バイク走行時にライダーの身体をホールドする、主要3ポイントのひとつが「ライディングシート」。手で握るハンドルグリップ、脚を載せるライディングステップ、そして、お尻を載せるライディングシートの3点が、走りに大きな影響を与える主要3要素と呼ばれている。どれかひとつでも気になる部分があると、落ち着いてライディングに集中できなくなってしまうが、そんな経験、ありませんか?ここでは、破れてしまったシート表皮を、DIYで市販品に交換=張り替えるにあたっての、ポイントを確認してみよう。

早めの表皮交換でダメージ進行を回避

経年劣化でカチカチになりつつあったシート表皮に亀裂が入ってしまった……。そこで、市販シート表皮を購入し、張り替え作業にチャレンジしてみた。今回のシート表皮は、鉄板ボトム板の通称「サメの歯」に引っ掛ける旧タイプなので、シートボトムのサメ歯コンディションが重要だが、コンディションが悪い場合は、思い通りに交換することができない(表皮を固定する歯がサビで腐り落ちているケースも)。今回は、幸運にもサメ歯のコンディションが良かったので、歯を起こして、新しい表皮を再度引っ掛け直し、修復することができた。

何年も前にネット通販で偶然に見つけたシート表皮。縫製の仕上げが良かったので、迷わず購入した。実は、該当モデル用部品なのか、不安だった。一般的にシート表皮は、専門業者に仕上がりの希望を伝えて(イラスト説明も効果的)、張り替え依頼するものである。最近は、補修用の張り替えシート表皮だけの販売例もあるので、DIYで張りかえている中古車ショップやサンデーメカニックが増えているのは、確かな事実である。

鉄板ボトムだからこそ「サビ防止」から

鉄板素材のプレス製部品にブラックペイントを施したシートボトム。スポンジ(通称アンコ)側の鉄板は見えなくなるため、ペイント処理されていない例がほとんどである。シート表皮が破れたり、切れ目が入ったまま乗り続けると、雨や湿気をスポンジが吸い込むことで、鉄板地肌のシートボトムが内側からサビ始め、それが進行することでサビ腐りになってしまう。今回のシートは、スポンジが湿気を吸っておらず内側のコンディションは良かった、そこで、シートを持ち上げたときに(ガソリン補給などで)ボトムのサビが目立たなくなるように、見える部分の鉄板を再塗装することにした。まずはリューターに不織布をセットしたサビ取り棒を取り付けて磨いてみた。

リューターを使って行ったサビ取りだけでも十分だったが、徹底的にサビ除去したくなり、サンドブラストでサビ取り作業することにした。ボトムとアンコが一体化した状態だったため、シートボトムの穴にはゴム栓を差し込み、スポンジ側をマスキングすることで作業実践。外周のサメ歯を起こしてからサンドブラスト処理を実施。サビや旧ペイントは、あっというまに除去することができた。

スポンジを養生してからベースのペイント

サンドブラストによってほぼすべてのサビを除去できたものの、スポンジ周辺はメディア(砂)でザラザラになってしまった。エアーガンにロングノズルを取り付け、表面だけではなく隙間に入った砂もエアーブローで除去。その後、念のために半日ほど陰干ししてスポンジの湿気を飛ばした。スポンジ部分をコロナマスカー(外壁塗装の養生用テープ)でマスキングしてから、イサムエアーゾールのエアーウレタン2液缶スプレーの艶ありブラックを利用して、鉄板ボトムをペイントした。薄く薄く何度も塗り重ねるのが、缶スプレーを垂らさずに塗るコツである。

アンコへの水分吸収をラップ張りで防御

雨水や湿気をスポンジが吸収することで、シートコンディションは著しく低下してしまうものだ。そんな重要なスポンジを少しでも保護するための策として、梱包用のラップを調達(600mm幅が丁度良かった)。スポンジ部分にぐるっと巻きつけて、サメ歯に引っ掛けで固定した。

張り込む前のシート表皮には、前後それぞれの中央にセンター印をマーキング。同じようにシートボトムの前後にもセンターリングのマーキングを入れよう。これは鉄板ボトムでも樹脂ボトムでも、レプリカ品のFRPボトムでも、すべて同様の張り込み前の段取りだ。ダブルシートでもサドル型シートでも、前後マーキングに合せてセンター出しを行い、仮固定しながら両サイドへ引っ張り込み、前から後ろまでバランス良くシート表皮を張り込むのがコツのようだ。

シートモール付きは固定穴の位置を明確に

旧車のシートにはデザインモールが取り付けられている。鋲止めでもモール止めでも、鉄板の固定部分には穴が空いているので、その穴が表皮内側に隠れても、場所がわかるようにあらかじめマーキングしておこう。シート表皮の張り込みを終えたら、全体のバランスを整え(バランスが悪い場所はフックを引っ掛け直す)、形状が良いことを確認したらモールを固定する穴にピンを通す穴を開ける。ここでは、千枚通しのような突き刺しツールを利用した。

バランス良く表皮を張りかえることができた。メーカー純正スポンジ(アンコ)形状にもマッチした高品質なシート表皮で良かった。アンコ側がへたって潰れていると、このような張りにはならないので、そんな際にはアンコを増さないといけない。アンコ増しとなると、このようにスムーズな作業は難しい。

POINT

  • ポイント1・シート表皮を外したら、スポンジが吸っている湿気を「陰干し」で必ず乾燥させよう。直射日光はスポンジ劣化につながってしまう。
  • ポイント2・シート表皮を張り込む際には、表皮前後の表裏、ボトム前後の表裏に必ず中心マーキングを入れよう。
  • ポイント3・防水対策を行うため、表皮の張り込み前に梱包用ラップを利用して全体を包み込むと効果的。スポンジは水分に弱い。
  • ポイント4・シート表皮を張り込み終えたら、全体がバランス良く張り込めているか、第三者の目になり確認しよう。バランスが悪い箇所はフックを掛け替えて調整しよう。

劣化による表皮破れならまだしも、イヤガラセなどでシート表皮にダメージを受けると、シートのアンコ(クッションスポンジ)が露出してしまうもの。スポンジは、水分を吸収しやすいことでも知られているが、その水分がスポンジから弾力性を奪い、腰抜けのクタクタ状態にさせてしまう原因でもある。スクーターやビジネスバイク用には、シート表皮の上から被せる商品=シートカバーもあるため、仮に表皮が破けても、上から被せることで最悪のケースから免れることもできる。

70年代後半になると樹脂製ボトムのバイク用シートが登場し、シートの張り込みにはホチキスのようなタッカー(強力なエアータッカー)が利用され、バチッ、バチッと表皮が固定されるようになった。また、カスタムシートの場合は、樹脂製シートボトムやFRP製シートボトムに接着剤で貼り込み固定されるタイプも数多くある。

いずれにしても、様々な商品が購入できるようになった今現在は、往年の旧車でも人気モデル用にはシート表皮の単品販売例が多く、ハイクォリティな商品も数多いことで知られている。今回、張り替え実践にチャレンジしたシートは、旧スーパーカブの純正セミダブルシート。日本国内では、ビジネスシーンで大活躍したモデルとして知られているが、海外のバイクシーンでは、日常生活に溶け込んだ移動手段として高い人気を誇ったのがスーパーカブで、セミダブルシートやダブルシートモデルの設定もあった。そんな旧スーパーカブ用の部品は、特に、東南アジア諸国で大人気。数多くの社外パーツが製造販売され、その中にはシート表皮のバリエーションも数多くあった。そんな補修部品を海外通販で購入したのが、この純正セミダブルシートデザインの補修用表皮だった。

今回は、鉄板シートボトムの外周にある、爪(通称サメの歯)に表皮を引っ掛けるタイプ。仮に、ボトム鉄板の爪がサビや劣化で欠損している場合は、表皮を貼り込み前にボトムの補修が必要になる。爪部分だけが欠損している場合は、あらかじめ鉄板に穴を開けて、アルミ押しピンを通しておき、表皮を引っ掛けて張り込むのがよいだろう。

鉄板シートボトムは程度が良く、サメ歯も再利用できたが、ブラックペイントのコンディションが今ひとつ良くなかったので、可能な限りペイントを剥離してから2液ウレタンの缶スプレーで補修ペイントを行った。シート表皮を貼り込む際には、事前段取りでシートボトムと表皮の「前後裏表の中心」にマーキングを入れ、最初にセンターリングしながら表皮を被せ、それから左右均等に張り込んでいくのがコツのようだ。

今回、張り替えを行ったのは「カモメ」と呼ばれたスーパーカブ(1971~82年まで生産)のメーカー純正シート(オプション部品のセミダブルシート)。通称、ツーリング用シートと呼ばれたモデル用だ。日本国内では、1971年発売のスーパーカブC50K1-2型に採用されていた。このセミダブルシートはC50K1-2用で、C70K1-2は2名乗車用のダブルシートが標準だった。ツーリング仕様は専用リアキャリヤとグラブバーが組み合わせ部品。セミダブルシートの装備でスポーティな印象になるのがスーパーカブだ。

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