?

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