
ツーリングへ出発、などと言ったタイミングでタイヤ交換しなくてはいけないケースに遭遇……、でも、バイク移動の段取りもできないし……。などなど、様々な事情で自らタイヤ交換しなくてはいけないことって、ありませんか?そんなときに持っていることでスムーズに作業進行できるのが各種道具類。中でも、マニュアル式タイヤチェンジャーがあると、作業性は間違い無く良くなる。ここでは、そんなマニュアル式タイヤチェンジャーに注目してみよう。
目次
メンテナンススタンドと足の甲を利用しよう
現代のスポーツバイクにはメインスタンドがほぼ無いため、後輪を取り外すにもメンテナンススタンドやレーシングスタンドが無いと作業は始まらない。また、後輪を取り外すときにはアクスルシャフトを抜き取るが、その際にはタイヤの下に足の甲を押込むことで、ホイールの自重を足が受け止めてくれ、ホイールが斜めになってアクスルが抜けない!!なんてことにもならなくてすむ。また、タイヤ交換後の復元時にも、足の甲をタイヤの下へ押込むことで、ホイールサイドカラーを定位置に、スムーズにアクスルシャフトを差込むことができる。次にリアホイールを脱着する際には、試してみよう。
ホイールとの接触部分は古チューブで保護
ダートフリークから発売されているマニュアル式タイヤチェンジャーは、スポークホイールのオフロードモデルを想定した設計のため、ホイールを受ける部分にはキズ防止などの策が無い。そこで、ハサミでカットした古チューブをセットして、ホイールのスポークへキズが付かないような段取りを施してみた。将来的には、オンロードモデル用のタイヤサイズを考慮したマニュアルタイヤチェンジャーが登場して欲しいものだ。
楽々ビード落としとタイヤ交換が可能
キャストホイールのスポークサイドをリング状の受け部分に当てるマニュアル式タイヤチェンジャー。アクスルシャフト代わりのセンターシャフトにホイールを差込むため、ビードブレーカーで押込んでもホイールがズレて外れてしまうことがない扱いやすさ。ビードが柔らかいラジアルタイヤなら、より一層タイヤ交換が楽なはずだ。タイヤチェンジャーが普及する以前は、どこでもタイヤの入れ替え、ハメ変え交換時は重労働だった。マニュアル式でも、このようなタイヤチェンジャーがあると実に便利である。
スタンディングポジションでタイヤ交換が可能!?
タートフリークから発売されているマニュアル式タイヤチェンジャーの中で、オンロードタイヤの交換でも利用できそうだとガレージ導入したのがunitブランドのE1210。今回の作業後、スタンディングポジションでタイヤ交換できるオプション部品があることを知り購入したのがE1301のスタンド。このオプション部品を組み合わせることで、ひざまづくことなくスタンディングポジションでタイヤ交換が可能になる!!腰痛から解放!?
チューブレスタイヤはリムビードの汚れに要注意
チューブレスタイヤをホイールから取り外した時には、タイヤエアーの気密を保つ、リム側ビードエッジのコンディションを確認してみよう。腐食はもちろん、旧タイヤビードの汚れやタイヤカスがへばり付いたままで新タイヤを装着すると、スローパンクチャーの原因になる。タイヤ交換後、規定値にしていたはずの空気圧設定が、僅かに低下しているような際は、眼には見えにくいスローパンクチャーでエアー漏れしていることがあるのだ。古いタイヤを取り外したら、ワイヤーブラシで汚れを落とし、さらに不織布シートでリムエッジを磨き込んでから新タイヤを組み込もう。
ゴムバルブも定期的に交換したい重要部品だ!!
タイヤ交換2回に1回の割合で、エアーバルブも交換しよう。特に、ゴム製のエアーバルブは、経年劣化によって露出部分がポロッと切れてしまうことがあるので古くなると危険だ。ゴムバルブにも一般サイズから短い物まであるので、タイプをしっかり確認してから交換部品を購入しよう。旧バルブはカッターで切り落として良いが、新バルブをセットするときには、バルブ穴周辺の汚れを落とし、バルブにビードワックスやシリコンスプレーなどを塗布し、専用工具で引っ張り上げて「プルンッ」とセットしよう、しっかり引き上げないとエアー漏れの原因になるので要注意だ。
タイヤ交換後はバランス確認してみよう
DIYタイヤ交換でも高速走行するようなモデルなら、スタティックバランスを確認し、必要に応じてバランスウエイトをホイールリムの要所に貼り付けよう。タイヤを組み込んだホイールが、どの位置でも回転しないようにウエイト調整(ウエイト添付)すれば良い。そんな作業時にあると便利なのがジャイロスタンドだ。
- ポイント1・前輪でも後輪でも宙に浮いたホイールのアクスルシャフトを抜き差しする際には足の甲をタイヤの下へ押込むと作業性が良い
- ポイント2・スタンディングポジションでタイヤ交換でへきれば疲れない!!腰痛回避にも効果的
- ポイント3・旧チューブレスタイヤを取り外したら、リムエッジのビード汚れを必ず除去してスローパンクチャーを防止しよう
- ポイント4・エアーバルブ交換も定期的に必ず実施しよう
今回のタイヤ交換作業は、軽二輪モデルのホンダVTR250で実践した。仮に、大型オンロードモデルのタイヤ交換時に「マニュアル式」であっても、スタンディングポジションでタイヤ交換が可能なチェンジシステムがあれば、それはもう作業性は良くなるはず!!作業が楽になるはずだと、確信することができた。今でこそ分業制が進み、タイヤ交換作業は、もはやバイク屋さんではなく、タイヤ専門ショップのお仕事となっているが、時としてDIYで交換作業しなくてはいけない場面もある(多々ある!!)。そのときのためにも、ここで紹介するような道具があることを知っておいても良いだろう。
オフロード界では、遙か以前から有名なダートフリーク。DRC、unit、Dachiブランドからは様々な道具や工具、そして、各種スペシャルパーツが開発販売されているが、実は、オンロードユーザーにはまだあまり知られていない側面もある。今回、ここで使ったマニュアル式タイヤチェンジャーが、まさにそれだった。マニュアル=自身の手でタイヤ交換するとなると、市販のビードブレーカーでタイヤのミミを落とし、古タイヤの上でタイヤ交換する例が多い。しかしそれでは作業性が悪いので、以前に木製のタイヤ交換用イゲタなる商品を開発販売したこともあったのが、我々編集部である。
それだけに、タイヤ交換に関しては興味があったし、常に作業性が良くなるような手段を考えていた。ここに紹介するマニュアル式タイヤチェンジャーは、ダートフリークのunitブランドから発売されているもので、おもにオフロードバイク向けに開発された商品である。確かに、オフロード雑誌の編集スタッフが、同商品を使っていると知り「オンロードモデルでも使えないものか!?」と利用してみたのが事の始まりだった。
結論としては、現状ラインナップの製品で、すべてのオンロードモデルをカバーできるわけではないが、仮に、中型クラスまでのモデルなら、ちょっとだけ気を利かした細工(キャストホイールの受け部分にキズが付かないように古チューブを巻くなどの細工)を施すことで、スムーズに利用することができた。正直、我々が使っていたタイヤ交換用イゲタ以上に、簡単かつスムーズにチューブレスタイヤの交換ができたのだった。将来的には是非、大型オンロードモデルを対象にした商品が登場して欲しいものである。
今回のタイヤ交換では、ゴム製エアーバルブも交換した。タイヤ交換にばかり気を向けてしまい、バルブ交換を実施していないユーザーが意外にも多いのだ。ゴムバルブは経年劣化によって、露出部分が切れ落ちてしまうこともあるのだ。実は以前に、放置バイクを移動しようとエアー抜けした前後タイヤへエアー充填しようと思ったら、バルブがもげ落ちており、タイヤに空気を充填できない=バイクを押し歩きできない場面に遭遇したこともあった。そんなことにならないためにも、ゴム製エアーバルブは特に、定期的な部品交換を実践しよう。
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