
寒くなってくるとバッテリーの突然死などが発生しやすくなります。
ブースターケーブルを使って他車から電力を貰えば良いのですが、ブースターケーブル(ジャンプケーブル)の接続には順番があります。
順番がある事は知っていても正確な順番なんて覚えてないですよね?
いちいち覚えてなくてもその場で検索すれば良いし。
しかーし!
順番があるという事はその順番でなければならない理由があるのです。
理由さえ知っておけば順番なんか暗記しなくてもイヤでも順番通りに接続できるようになります。
皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
今回はブースターケーブルの接続順序と、なぜその順序なのか?についてです。
目次
順番を間違えると悲惨な事に!
知らずに繋いで上手く行く場合もありますが、それは単に運が良かっただけ。
接続場所を大きく間違えるとケーブルを繋いだ瞬間にスパークして派手な火花が出ます。
誤接続でスパークすると周辺がコゲる事もありますし、スパークと同時にバッテリー端子が溶け落ちてしまう事もあります。
特に端子が鉛製のバッテリーなんて、一瞬で使用不可になってしまうくらい簡単に溶けてしまいます。
バッテリー単体でも端子の順番は大切
別にブースターケーブルを接続せずとも、単なるバッテリー交換ですら端子を外す時は順番があります。
バッテリー単体の場合、
外す時はマイナス(-)から、
接続する時はプラス(+)から、です。
理由は簡単です。
車体はマイナスアースが取られており、マイナスアースはその言葉のとおりバッテリーのマイナスと常時接続されているので、プラスから先に外して外れた配線が車体に触れたり工具が車体に接触したりするとショートしてしまうからです。
ショートすると結構強力な火花が出るので普通に危険です。
だからマイナス端子から外して車体アースとの接続を切る事を優先するのです。
マイナス側なら工具が車体と接触してもスパークしません。
何かの拍子に火花が出ないまま回路短絡(ショート)してしまう事もあります。
これは超危険で、そのまま接触し続けると意図せず大電流が流れ続けてしまうのでバッテリーが異常発熱し、最悪爆発してしまう事もあります。
たかがバイク用の小さなバッテリーと侮るなかれ。
誤ってバッテリー端子間にコンビネーションレンチを落としてしまった事がありますが、8mmのスパナが一瞬(1秒も掛からないです)で真っ赤になり、工具もバッテリーもお釈迦になりました。
幸い破裂はしませんでしたが、一歩間違えたら大事故です。
ここがポイント!『車体は常時マイナスアースが生きている』
上記のバッテリー単体の話で書いたように、バッテリーのマイナス端子はメインスイッチの位置とは無関係に常に車体と接続されています。
車体アースも含めてマイナス側はいつでも通電準備OK状態なのです。
テストには出ないけど超大事な事なので絶対忘れてはイケマセン!
アースを切る事を意識するのが大切
バッテリー単体の場合、外す時はマイナス(-)から、接続する時はプラス(+)から。
外す時はまずアースを切ってしまい、何らかの理由でプラス配線が車体に触れたとしても導通しないようにしておくのがその理由。
装着する際は逆で、全部配線が終わってから最後にアースを取るようにして、配線作業中に工具や配線が車体と接触しても導通しないようにしておくのが理由です。
理由がわかれば間違えようが無いですね!
ようするに作業中にアースと接触しても通電しないようにすれば良いのです!
ではブースターケーブルの場合は?
バッテリーを外す時はショート防止の為にマイナスから外しますが、ブースターケーブルを使用する場合はバッテリーが弱った方のプラスから接続します(理由は後述)。
まず順番を先に書いておくと、
- 1:2台の車両ともイグニッションOFFにする
- 2:バッテリーが弱った方のバッテリープラス端子(+)と+コードを接続
- 3:元気な車体側のバッテリープラス端子(+)と+コードを接続
- 4:元気な車体側のバッテリーマイナス端子(-)とーコードを接続
- 5:バッテリーが弱った方の車体アース(-)とーコードを接続
- 6:元気な車体側のエンジンを始動する
- 7:バッテリーが弱った方のエンジンを始動する
こうなります。
「7」の時に「南無三!」とか、「ええい、ままよ!」とか呟くと映画の主人公っぽい演出になるのでオススメ。
始動に成功して回転が安定したらケーブルを外しますが、外す時は逆の順番に外していくだけです。
マイナスケーブルとプラス部分を接触させてもショートします。
接続は必ず同じ極性同士を繋ぎ、違う極性の端子や車体と触れないようにしましょう。
なぜその順序?
まずは接続し終わった状態の図を見てください。
じゃじゃん!
元気な車体側のメインスイッチがONであろうとOFFであろうと関係無く、バッテリー2個を並列に接続して電源回路がぐるっと一周しているのが解りますよね?
青四角の中の数字が接続順序です。
でも、なぜマイナスから接続してはダメなのでしょうか?
実はこれは物凄い慎重論から導き出されており、マイナスから接続したら壊れるとか、そういう話ではありません。
先にマイナス同士(片方はバッテリーが弱った方の車体アース)を接続しても壊れませんし、先に元気な車体側から接続しても壊れません。
絶対にマイナスから接続したらダメ!というワケではないのです。(!)
でも、万が一の可能性を考えると最も安全なのが先ほど紹介した順番になる、それが様々なメーカーの公式見解です。
まず最初に知って欲しいのですが、ブースターケーブルはぐるっと一周して接続完了する最後の接続の際に、どうやっても僅かにスパークが発生します。
電気が循環するループが完成する事になるので、どの順番で接続しても『最後に接続する部分でスパークが起きる』という事です。
だとすると、スパーク(火花)が発生しても影響が出にくい部分を最後に接続した方が良いですよね?
では影響が出にくい条件とは何でしょう?
プラスにしろマイナスにしろ、誤ってショートさせてしまった時にスパークが小さくて済むのはバッテリーが弱った方側になります。
元気な車体側のバッテリーは元気なので、誤ってショートするとフルパワーでショートしてしまいますからね。
だから、万が一の端子接触事故を考慮すると、最初に接続すべきはバッテリーの弱っている側という事になります。
その際にマイナス側(つまりバッテリーが弱った方のボディーアース側)から繋ぎ始めると、ぐるっと一周して戻って来た最後の接続がバッテリーのプラス端子になります。
バッテリーというのは電気を充電する際に水素が発生するのですが、この水素ガス(引火しやすい)が発生しているかもしれないバッテリー付近で最後の接続をする事になってしまいます。
プラスから繋ぎ始めると、ぐるっと一周して戻って来た最後の接続がバッテリーが弱った方の車体アースになるので、水素に引火する確率が下がります。
つまり……、
水素に引火する可能性を減らすためにバッテリーが弱った方の車体アースを最後に接続したいので、逆に辿って行くと最初に接続するのはバッテリーが弱った方のプラス端子になる。
接続に順番がある理由がコレです。
とりあえずプラス同士、マイナス同士を接続すればショートしない
そんなの覚えられーん!という場合も、プラスとプラス、マイナスとバッテリーが弱った方のボディアース(マイナス)を繋げばショートしないと覚えておけばとりあえずはOK。
同じ極性同士なら電気は流れないからです。
順番を無視して接続しても壊れたりはしませんから安心してください。
そこまで慎重になる必要があるのか?
上記のように安全性を追求したメーカーの見解とは異なります。
事故等が起きた場合にウェビックは一切の責任を負いかねます。
充電時に水素ガスが発生するのは事実ですが、ブースターケーブルで接続されたバッテリーが急速充電される事で引火するほど大量の水素ガスを発生させるのかと言われると「さすがにそれは無いのでは?」と思います。
また、バイクは密閉空間にバッテリーを収納していません。
基本的に大気中に丸出しなので、仮に大量の水素ガスが発生してもバッテリー周辺に滞留するとは思えません。
むしろ、バイクはガソリンという引火性の高いものが比較的ラフに扱われている乗り物であり、キャブレター車では思いっきり傾けただけで容易にガソリンが漏れます。
キャブレターから漏れたガソリンがエンジンやフレームに垂れている可能性もある中、最後の接続を車体アースで行う方がよほど危険なのでは?とも思います。
私は水素ガスの発生量がどれほど有るのか知りませんし、どれほど滞留しているのか、どれほど引火の可能性があるのか、といった実験データを持っているわけでもありません。
ですので、大手を振って皆さんにオススメする事は出来ませんが、個人的には『どこから繋いでも良い、最終的に電気循環回路が形成されれば良い』と思っています。
水素ガスへの引火を危惧して接続順番を厳守しようとするより、プラプラしているブースターケーブル端子がどこかに接触してショートしないようにサッサと接続した方が遥かに安全だとさえ思います。
ですので、私は以下の順番で繋いでいます。
- 1:2台の車両ともイグニッションOFFにする
- 2:バッテリーが弱った方の車体アース(-)とーコードを接続
→ 通常とは正反対で、最終接続をココにしたくないため - 3:元気な車体側のバッテリーマイナス端子(-)とーコードを接続
→ ケーブル端をプラプラさせておきたくないため、サッサと接続したい - 4:バッテリーが弱った方のバッテリープラス端子(+)と+コードを接続
→ 万が一ケーブル端が車体と接触しても弱い電流で済むため - 5:元気な車体側のバッテリープラス端子(+)と+コードを接続
→ 止むを得ず最後がココになる - 6:元気な車体側のエンジンを始動する
- 7:バッテリーが弱った方のエンジンを始動する
接続順を図にすると下図のようになります。
どうですか?
最初に紹介した『世の中で推奨されている接続』とは全然違いますよね?
一切責任は負えませんが、皆さんもバイクで最適な接続を考えてみてください。
人によって意見が分かれるので面白いですよ。
この記事にいいねする
>そこまで慎重になる必要があるか?
酷すぎる記事。
最適な接続を考えるのは勝手だが
人に推奨するのは情報の混乱で却って危険。
一個人体験より膨大なテストを行っている
メーカー推奨の方法が正しい。
ガソリン洩れた状況で作業するなんて整備作業以前の問題。
水素ガス発生なら換気・空気の流れがいい場所、
もしくは扇風機使って作業する。
ケーブルクリップは接続直前まで
カバーもしくはウエス・軍手で絶縁する。
作業時は安全眼鏡が必須。
店に頼んだら?