回転する布バフやワイヤーバフを、アルミパーツに押し付けて磨く工程とはまったく異なり、いわゆる「BB弾」のような固形研磨メディアが入った溶液中にパーツを押し込んで強制的に回し、上下させることでパーツの細部まで磨き込む手法がある。それが「3次元バレル研磨」処理である。旧車のレストアやカスタムマシン作りで注目されるこの技術を再確認してみよう。


切れ味鋭い「ムラマサ」による3次元バレル研磨処理

愛知県のカーベックが開発製造販売する商品名「ムラマサ」、3次元バレル研磨処理を行う設備だ。同機器を導入したショップでは、各種磨き仕上げ部品の研磨処理を請け負っている。アルミホイールの磨き再生には欠かせない機器だ。


固定治具にセットしたキャストホイールを回転させながら、研磨メディア+洗浄溶液が入る槽内にホイールを押し込み、さらに回転軸のアングル変更によって研磨状況を均一にしつつホイールを磨いていく。

ホイールデザインやスポーク形状によって磨きプログラムを調整変更するコントロールパネル。すべてのキャストホイールを同じ動作データで仕上げるわけではなく、各作動軸の調整が可能な制御システムを搭載している。


薄汚れたキャストホイールでも新車以上の輝きに仕上げられる 

赤ペイントのスポークだったカワサキ純正キャストホイールとスプロケットのカップリングフランジ。剥離剤とサンドブラストで塗膜を除去し、その後、3次元バレル研磨処理で磨き込む。ホイールも小物部品も固定具にセットされて作業進行。


セラミック製の研磨メディアを洗浄槽の中に大量に沈め、その中へホイールを押し付けながら作動。研磨メディアがホイール各部を磨くのが3次元バレル研磨の仕組みだ。まずは下処理目的の粗目メディアで処理される。


BB弾のようでもあり、大豆にも見える小型のセラミック球が仕上げ用のメディアだ。溶液の中には洗剤が入っていて、研磨中の滑性と洗浄性を高めている。繰り返し利用することで、このメディア球が小さく摩耗していく。

粗目メディアで下処理されたアルミホイールには独特の処理模様が出るが凸凹は一切無い。この仕上げ用セラミックメディアによる研磨によって、アルミ製キャストホイールはポリッシュされたかのような光沢肌となる。


アルミ地肌が輝くナチュラルな風合いが3次元バレル研磨仕上げの特徴 

そもそも鋳物肌だった部分はグレー色っぽく仕上がり、切削肌だった部分は、切削直後のような輝きを取り戻す仕上がりになる。仕上がり状態を見ただけでは、まさかあのホイールが……。信じがたい光景でもある。


ホイールのアクスル軸を中心に回転しながら磨き上げられるため、リム内側の切削面は特にピカピカに仕上がる。リムの内側エッジが汚れているとスローパンクチャーの原因になるが、汚れ対策にも効果的だ。


凸凹鋳肌が残る十字断面のスポークは、鋳肌を残すように磨かれるため、見栄えとしては灰色に仕上がる。切削面をマスキングして鋳肌面をペイントすることで、純正ホイールを高品位に仕上げたような印象に様変わりだ。

スプロケットを固定するカップリングのダンパー部分も美しく磨き上げられている。磨き過ぎによって仕上げ寸法が許容範囲を超えてしまうこともない。周辺の関連部品も同じように美しく磨くことができる。



 取材協力/カーベック https://www.carvek.jp/


POINT
  • ポイント1・カスタム車製作時にはアルミホイールのカラー変更を行う例が多いが、丸塗りだけではなく純正風味の仕上げも可能 
  • ポイント2・固定治具を使い分けることで、エンジンカバーやツインカムヘッドカバーなどもポリッシュ仕上げが可能になる 
  • ポイント3・固定治具の変更でキャストホイールだけではなくアルミリムのポリッシュも可能になる 

複雑なデザインのアルミホイールをエアーポリッシャーなどで磨くのは、自動車用でもバイク用でも、実に大変な作業である。リムエッジに付いてしまったガリ傷などは、エアーポリッシャーを使うことで目立たないように上手に修正することができる。しかし、リムの外周360度すべてを、同じように磨くことはとても難しいし、スポークやハブの入り込んだ細かな部分などには、ポリッシャーの先が届かないことも多く、指先で磨くにも限界がある。そんな理由から、ホイール再生は面倒がられることが多い。

そんなアルミホイールを効率良く美しく磨き、切削リム部分は、まさかの「新品ホイール同等」の仕上がり&輝きにするのが、ここに紹介する3次元バレル研磨処理機である。処理後のパーツ表面は、アルミ地肌ムキ出しであるにも関わらず、加工硬化によって硬度が高まり、処理溶液の防錆効果もあって、腐食しにくい仕上がりとなるのも大きな特徴だろう。キャストホイールのレストア時には、最善の再生方法と考えられるのが、この3次元バレル研磨処理技術である。

作業工程は、剥離剤やサンドブラスト処理で、旧ペイントの剥離作業から行なう。次に、3次元バレル研磨処理機にて研磨処理を行う。最初に、粗目仕上げのセラミックメディアで行い、次に、仕上げ用のセラミックメディアで研磨処理を行う手順だ。これらの処理を行った後に、マスキングを行いペイント仕上げすることで、メーカー純正部品と似た印象の仕上がりを得ることもできる。

カーベックでは、この3次元バレル研磨機の業者向け販売を行い、ディーラーネットワークを構築することで、一般ユーザー向けのサービス普及を目指している。すでに機器を導入済のショップや工房をユーザーへ紹介することで、同技術の間口を広げているのだ。中古のキャストホイールにサンドブラストを施し、ペイントで仕上げるホイール再生は以前からあるが、1970~80年代のメーカー純正キャストホイールのような風合いの仕上げを望むユーザーにとっては、このホイール再生が魅力的に感じるはずだ。



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