YAMAHA Trail 250 DT-1 1969 Vol.17

エンジンは完全分解していませんが「ほぼフルレストア」と言えるフルフルコースで仕上げてきたヤマハ250DT1。思いの外、ベースエンジンのコンディションが良かったので、敢えてエンジン全バラまで行いませんでした。しかし、そこは旧車。いつ、何が起こっても不思議ではありません。そのうち「コロコロッ」とクランク音が出始めたら、エンジン腰下も分解オーバーホールになりますね。ひとまずはここで、レストア完成の最終回といたします。


メンテナンス時にあると便利なVMX専用のリフトアップスタンド 

愛知県のダートフリークがVMX(ビンテージモトクロス)マシン用のリフトスタンドを販売している。エンジン下に滑り込ませてアームを踏み込むことでスタンドアップ!!

旧車トレール全般に使うことができるダートフリークのリフトアップスタンド。現代のモトクロッサー用を使うと高く上がり過ぎますが、VMX専用なのでリフト量は控えめだ。


アルミICBM®シリンダーの採用で放熱性が一気に向上

エンジン本体は、腰上のオーバーホールとエンジンカバーのペイント仕上げのみ行った。注目のシリンダーは、アルミスリーブを採用したICBM®仕様(iB井上ボーリングにて製作)。吸排気ポートには「柱」を追加して、ピストンの首振り防止とピストンリングのポート内への飛び出しを抑制している。


ディテール仕上げの積み重ねでバイク全体が美しく見える 

マフラーはパウダーコーティングカトーさんでセラコートを施工。サンブラで旧塗装を剥離したら「これほど程度が良いマフラーはなかなか無いよ!!」と加藤職人。

エンジンコンディションのケアを目的に2サイクルエンジン用シンセティックゾイルを利用。ベテランライダーも喜ぶ「赤色オイル」なのが雰囲気を醸し出している。


音叉マークの小型新品タンクキャップは、預かったレストア用部品箱の中に入っていた。どうやら音叉マーク入りの小型タンクキャップは、最近まで新品部品を購入できた!?


リアショックはDT1純正部品を分解して仕上げた。ダンパーボディを分解して、内部を洗浄した後にサスペンション用の10番オイルで組み立てた。今のところオイル漏れ無く稼働中。


張り込み済みの前後スポークホイールを預かったが、芯円も左右の振れもバラバラだったので「芯出し振れ取り」はすべてやり直した。ダンロップタイヤはサイズ表示が現代的に。

初期型DT1の特徴である大きな肉抜き穴が6か所開いたスチール製の純正ドリブンスプロケット。減りが少ない極上中古部品を再ユニクロメッキで仕上げた。


コスト度外視の設計とも呼べるリアブレーキパネルのフローティングマウント。メーカー純正で、この仕様は初期型DT1の特徴だ。初期シリーズのスイングアームは角断面だった。


輸出仕様のシングルシート風部品で仕上げたが、国内仕様は座面が長いダブルシートを採用していた。ウインカー付きでも初期のシートレールは曲げが浅くフェンダーとの隙間に指が入らない。


初代シリーズのDT1はスピードメーターに対してタコメーター径がひとまわり小さいのが特徴だった。メーターリングに取り付けるラバープロテクターも希少パーツだ。


輸出仕様のシングルシートをベースに表皮を張り替えて仕上げている。ダブルシートよりも短いが、小柄なライダーなら2名乗車は可能な寸法となっている。


丸型リフレクターがテールランプ一体式になっている250DT1。後のDT250後期モデルでは、長方形で味気ないデザインのテールランプへと仕様変更されている。


ウインカー付きの1969年モデルは、ロードスポーツモデルのYDS3用と同デザインのスイッチながらハーネスケーブルが長い。ウインカーの切り替え節度もカチカチ感があり良かった。


ヤマハ250DT-1が大好きな、地元のバイク仲間に託します 

「トレールバイク命」の近所のおじさんバイク仲間に託した250DT1。大柄な体格よりも小柄なライダーの方がDT1には似合うと思う。クランク音が出てきたら分解しましょう。




POINT
  • フルレストアのポイント・ベースバイクを預かってから様々な作業を繰り返し行ってきたが、遂に「フルレストア」が完成した。気になる部分を見つけた時に、見過ごしてしまうのではなく「積極的に改善修理」していくことで、いつしかバイクは美しくかつ高機能になっていくものだ。そんなことを改めて実感することができた。

いつかはチャレンジしたいと思っていた「VMXマシン」のフルレストア。いわゆる旧車モトクロスや旧車トレールモデルのフルレストアがそれだが、正直、ロードモデル専門だったぼくにとっては、初体験なことがとにかく多かった。

近所にはDT1が大好きなバイク仲間がいて、部品取り車やらスペア部品を数多く持っている。ボロ車を購入して、一から部品集めして、完成車一台を仕上げることは、実に大変である。ぼく自身、過去にはカワサキトリプルの500H1マッハⅢを2台、750H2を1台、CB750もフルレストアした経験があるが、レストア実践していた当時(2~30数年前)と近年では、部品の値段もベース車両の相場も大激変!!その昔、旧車のレストアと言えば、バイクいじり好きで「お金が無い者」にとっての趣味的な要素が強い娯楽だった。

しかし、今現在フルレストアと言えば「お金持ちの道楽」と言われるほどの状況となってしまった。人気モデルはもちろんだが、旧車カテゴリーのエポックなモデルは、軒並み高値高騰が続いている。ベース車両と部品を所有していた仲間に相談しながら、このVMXフルレストア企画を始めることができた。

旧車トレールカテゴリーのエポックモデルといえば、ヤマハ250DT1やスズキTS250ハスラー、カワサキ250TRバイソン、ホンダならMT250エルシノアなどなど。排気量違いの兄弟モデルもそんなエポックなモデルと言えるだろう。バイク仲間は生粋のヤマハ党で、DT1の1969年モデルの部品取り車、それと1台分組み立てられるパーツが「探せばあるかも知れないなぁ!?」とのお話だった。そんなバイク仲間から、レストアベース車のDT1と部品を預かりフルレストアしたのが、この1969年型のヤマハトレール250DT1である。

フルレストア作業の連載がメインなので、マシンの完成によって企画は終了となるが、トラブルが発生したり、走り込んだ後にクランク音が出始めたときなどは、エンジンを降ろして完全分解からのクランクシャフトのオーバーホールを実践する日が来るかも知れない……?などとも考えている。もちろんこれまでのように「こだわり」を持ちながら、作業進行を楽しみたいと思います。長らくお付き合い、ありがとうございました。

ギャラリーへ (16枚)

この記事にいいねする


コメントを残す