
ペイント仕上げではなく、黒色樹脂色のまま仕上げられたリアフェンダーやチェーンケース、原付スクーターの外装部品などは、経年劣化によって黒樹脂色ではなく、白化したり色ボケしたり、どうにも美しくない見た目に変貌してしまうもの。ここでは、黒樹脂部品で成形されたメーターケースの化粧直しにチャレンジしてみよう。
目次
美しさを再現できる樹脂ブラック
如何にも黒色樹脂部品に似た雰囲気になるデイトナ製の樹脂ブラックスプレー。ペイント前には、部品地肌の汚れや油分を徹底的に除去しよう。パーツクリーナーやガソリンで油汚れを分解洗浄し、その後、中性洗剤と泡泡スポンジでしっかり洗い、ぬるま湯で洗い流せば下地処理はバッチリ。このような下処理を行えば、ペイントの高い密着度を期待することができる。
チェーンケースなどの部品の仕上げに最適
旧車に限らず現代モデルも含め、リアフェンダーやインナーフェンダー、ドライブチェーンケースにはABS製樹脂やPP樹脂製部品が多い。しっかり油ドロ汚れを落とし、さらに脱脂洗浄して油分を徹底的に落とすことで樹脂ブラックスプレーの密着性は良くなる(吹き付け前に工業用ヒーターで部品を炙って軽く温めても良い)。デイトナの樹脂ブラックは、その名の通り樹脂部品の仕上げにはお勧めの商品だ。
メーターケースの分解時はノブを壊さない!!
単体デザインのメーター本体から、一体ハウジングケースの中にメーターをレイアウトしたモデルが数多くなった80年代初頭。このバイクは1981年型のスズキRG250E。旧モデルの単体メーターをケース内部に組み込んだデザイン変更だが、それでも新鮮なデザインと評価された。トリップメーターノブには、ノブ本体を軸方向メーター側へ押し付けながら回して取り外す方法や、ビスなどでノブを締め付け固定する方法があるので、壊さないように取り外そう。このモデルは軸方向に押し付け気味にしつつ、時計の回転方向に回し続けることで取り外すことができた。
プラモデルのようにメーターハウジングを分解
メーターパネルは皿ビスで固定されているので、すべての皿ビスを外してからパネルを割らないようにケース本体から持ち上げる。このパネルフレームを破壊しないように注意しながら作業進行しよう。メーターハウジングの中には、普通の独立型メーターが組み込まれていた。同年代の初期型ヤマハRZ250もこのようなデザインだった。ケーブルと固定ビスを外してメーター本体を2個とも抜き取る。メーター本体は、鉄板プレス部品のブラケットに固定されている。このブラケットをトップブリッジから取り外すことで、プラスチック製ハウジングをブラケットから分離することができる。
ペイント前の下処理が最重要!!
FRP部品の製作などでも利用するアセトンをウエスに染み込ませ、汚れたメーターボディを拭き取りでキレイにした。アセトンで全体的な汚れ取りと脱脂を行った後に、600番の耐水ペーパーで足付け耐水研磨を行った。キズやササクレ状になったバリを耐水ペーパーで削り落とした。過去にペイント補修痕があり、アセトンウエスで拭き取ったら、旧ペイントが付着してきた。
信者が多いママレモン+ぬるま湯洗浄
耐水ペーパーで足付けを終えたら、中性洗剤の「ママレモン」で、まずは作業者自身の手をしっかり洗い流そう。手に付いた汚れを再びメーターケースに付着させてしまう可能性があるからだ。さらに食器洗いスポンジにママレモンを含ませて泡立たせ、ケース全体をしっかり洗い流す。ぬるま湯で泡やヌメりを洗い流したら、工業用ヒーターを使って完全乾燥させよう。温め過ぎると樹脂部品が変形してしまうのでほどほどに。全体的に温めて水分を除去できたら、いよいよペイント吹付けの開始だ。
薄く薄く塗り重ねるのがポイント
水分を飛ばしてメーターケースが温まったらヒーターを止め、薄く薄く塗り重ねながらペイント仕上げ。以前のスプレーボトルは黒ラベルだったが現在の商品は赤ラベルに変更されている。比較的速乾性ペイントだが、一気に塗るとムラの発生やタレてしまうため、とにかく薄く何度も分けて徐々に膜厚を確保するようにペイントしよう。
部品の復元時も要注意
メーターのインジケータランプを復元するときには、キーを差し込んでONにして、ランプが点灯する場所を確認しながらバルブポジションを復元しよう。ウインカーインジケータは左右にあるので、逆接続には要注意。また、分解時に気が付いたのがメーター本体のガタ付きだった。マウントラバーを新品に交換しても首を上下に振るようなガタが大きかったので、ウレタンゴムをカットしたダンパー部品を自作追加することにした。メーター故障には様々な原因があるが、取り付け部分のガタやカチカチに硬化したダンパーが故障原因のことが多い。ヘンだと思ったら、自分自身のアイデアで最善を尽くそう。
1981年モデルとして登場したスズキRG250Eの国内2型をベースに、イギリス輸出仕様のブルーメタリックカラーと輸出モデル用デカールの「X7 250」出仕上げてみた。RZ250が発売された後に登場したので、当時は決して人気モデルではなかったが、今、こうして見ると個性的でカッコ良い。メッキチャンバーはゼンシンエンジニアリング製のスリップオンタイプ。パワーアップとメインスタンドの利用を両立している。
- ポイント1・ 樹脂ブラックに限らずどんなペイントでも下処理段取りが何よりも重要
- ポイント2・手垢や油汚れを確実に落とすことができる、中性洗剤洗浄を行い、ぬるま湯で流して仕上げよう
- ポイント3・仕上げ後の部品取り付け時に失敗するとガッカリするので、ひとつひとつ確認しながら確実に復元しよう
- ポイント4・メーター取り付け部のガタやダンパー不足はメーター故障の原因なので、気がついたときには必ず対策しよう
樹脂の素材色=ペイントレスで仕上げられた黒樹脂部品の表面コンディションを美しく見せるためには、専用塗料でペイントしてしまうのが手っ取り早い。ギスや小さなささくれなどを隠すこともできる。仮に、比較的コンディションが良く、艶が引けているような部品の場合は、デイトナから発売されている樹脂ブラックスプレーを利用するのが良い。部品表面に樹脂光沢特有の被膜が形成され、輝きが無くなっていた樹脂表面に特有の輝きを蘇えらせることができる。
ここで作業実践しているメーターハウジングには、そもそも擦りキズが多く、決して美しいと言えるコンディションではなく、艶も引けてしまっていた。そこで、メーターを分解してハウジングを単体部品にしてから汚れを脱脂洗浄。さらに耐水ペーパーを利用してキズ部分を慣してからペイントすることにした。大きなキズや転倒削れなどは無かったが、そんな削れはプラリペアで補修し、ガリキズにもプラリペアで肉盛り修正してから表面形状を整えるのが良いだろう。
仕上げのペイントでお勧めしたいのがデイトナから発売されている「樹脂ブラック」。樹脂部品へのペイントでも、プライマー成分が含有されているこの商品は「密着性が高い」のが大きな特徴である。仕上がりの風合いも艶々しいものではなく、樹脂部品特有の半艶系で、塗膜がシボ状(かなり細かなチヂレのような感じ)に仕上がるのも嬉しい。早速、作業に臨んだが、取り外した部品は徹底的に洗浄しつつ脱脂。このような作業時には、ママレモンとスポンジを使って食器を洗うのと同じようにゴシゴシ洗い流すのがベスト。泡汚れを流す際にも、水道水や冷水ではなく、お湯やぬるま湯を使って洗い流すのが良い。また、洗浄後の乾燥時やペイント直前には、ハンディヒーター=工業用ヒーターで表面を温めることで、脱脂効果をさらに高めることができる。
スプレー時のコツは、缶を湯煎してからしっかり振り、一気に吹付けペイントするのではなく、ノズルを離し気味に薄く吹付け乾燥させ、そんな手順を繰り返し行いながら重ね塗りしていくのがベストだ。温度管理できる熱乾燥機があるのなら(カーベック製CVジュニアなど)、40~50度設定で30分ほど乾燥させることで、寒い時期でもすぐに復元作業ができ、自然乾燥よりもペイント硬度は高くなるようだ。
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