凹部分をタンクの内側から棒で押し出し、タンク全体を磨き込むことで再クロームメッキ処理の下地作りを展開。鈑金処理を終えたガソリンタンクは、再クロームメッキに依頼し、再クロームメッキの完成後はメーカー純正近似色でペイント。完成したガソリンタンクには、YAMAHAエンブレムとニーグリップラバーを取り付けたが、残念なことに燃料コックの中に組み込む通称「レンコン」ガスケットが入手できなかった。そこで、他のモデル用で「流用可能な部品が無いものか?」探してみたところ……。

極上仕上げを目指したいフルレストア

ボロボロのバイクを美しく、しかもしっかり走るコンディションに仕上げることを、フルレストアと呼ぶ。このバイクは1962年製のヤマハYA5デラックス。ガソリンに2ストエンジン用オイルを混ぜて利用する混合ガソリン仕様の2ストロークモデルだ。1963年以前に開発されたヤマハ2ストロークモデルは、すべて「混合ガソリン」仕様だった。

ポート寸法が一致したスズキ用ガスケット

ヤマハ純正の通称「レンコン」と呼ばれるガスケットは、とっくの昔に販売中止となった部品。ボディデザインが似たヤマハYDS系燃料コックも同仕様のレンコンガスケットを採用していた。なかなか合致するガスケットを見つけることができなかったが、外径が僅かに小さいながらも「スズキ用」(写真左の初期ハスラー250用?)なら、4箇所のレンコン穴通路の寸法がドンピシャだと偶然に発見。右のガスケットがヤマハ純正の当時物部品。スズキ用はもはや利用開始から数年経過しているが、まったく燃料漏れは無い。これぞ他機種用純正部品の流用作戦に成功した実例である。

その他の機能部品も自作

耐ガソリン用ラバーシートは数種類の厚さをゲットすることができた。真鍮ネットを購入し、精密バサミでカット。その切り出した真鍮ネットをサンドイッチするように、リング状にカットしたガスケットを組み合わせる。燃料溜めとなるボウル締め付け時に、ガスケットが引っ張られて折れてしまわないようにラバーグリスを薄く塗布。滑らせながら締付けるフィーリングだ。

ガソリンタンク内に差し込む真鍮パイプには、真鍮ネット製で棒状のゴミ避けカバーを組み込まなくてはいけない。ネチョネチョで真っ黒くなっていた真鍮ネット棒は、キャブクリーナーに浸しておいたら美しく蘇った。切れている部分がある場合は、ハンダで修理できるので実践してみよう。完成後はタンクに取り付け、ガソリンを入れてレバーの切り換え通りに正しく機能するか確認。このネット棒は、真鍮ネットをカットして丸めて、ハンダ固定することで自作することが可能だ。

インナーパーツはすべて手作り部品

旧車のフルレストア進行は、部品探し次第で右往左往するもの。純正部品探しにこだわることなく、このように自作部品で対応することもできる。ガス漏れなどの機能不全が無ければ、自作部品で充分なはず。後々純正部品を見つけたら、スペアパーツとして保管しておけば良い。

組み付け完了後はガス漏れチェック

自作パーツでも純正パーツでも、燃料コック本体にインナーパーツを組み込んだら、タンク内にガソリンを流し入れ、ON、OFF、RESのレバーポジションを確認しておこう。ガス漏れすることなくしっかり機能するか? 本物のガソリンで点検することが何よりも大切である。しばらく浸し、ガソリンによる膨潤でレバーの切替えが重く硬くならないか、時間を掛けて確実に点検しよう。

POINT

  • ポイント1・販売中止部品でも他機種用純正部品の流用で対応できるケースもあるし、その際は現物合せが基本だ
  • ポイント2・販売中止になった純正部品の代わりに自作部品で対応することも可能。諦めずに自作してみよう
  • ポイント3・ 燃料系部品を修理した際には、ガソリンに対する機能確認を必ず行おう

燃料コックからガソリンが滲んでいたり、漏れている旧車は意外と多い。燃料が漏れる原因が何なのか?それ追求するのと同時に修理しなくてはいけない。希に、バイクが燃えてしまった……といったトラブル話を聞くことがあるが、原因の大半はガソリン漏れのケースが多い。旧車の多くは、点火形式がどうであれ(バッテリー点火でもフラマグ点火でも)、そのタイミング制御にポイントを使っていることが多い。ポイント制御の場合は、ポイントとコンデンサが同時に使われていて、ポイントが開いた瞬間にコンデンサに溜まっていた電気がイグニッションコイルの一次側へ流れ、それが昇圧されて二次側へ流れ、プラグコードを通じてスパークプラグに流れて電極にスパークを飛ばす仕組みだ。その点火システムの過程でポイントが開く瞬間に小さな火花が飛ぶが、その火花がガソリンに引火するケースが意外と多い。

70年代後半になると、バッテリー点火車はトランジスタ点火へと進化し、フラマグポイント点火車はCDI点火車へと進化している。この点火系の進化と同時に、ポイント機能が廃止され、点火信号は「無接点のピックアップコイル」からの信号によって制御されることになった。トランジスタ点火やCDI点火と聞くと「着火性能の向上」が注目されがちだが、実は、ポイントレス仕様になったことで、小さな火花がチクチクッと飛ばなくなったことも、ありま話題にはならないが、実は大きな進化でもあったのだ。

上記のような事実を知れば、如何にガス漏れが恐ろしいものか?ご察し頂けると思う。今回は、レンコンガスケットを純正流用で見つけることができてラッキーたが、過去には耐ガソリン性ゴムシートとして知られるNBR製ゴムシートやフッ素製ゴムシートで部品自作したこともあったが、現代のガソリンとは相性が今ひとつのようで、ガソリン膨潤によってシール性が強くなりすぎ、燃料コックレバーをスムーズに回せなくなってしまうこともあった。現代のガソリンは、環境問題の影響でエタノール含有量が増えており、それがゴム部品に良くない影響を及ぼしているようだ。そんな環境であることも踏まえ、部品を自作し、使用前に漏れ確認を行って頂きたい。今回は、インナーパーツをすべて組み込み後の燃料コックをガソリンタンクに組み込み、ガソリンを注入してからしばらく放置したが(数週間)、ガス漏れや切替えレバーが重く動かなくなるようなことも無かった。

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