
しばらく乗っていなかったオフロード車のヤマハTT250レイド。想像していた以上に要修理箇所が多く、部品交換が必要な箇所も数多かった。そんな本格メンテナンスに取り掛かる前に、必要不可欠と言えるのが「車体のクリーニング」だろう。洗車の方法も様々だが、ドロ汚れやドロ垢のこびり付きは、拭き取り洗車だけではなかなかキレイにできないもの。ここでは、単純明快、水道ホースを使ったジャブジャブ洗車を実践しよう。それでも要所をおさえて「通電前」には、お約束のエアーブローを実践し、作業進行した。
何より重要なのが電装系
ガソリンタンク下の電気部品や各種ハーネスカプラもエアーブローしたが、それだけではドロのこびり付き汚れを吹き飛ばせない。粘土質の汚れは除去するのがとにかく大変なのだ。こんな部分のケアに経験則が必要になる。
エアークリーナーボックスのフタを取り外したら、エアークリーナーエレメントが組み込まれていなかった。湿式エアーフィルターのスポンジを組み込まずに走っていたのか?それとも走行後に廃棄したのか?走行履歴がわからない車両のメンテナンスには気を使うこと、妄想することが多い。現状最善を気に掛けて作業進行しよう。
できる限り部品は取り外す
粘土質のドロがこびり付き、簡単には洗車クリーンナップできそうになかった。そこでエアーボックス全体を取りの外し、キャブレターもインシュレーターマニホールドごと分解して取り外し。シリンダーヘッドの吸入ポートには小さく切って丸めたウエスを押込み、ドロ汚れや洗車の水がエンジン内に入らないように養生した。
オフロードユーザー向けの洗車用ケミカルは充実している。粘土質のドロを溶かして、汚れ落としを促進するスプレー洗剤も販売されている。エンジン周辺の部品はできる限り取り外し、バッテリーも取り外してからスプレーケミカルを汚れに吹き付けた。エンジン、フレーム、ハーネスはもちろん、カプラに関してもひどい汚れ部分にはケミカルを吹き付けた。
これが重要「エアーブロー」
ハーネスやカプラはもちろん、各種電装機器へも洗浄ケミカルをしっかり吹き付け、汚れが緩んで浮き始めたところで様々なブラシを使い分け、汚れをブラッシング。ドロ汚れを分解できたところで、再度ケミカルをしっかり吹き付け、追加で徹底ブラッシング。その後、水道ホース+シャワーヘッドを使って圧力を掛けて汚れを洗い流し、さらにコンプレッサーの圧縮空気をロングノズルのエアーガンで吹き付けた。全体的にブァーッと吹くだけではなく、各電装パーツのカプラをしっかりエアーブロー。さらに各カプラの配線に沿って先細ノズルを可能な限り突っ込みエアーブローを徹底。
各種スイッチ接点もしっかりケア
ハンドルスイッチ周りの汚れは想像以上に根深いものがある。オフロードで転倒したり、水たまりに部分水没すると、スイッチ内接点にドロやドロ水が流れ込み、後々のトラブル原因になる。ハンドルスイッチは、ハウジングをバラして内部を点検し、油混じりの汚れが目立つときには防錆浸透スプレーを吹き付けたり、スプレーボトルに入れた灯油を吹き付け、内部をブラッシングして汚れを溶解してからパーツクリーナーでしっかり洗浄しよう。エアーブロー後は、スイッチ接点復活剤を要所に吹き付けてケアすれば良い。
欠品部品は購入取り付け
欠品していたエアークリーナーエレメントは、ヤマハ純正部品の湿式スポンジエレメントを購入した。スポンジエレメントを利用する際は、専用のエアーフィルターエレメントオイルを塗布してから組み込もう。全体的に均一に塗布できるように、専用オイルを塗布したらスポンジをギュッと握って、オイル全体的に染み込ませよう。塗りすぎたときには、ウエスでスポンジをくるんで、ギュッと握ってオイルをウエスへ吸い込ませよう。
- ポイント1・汚れが激しいときには躊躇せず、正面から洗車に取り組もう
- ポイント2・ドロ汚れが激しくても、高性能な洗車用洗剤があればドロを柔らかく浮かせて洗浄することができる
- ポイント3・ 水道水ホース+切替え式シャワーノズルヘッドで十分。高圧洗浄機があるなら使ってみよう
- ポイント4・洗車後のエアーブローこそ徹底的に行い、水分は完全に除去しよう。バッテリーの復元と通電前には車体を天日干し(乾燥)させるのがベスト
単純なエアーブローだけでは、なかなか汚れを吹き飛ばせない……。特に、オフロード系の赤土や粘土質なドロ汚れは、キレイさっぱりしたくても、なかなか思い通りにならないものだ。そんなときに高性能な洗車用洗剤を利用すると、驚くほどドロ汚れは落としやすくなる。今回は、マックオフブランドの洗車用洗剤を利用してみたが、吹き付けてからしばらく待つと、赤土や粘土質なドロ汚れを溶かして浮かせ、洗い流せるといった、使いやすい商品だった。
ガソリンタンク下やエンジン周辺のドロ汚れ、ドロのこびり付きが目立ったので、まずは周辺部品の取り外しから開始。裸になった車体に水道ホースで散水し、さらに洗剤を満遍なく吹き付け、しばらく放置してからブラッシング。汚れが酷いところへは、さらに洗剤を拭き付けてしばらく放置。すると、赤土や粘土質のドロ汚れが、徐々に浮かび上がってきた。準備していた各種ブラシを使って(歯ブラシは細かな部分に効果的)、ゴシゴシ汚れを分解。そして、水道ホースで真っ茶色になった泡汚れを洗い流してみた。すると、粘土質の頑固なドロ汚れが驚くほどキレイに流れ落ちていった。バイクの洗車に特化した洗剤ケミカルの威力は、なかなかなものだ。これならオフロード車の足周りやスイングアームピボット周辺のドロ汚れも、効率良くクリーニングできそうだ。
何度か繰り返し洗浄することで、おおよそ車体はキレイになるが、やっぱり電装系やワイヤーハーネスなど、細かな部分に入り込んだ汚れは落としにくい。しかしも徹底的に洗車したかったので、ワイヤーハーネスや各種カプラ、電装パーツにも洗剤をたっぷり吹き付けて放置し、汚れが浮き始めたところで小さなブラシ(ここでも歯ブラシが有効)を使って、ハーネス周辺の細かな汚れもブラッシング。そんな洗浄を繰り返し行いながら、最終的には電装部品や各種ハーネスのカプラに滲み入った洗浄水を、コンプレッサーの圧縮空気とロングノズルのエアーガンで徹底的にエアーブロー。さらに作業後は、3~4時間の天日干し(乾燥)も行った。
水道水や高圧洗浄で電装パーツを洗い流すには勇気がいるが、現実的にワイヤーハーネスやカプラコネクター程度なら、なんら問題は無い。電装機器や電気ユニットに関しては(例えばマグネットスイッチやフューズボックスや点火ユニットなどなど)、コネクター周辺の汚れをメインに洗い流し、徹底したエアーブローを実践すれば良いだろう。重要なのは「徹底したエアーブローによる仕上げ」である。洗車前にバッテリーを外し、通電しないような段取りで作業進行すれば、ある程度は、思い切った洗車も可能である。ただし、水道水や高圧洗浄を利用した際には、ワイヤーハーネスに沿って必ずエアーブローし、ハーネスを接続する「カプラ」は1個1個抜き取り、オスメスそれぞれの端子を徹底的にエアーブローしよう。フューズボックスなどのユニット部品に関しても、カプラを抜いてからエアーブロー。フューズのフタを開けてフューズ周辺をエアフーブロー。さらにフューズを抜き取ってエアーブローすれば、より良い環境下で作業進行できるはずだ。
ハンドル周りのスイッチボックス内に関しては、ハウジングをバラして内部を目視確認してみよう。油ドロ汚れでネチョネチョしていたら、防錆浸透スプレーをタップリ吹き付けて内部の汚れを分解(歯ブラシ併用)。その後は、パーツクリーナーで汚れを洗い流そう。そして、エアーガンで徹底的にエアーブローした後に、電気接点復活スプレーを要所へ吹き付けることで機能改善するのは明らかだ。できる限り水道水は利用したくないのが本音かも知れないが、コンプレッサーとエアーガン、そして各機能を理解した上で洗車すれば、ダメージを追うことなくバイクは美しく仕上げられる。逆説的には、コンプレッサーとエアーガンが無いときには、派手な水道水洗浄は控えた方がよい。大切なことは、責任を持って、徹底的にバイクと向き合うことである。
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