過走行!?とも呼べる走行距離に至ったエンジンでも、メンテナンスが行き届いているバイクは、メカノイズが少なく、実に静かなものだ。オドメーター=積算計表示を比べてみると、ほぼ同じ数値を示しているのにも関わらず、片や静寂、片やメカノイズでガチャガチャ音、といった例も少なくない。4ストロークエンジンのメカノイズ、ここでは「その音源」に注目してみよう。

ヘッド周りから聞えるメカノイズ

4ストロークエンジンのシリンダーヘッドは、読んで字の如く「頭脳的」な役割を果たしている。

1:DOHC=ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト (ツインカム) 仕様
2本のカムシャフトに連動して吸排気タペットやバルブが作動する。モデルによってはロッカーアームを介して、吸排気バルブを作動させる構造もある。

2:OHC=オーバー・ヘッド・カムシャフト (SOHC=シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフトとも呼ばれる) 仕様
1本のカムシャフトにロッカーアームが連動して動き、吸排気バルブを作動させる。

3:OHV=オーバー・ヘッド・バルブ仕様
クランクケース側にあるカムシャフトが、クランクシャフトに直接駆動され、そのカムシャフトに連動してタペットとプッシュロッドがシリンダーヘッドのロッカーアームを押込む。

現代では、主にこの3種類の4ストロークエンジンがあるが、メカノイズの根源は「部品の作動部分」や「部品同士が擦れ合う摺動部分」にあるケースが多い。そんな作動摺動部分に効率良く、しかもコンディションが良いエンジンオイルが不足無く供給されることで、潤滑性を得られ、部品の摩耗を防ぐ=メカノイズを防ぐことができる。しばらく乗っていなかったバイクは、シリンダーヘッドからエンジンオイルが落下し、油幕切れを起こしているケースが多い。そんなエンジンを久しぶりに始動させたりする時や、組み立て途中のエンジンには、要所要所にエンジンオイルを塗布しなくてはいけない。高性能オイルスプレーがあると、効率良く広範囲にオイルを吹き付けることができ便利だ。

タペット調整の重要性

「気持ち良く回るエンジンで走りたい」そんな欲求を満たすための基本条件は、常にコンディションが良いエンジンオイルを使うことである。また、気持ち良く走るためには、タペット調整も正しく行いたい。タペットとは、吸排気バルブが押込まれる部分のことで、OHCエンジンでは、ロッカーアームにタペット調整機能がある。アジャストボルト仕様の場合は、ピストンが圧縮上死点のときにタペット隙間にシックネスゲージを差し入れ、指先でその隙間間隔を感じながらスクリュー調整。そしてロックナットで固定する。このタペットクリアランスが広すぎるとメカノイズが大きくなるが、クリアランス調整を正しく行い、仮に、標準値よりもクリアランスを狭く調整しても、気になるメカノイズが消えない際は「アジャストボルト先端の摩耗」を疑うこともできる。

カムホルダーに摩耗は無いか?

カムシャフトを支持する部分をカムジャーナルと呼ぶ。回転するカムシャフトを支持する部分なので、この軸受け部分の摩耗が進むとメカノイズの原因になる。分解組み立て時は、シリンダーヘッド単品にカムホルダーとカムシャフトを締め付け、オイルレスの状態で回転摺動状況を確認してみよう。ガタ無くスムーズに回れば良いが、この回転コンディションによっては、メカノイズや摩擦抵抗によるパワーダウンも考えられる。ミニバイクのレース用エンジンなどでは、このカムジャーナルのオイル吐出孔にクロスカット加工を施し、オイル供給を少しでも広範囲に行えるようにすると良い。

タペット音が消えない原因

何度も何度もタペット調整しても、エンジン稼働時に「カタカタ、カタッ」とヘッドからのノイズが気になってしまうことがある。そんなメカノイズ原因のひとつに、カムシャフトとロッカーアームスリッパー間の摩耗がある。オイルコンディションが悪くなったまま走り続けると、カム山と摺動する(擦れ合う)部分=スリッパー面が摩耗し、タペットノイズの原因になる。タペットアジャストスクリューを交換したのに、タペットノイズが消えないようなときには、このロッカーアームのスリッパー面摩耗を疑おう。モデルによっては、スリッパー部分へのオイル供給不足で、スリッパーが減りやすい例も過去にはあった。モデルチェンジ毎に何度か対策されたが、最終的にはスリッパー部分を超鋼チップ仕様にすることで、ノイズ対策を行ったモデルもあった。ツインカムエンジンの場合は、カム山が直接タペットを押込むダイレクトタペット方式が多いが、筒状のタペット外周とシリンダーヘッド側のタペットホルダーが摩耗現度を超すと、タペット作動時に筒状タペット本体がホルダー内で踊り、メカノイズが発生することも多い。

ロッカーシャフトの摩耗にも要注意

ロッカーアームを天秤に例えると、ウエイトを載せる片側がカム摺動面で、もう片側がタペットになる。そんな天秤の支点部分にあたるのが「ロッカーシャフト」である。このシャフトもコンディション良く潤滑したい部品だが、劣化したエンジンオイルを使い続けると、シャフトやロッカーアーム本体が摩耗しノイズが発生する。ここでも重要なのがエンジンオイルのコンディションである。金属部品は摩耗し始めると、その摩耗速度は一気に速まるもの。何よりも重要なのが「定期的なエンジンオイル交換」と高品質エンジンオイルの利用で金属摩耗を最小限に抑えることだ。

クラッチ周りもノイス要因が多い

湿式クラッチでも乾式クラッチでも、クラッチアウターの凹溝とクラッチフリクションディスク外周の凸部分には大きな摩擦力が発生する。湿式クラッチの場合は、やはりオイルコンディションが悪い中で強烈なクラッチの断続が繰り返されると、アウターの凹溝には打痕が付き、その繰り返しで段付き摩耗が発生する。その摩耗が原因でクラッチの作動性やキレが悪くなり、同時にメカノイズも発生する。また、クラッチハウジングと一体化される構造が多いプライマリードリブンギヤには、ダンパーユニットが組み込まれるが、ダンパーがヘタリ、周辺部品に摩耗が発生すると、アイドリング時にクラッチ周辺から「コロコロ、コロッ」といったメカノイズが聞えてくる。クラッチレバーを握ったときにノイズが軽減する際は、このプライマリーダンパーもしくはその周辺からのノイズだと疑おう。

カムチェーンの延びとテンショナー機能



カムチェーンの延びもエンジンオイルのコンディションに大きく左右され、メカノイズの原因になる。延びるといってもローラーチェーンのプレートが延びるわけではなく、摺動部分のチェーンローラーとブッシュが摩耗し、クリアランスが大きくなることで結果的にチェーンが延びたような状況になる。そのチェーン延びが影響し、次に発生するのがカムスプロケットの摩耗だ。エンジンの分解時に、カムチェーンが明らかに延びていたら、チェーン交換だけではなくカムスプロケットとクランク側のタイミングスプロケットの摩耗も確認点検しよう。また、カムチェーンテンショナーガイドローラーはゴム部品が多く、大型車の場合は、テンショナーローラーやアイドルギヤのマウントにラバーダンパー(ゴムダンパー)を組み込む例が多いが、このゴム部品の劣化で弾力性が無くなるとカムチェーンノイズが大きくなり、チェーン延びにも影響してしまう。4ミニエンジンの場合は、テンショナーアームを押込むプッシャー先端にもラバーダンパーが入るが、ローラーと同様にこのラバー部品が劣化するとかちかちに硬くなり、本来の機能を発揮できなくなってしまう。オーバーホール時やボアアップ時にエンジン分解した際には、これらのラバー部品を新品に交換しよう。

カムチェーンの張りを目視確認してみる

4ストミニバイク用エンジンを組み立てる際には、カムチェーンの張り具合を目視確認することで、より確実な張り調整を行うことができる。チェーンテンショナーは、一般的にスプリング張力で自動調整するものだが、横型4ミニエンジンなら、エンジン搭載状態でも部品を取り外すことでカムチェーンの張り具合を目視確認することができる。実は、調整したつもりでも、テンショナーアームやプッシュロッドが思い通りに作動しておらず、カムチェーンを正しく張れていないケースも多々ある。

POINT

  • ポイント1・ メカノイズには必ず原因があるので、作動摺動部分の状況を徹底的に確認し原因を突き止めよう
  • ポイント2・ 調整不備でノイズが発生していることもあるが、調整してもノイズが収まらないときには部品の摩耗を疑おう
  • ポイント3・ 久しぶりにエンジン始動する際には、作動摺動部にオイルを塗布して潤滑を高めよう
  • ポイント4・ラバーダンパーやゴムローラーの劣化硬化がメカノイズの原因になっていることもある。エンジン分解時にはラバー部品を交換しよう

2ストロークエンジン、4ストロークエンジンを問わずメカノイズは気になるものだ。エンジンノイズには必ず原因があるので、稼働中のエンジンに聞き耳を立て、その音源を突き止めることから始めてみよう。漠然とエンジンノイズを聞くのではなく、そのノイズが、エンジンの「どのあたりから発生しているのか?」まずは、ノイズのエリア特定から始めてみるのも良いだろう。

エンジンコンディションによって様々なメカノイズが発生するが、4ストロークエンジンに多いメカノイズの発生源は、シリンダーヘッド、シリンダー&ピストン、クランクケースなどなどがある。シリンダーヘッドエリアのノイズとしては、タペットノイズ、カムノイズなどがあり、クランクケースエリアなら、クランク音=ベアリングノイズのゴロゴロ、シューシュー音、ピストンスカートの打音=ピストンが上死点や下死点を通過し、作動方向が逆になった瞬間に出るピストンスカートの踊り音(スラップ音)などがある。また、クラッチカバー内からクラッチの打音=のコロコロ音がするときには、クラッチレバーを切ったり離したりを繰り返し行い、音源=メカノイズの原因のを探ってみるのも良い。そんな聞き耳と手ごたえを経験することで、ベテランサンメカに成長することができる。

オイル管理が原因で作動摺動部品が摩耗してしまい、メカノイズが発生するケースもあるが、経年劣化の影響でゴム部品が硬化し、部品の作動振動を吸収できないことから、メカノイズを発生させているケースもある。いずれにしても、4ストロークエンジンの保守管理でもっとも重要なことは「定期的なエンジンオイル交換」に尽きる。高品質なエンジンオイルを利用し、定期的かつ必要に応じてオイル交換およびオイルフィルターを交換することで、理想的な潤滑性能の維持が可能になるのだ。バイクの保守点検および必要不可欠な整備&オイル交換によって、メカノイズの発生は最小限に抑えることができる。バイクライフを思いっきり楽しむために、やるべきことを確実に実行し、誰もが認めるサンデーメカニックに成長したいものだ。

この記事にいいねする

今回紹介した製品はこちら

コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら

ホンダ モンキー125の価格情報

ホンダ モンキー125

ホンダ モンキー125

新車 179

価格種別

中古車 110

本体

価格帯 39.71~45.1万円

44.53万円

諸費用

価格帯 1.68~4.54万円

2.52万円

本体価格

諸費用

本体

43.76万円

価格帯 30~165万円

諸費用

3.3万円

価格帯 2~3.9万円


乗り出し価格

価格帯 41.39~49.64万円

47.05万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

47.07万円

価格帯 33.9~167万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

ホンダ モンキーRTの価格情報

ホンダ モンキーRT

ホンダ モンキーRT

新車 0

価格種別

中古車 1

本体

価格帯 ―万円

万円

諸費用

価格帯 ―万円

万円

本体価格

諸費用

本体

38万円

価格帯 38万円

諸費用

4万円

価格帯 4万円


乗り出し価格

価格帯 ―万円

万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

42万円

価格帯 42万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

ホンダ モンキーRの価格情報

ホンダ モンキーR

ホンダ モンキーR

新車 0

価格種別

中古車 3

本体

価格帯 ―万円

万円

諸費用

価格帯 ―万円

万円

本体価格

諸費用

本体

44.63万円

価格帯 36.5~57.8万円

諸費用

8.36万円

価格帯 3.9~7.8万円


乗り出し価格

価格帯 ―万円

万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

53万円

価格帯 44.3~61.7万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

ホンダ モンキーBAJAの価格情報

ホンダ モンキーBAJA

ホンダ モンキーBAJA

新車 0

価格種別

中古車 4

本体

価格帯 ―万円

万円

諸費用

価格帯 ―万円

万円

本体価格

諸費用

本体

63.55万円

価格帯 52.8~67.8万円

諸費用

3.92万円

価格帯 3.9~4万円


乗り出し価格

価格帯 ―万円

万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

67.47万円

価格帯 56.7~71.8万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す

ホンダ モンキーの価格情報

ホンダ モンキー

ホンダ モンキー

新車 1

価格種別

中古車 101

本体

価格帯 110万円

110万円

諸費用

価格帯 2.35万円

2.35万円

本体価格

諸費用

本体

54.01万円

価格帯 22~168.8万円

諸費用

3.42万円

価格帯 2.89~5.72万円


乗り出し価格

価格帯 112.35万円

112.35万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

57.43万円

価格帯 27.72~171.69万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す