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ホンダ4ミニエンジンいじりの王道と言えば、やっぱり「横型エンジン」チューニングだろう。ホンダの元祖横型チューニングベースと言えば、モンキーやダックスのOHCエンジン。これらは通称「横型エンジン」と呼ばれ、数多くのコンストラクターから様々なスペシャルパーツが販売されている。そんなボルトオンパーツばかりではなく、アイデア次第で、より一層、エンジンチューニングが楽しく、充実した結果を得られる例もある。ここでは、将来的なエンジンチューニングを前に、クランクケースに独自の加工を施し「ピストンクーラー噴射ノズル」を追加した実例をリポートしよう。

現物確認からの採寸で構想を構築

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ピストン裏側へのオイル噴射とピストンピンへのオイル噴射が可能になれば、オーパーヒート対策やヒートスポットの分散に大きな効果を発揮するはず。それを可能にするのが「ピストンクーラー」によるオイルシャワーである。現代的エンジンの中には、このオイルシャワー機能を装備している例もある。そのためにはオイルポンプの強化が前提になるが、横型エンジンには、ハイボリューム仕様のオイルポンプも複数コンストラクターから販売されているので、その具現化へ向けた条件は揃っている。シャワーノズルを追加取り付けする際には、動的「干渉ライン」を確認しなくてはいけない。旧型モンキーやダックスの横型エンジンは、クランクウェブ外周とノズルパイプの干渉に要注意である。また、ノズルパイプとシリンダーから飛び出したスカート部の干渉にも要注意だ。

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デイトナ製「強化オイルポンプ」採用

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ピストンクーラー機能を装備するための絶対条件は、強化オイルポンプの装備である。ここではデイトナ製「メガオイルポンプ・タイプ2」を採用した。オイルポンプ幅を大きく広げ、吐出量を増している強化ポンプだ。ポンプの取り付け状況を物理的に確認。ポンプスピンドルが細く軽い12V用パーツを使いたいので、6Vクランクケースのポンプシャフトのマウント部にはスリーブが必要だ。このスリーブも市販されている。

噴射ノズルには銅パイプを利用した

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オイルポンプがオイルを吸い込み圧力を高めて吐出する一次側=メインオイルギャラリーからダイレクトにノズルを取り出すため、その部分にパイプ通路を追加しなくてはいけない。寸法確認しつつ加工手順をイメージ。噴射ノズルのオイルパイプには銅パイプを利用することにした。外周Φ3mmの銅パイプなので、Φ3mmのキリ(ドリル)でパイプを通す穴を加工。ここでは、ボール盤を利用した。穴加工前にクランクを仮セットして、クランクウェブ外周との干渉も確認検討した。特に、図面など無いので、おおよそ狙った位置に穴加工を施した。ポンプスピンドルが刺さる芯円の右上にある穴がピストンクーラーノズルの銅パイプを差し込むための加工穴だ。このままではまだオイルが回らないので、次にオイルギャラリー加工を行う。

ポンプガスケットの加工も必要!!確実に通路確保

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クランクケースと強化ポンプの間にはガスケットが入るが、6Vエンジンと12Vエンジンでは通路デザインが異なる。オイルポンプ座の外形状は同じだが、ポンプシャフトの接続部分とオイル通路形状が異なっている。強化ポンプは12Vエンジン用なので、6Vクランクケースとパイプノズルの穴加工に合せてガスケットをカット。

オイルギャラリを削って噴射ノズルへオイルを導く

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ガスケットを切り込みノズル穴まで通路面積を増しても、エンジンオイルを導けないので、リューターでクランクケースを削ってパイプノズルの位置まで延長する。この切削によってエンジンオイルをピストンクーラーノズルへと導くことができるようになった。

加工穴にパイプを差込むとイメージできる!?

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クランクケースにΦ3ミリの穴加工を施し、Φ3ミリの銅パイプを差込むので、キツくもユルくも無く、スーッと入るいい感じになる。オイルシャワー用の銅パイプを差し込んだがガタは無く丁度良かった。ノズルパイプを差込んだままシリンダーを組み合わせると、想像通りノズルとシリンダースリーブの出っ張りが干渉した。干渉部分をマーキングしてからリューターで削り落した。セラミックメッキの内壁が剥離しないように、切削後の仕上げにはゴム砥石を利用し、メッキ仕上げの断面部分を磨き、面取りも行った。

「シャワートイレのノズル形状」をイメージ

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上の写真からクランクケースとオイルシャワーノズル、さらにクランクウェブ外周との位置関係がわかるはずだ。将来的なビッグボア化も想定し、事前にケースボーリングも実践してあるクランクケース。ちなみにシリンダースカートの削った部分は、ピストン摺動部分ではなくピストンピン側なので、スカート強度に影響はないと思う。オイル噴射ノズルはパイプ先端をプライヤーで潰してハンダで隙間を埋め、潰した外周面にΦ1ミリのキリで穴加工を施す。オイルポンプ側からパーツクリーナーを吹き付け、ノズル穴から吹き出すオイルの角度を調整してから、ポンプ側パイプ端面を広げてノズルが抜け落ちないように加工した。クランクケースと銅パイプはエポキシ接着剤で固定すればベスト。

POINT

  • ポイント1・クランクケースにダメージを与えないように、すべての加工作業は慎重に行う。すべて作業者の自己責任である。
  • ポイント2・ 噴射ノズルの吹き付け角度はしっかり確実に確認。パーツクリーナーで噴射状況をイメージしてみよう
  • ポイント3・強化ポンプを装備しないと吐出力不足の油圧低下でトラブル原因になる

横型エンジンチューニングを実践していて、買いたくても、買うことができないスペシャルパーツのひとつに「ピストンクーラー」がある。現代的4ストロークエンジンでは、もはや当たり前の技術であり、標準装備されたエンジンもある。特に、4ストミニ系エンジンは「高圧縮仕様」にする例が多いため、ピストントップは常に高温にさらされている。現代のバイクの中には、ノーマルでも圧縮比が13~14対1といった仕様もある。そんな現代の4ストロークエンジンに、標準装備されているのがピストンクーラーなのだ。そんなスペシャル装備を高圧縮仕様のチューンド4ストミニエンジンに搭載できれば心強い。安心できる保険にもなるはずだ。

このピストンクーラーがもたらせた恩恵は、過去に何度か授かった経験があった。将来的にはフルサイズ=125ccにチャレンジするオートバイなので、今回は、当然ながらピストンクーラーが必要不可欠だと考え、クランクケースの加工にチャレンジした。そもそも横型エンジンベースでフルサイズにチャレンジすると、壊れやすい定説もある。しかし、現在は強化オイルポンプをさらに強化したメガサイズのオイルポンプもあるし、そんなオイルポンプがあるからこそ、ピストンクーラーを装備してもオイルポンプ吐出量に対する心配は皆無と言える。心配要素は、どちらかと言えばミッションギヤにある。

4ミニいじりが大好きなチューナーの間では、採用例が多く高い評判を得ているのが、このピストンクーラー装備だ。高回転走行を楽しんだエンジンをバラし、ピストンを取り出してみると、ピストントップが焼けてしまい(裏側から見るとハッキリわかる)、分解時にピストンピンが固くて抜けにくい例もあるが、このノズルを追加したことで、その後は、ピストンピンの抜き取りをスムーズに行うことができるようになった。

写真解説には無いが、オイルギャラリ側(オイルポンプ側)の加工穴端末をテーパー加工し、銅パイプの端末をテーパーに広げて銅パイプを差込むことで、パイプがエンジン側へ抜け落ちることも無い。同時に、銅パイプを差込み固定する際に、エポキシ接着剤を併用することでパイプノズルは確実に固定できる。あくまで自己責任における「クランクケース加工例=ピストンクーラーノズルの取り付け」であることは、お忘れ無く。

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