
目次
ハイオク = 高級ガソリン?
ハイオクガソリンはレギュラーガソリンよりオクタン価が高い高級品。
ドカンと燃えてパワーアップしそうな気がしますよね?
値段も高いし!
しかーし!
ハイオクガソリンはレギュラーガソリンよりドカンと燃えるワケではありません。
じゃあ何でわざわざ高価格なガソリンを入れるように指定されているのか?
この辺りを正しく説明出来る人は少ないのでは?
今回は解ってるようで解ってない「ハイオクガソリンとは結局のところ何なのか?」についてです。
名称について
まずは基本から。
ハイオクという名称は「ハイ」+「オクタン価」を略したものです。
日本語化すると「高オクタン価」。
じゃあ「オクタン価」って何だ?
オクタン価とは?
オクタン価にはモーターオクタン価(MON)とリサーチオクタン価(RON)があって……なんて話は我々にはどうでも良くて、要するに『ノッキングしにくさを表す数値』という事を知っていればOK。
そして日本の場合、レギュラーガソリンでは89以上、ハイオクガソリンでは96以上、と定められています。
その数字は何なの?と言われるといきなり難易度が上がるのですが、これまた知らなくてもOK。
最高値が100、最低値が0で表現される『ガソリンの性能指数』だと思っていれば大丈夫!
数字が大きいほどノッキングしにくい燃料という事を表しています。
ハイオクの方が数字が大きいので、ハイオクの方がノッキングしにくいという事。
あと、欧州ではレギュラーガソリンのオクタン価が95である事が普通です。
輸入車でハイオク指定な事が多いのは、欧州のレギュラー基準に合致させるには日本のレギュラー(89オクタン)では性能不足だからです。
欧州のレギュラー = 日本のハイオク。
オクタン価が高いとどうなる?
さて、オクタン価が性能指数だと書きましたが、ガソリンの性能が高いとはどういう事でしょう?
これも難しい理論を知っておく必要は無く、オクタン価が高いと以下の事が起こると覚えておけばOK。
- 燃えにくくなる
- ノッキングしにくくなる
ノッキングのしにくさを表す数値が上がるのだからノッキングしにくくなるのは良いとして……、
ん?!
燃えにくくなるとは??
それって性能が低いって事なのでは??
燃えにくいとは?
高い金払ってるのに燃えにくい物売ってんのかよ!と言いたいところですが、コレがホントにその通り。
もう少し正確には「着火しにくい」となります。
そこだけ聞くとハイオクガソリンの方が性能が低そうに聞こえますが、もちろんそうではありません。
着火しにくい、燃えにくい、どちらも言葉のイメージが悪いですが、それはガソリン単体で比較したらの話。
エンジンまで含めて考えないとハイオクガソリンのメリットは理解できません。
ガソリンエンジンの特性(その1)
というワケでエンジンの話です。
ガソリンエンジンは空気とガソリンを混ぜたもの(=混合気)を吸入し、吸い込んだ混合気を圧縮し、点火プラグで着火して燃焼させ、その時に発生する燃焼ガスの圧力でピストンを押し下げる事でパワーを発揮します。
ところで、物質を圧縮すると物理法則に従って熱を持ちます。
もちろん混合気も同じで、圧縮すればするほど高温になっていきます。
その熱が混合気の発火点を超えると……、点火プラグで火種を飛ばさなくても単なる圧縮熱だけで自然発火してしまうのです。
これはエンジンの設計した点火タイミングではないので異常燃焼。
圧縮している途中で勝手に着火して膨張開始してしまうのでエンジンの円滑な回転を妨げてしまい、大幅にパワーダウンします。
そこまで行かなくてもカリカリカリカリ!といった音と共にガクガクと振動が発生して不快な事このうえ無し。
異常燃焼しているので最悪の場合はエンジンブローもあり得ます。
これらの異常燃焼とそれに伴う音や振動を総称して『ノッキング』と言います。
ガソリンエンジンの特性(その2)
異常燃焼が混合気の圧縮で発生するなら、圧縮をしなければ良い事になりますよね?
これはその通りで、圧縮さえしなければ混合気は発火点にならないので自然着火しません。
ところが、残念な事にエンジンというのは混合気を圧縮すればするほどパワーが出るのです。
何も圧縮していない混合気に点火してもポワっと火がついて燃えるだけですが、混合気を圧縮してから点火するとドカーン!と爆発的に燃焼するようになります。
圧縮すればするほどこの「ドカーン!」が大きくなります。
もともとエンジンというのは爆発的な燃焼で発生したガスでピストンを下げてパワーを出すものです。
ですので、大きな「ドカーン!」があればあるほど良い事になります。
これはつまり『混合気は圧縮すればするほど良い』という事を意味しています。
そうなると大きな矛盾が発生する事になりました。
強く圧縮すると自然着火してしまう、かといって圧縮比を下げるとパワーが出せない。
パワーが欲しい → 圧縮比を上げたい → 自然着火してしまう → うーん困った!
そんな困ったをお助け!
この「困った」を助けるのが「燃えにい = 着火しにくい」ハイオクガソリンです。
「燃えにくい = 自然着火しにくい = ノッキングしにくい = オクタン価が高い」
ニワトリが先かタマゴが先か?みたいな話ですが、パワーアップするには大きなドカーンが必要、大きなドカーンの為には高い圧縮が必要、でも高い圧縮だと自然着火(異常燃焼)してしまう、自然着火しないためには燃えにくい(自然着火しにくい)ガソリンが必要。
自然着火しにくいガソリン = ノッキングしにくいガソリン = 高オクタン価なガソリン = ハイオクガソリン。
こういう流れです。
※燃えにくいとは言うものの、それは高圧縮でも着火しにくいというだけで、ガソリンが非常に燃えやすい(引火しやすい)のは変わりません。
ハイオクだからといって火気取扱い時の注意が減るとか、そういった事はありませんのでご注意ください。
高性能エンジンがハイオク指定な理由
もうお解りですね?
もう一度復習すると、
■高出力の為には大きなドカーン(爆発力)が必要。
■大きなドカーンを得るには高い圧縮が必要不可欠。
■でも高圧縮にすると自然着火(異常燃焼)しやすく、ノッキングを起こしてしまう。
■それを防止するにはノッキングしにくいハイオク燃料が必要。
こういう理由なので、ハイオク指定のエンジンは高性能な証でもあります。
高い燃料代は高性能の代償です。
ハイオク指定車にレギュラーを入れるとどうなる?
最新の4輪車は入っている燃料の品質をセンサーで読み取っており、もし誤ってレギュラーを給油してしまっても壊れないように制御しています。
もしレギュラーを給油してしまっても点火時期を大幅に変更する事でエンジンブローを防止します。
ただ、レギュラーガソリンのオクタン価のまま高圧縮しているのは事実なので、ノッキングのしやすさはどうしても発生してしまいます。
また、点火時期が本来のベストなタイミングから外れるので、その分だけパワーダウンします。
間違えて給油してしまっても一応大丈夫ですが、燃料代を節約するために(壊れないのを良いことに)常時レギュラーガソリンを入れるのはどうかと思います。
エンジンにとっては確実に良くないので。
ではバイクの場合はどうでしょう?
バイクの場合はセンサーでガソリン種別までは読み取っていないようです。
ですので、レギュラーを入れると壊れる可能性が結構あります。
特に高回転まで回すと大ピンチで、異常燃焼によるエンジンブローの可能性はぐんぐん高まります。
もし誤ってレギュラーを入れたとしてもエンジン始動と同時に直ちに壊れるような事はありませんが、そのまま全開走行を続けたりするとアウト。
タンクが空になるまではそっと走りましょう。
(※抜き取ってしまうのが最良です)
激しいチューンドエンジンは更にピンチで、特に圧縮比を高めている場合は何が起こっても不思議ではありません。
メーカー純正とは違うので、それこそいきなりブチ壊れてしまう可能性もあります。
レギュラー指定車にハイオクを入れるとどうなる?
もともとノッキングを起こしにくいエンジン、つまり限界ギリギリまでパワーを追求していないエンジンなので、そこに耐ノッキング性能の高いハイオクを入れても燃料の性能が過剰なだけで悪影響はありません。
厳密に言えばレギュラーには入っていない添加剤の分だけ出力が落ちる事になりますが、体感なんか絶対に出来ないので気にしないでOK。
また、ハイオクに含まれる添加剤は、耐ノッキング性能を向上させる物以外にエンジン内部を綺麗に保つ洗浄剤が入っている事が多いので、エンジン内部洗浄目的でたまに入れてみるのも良いかもしれません。
裏技ですが、真夏の空冷エンジンは熱的に厳しいので、そんな時にハイオクを入れるとノッキングしにくくなります。
極端に熱くなったエンジンでも異常燃焼しなくなるからですね。
また、長年乗り続けていると燃焼室内に燃え残りのカス(カーボン)が堆積している場合があります。
そうなると堆積したカーボンの体積分だけ燃焼室容量が減り、意図せず高圧縮化されている場合があります。
こんな時にハイオクを入れると高圧縮で異常燃焼しにくくなって調子が良くなる事があります。
価格差分の効果はある?
ハイオクを入れる費用対効果の話、良く聞く話ですよね。
ハイオクはレギュラーよりも1リットルあたり10円程度高いので、安く抑えたい気持ちはわかります。
でもでも、ここまでの説明で解ったと思いますが、そもそも「効果がある/ない」という話ではありません。
エンジン設計時に高いオクタン価を持つ燃料を使う事を前提に設計しているので、そもそも指定されたオクタン価の燃料でなければダメなのです。
レギュラー指定にしろ、ハイオク指定にしろ、その燃料を使った時に正しく燃焼して正しくパワーが出るように設計されています。
ハイオク指定ならイヤでもハイオクを入れてください。
でもでも(2回目)、ハイオク使用を前提にしたエンジンが高圧縮で高出力を生んでいたとして、それがレギュラー使用前提の低圧縮エンジンと比較して燃料価格差を埋めるほど高性能かどうかが気になりますよね?
これは「わからない」としか言いようがありません。
そもそもこの話は『同じエンジンのまま、レギュラーガソリン仕様のエンジンがあったらどうなる?』というのが前提ですが、エンジンというのはレギュラーのオクタン価に合わせて圧縮比を下げればレギュラー仕様エンジンが完成するほど単純ではありません。
下がった圧縮比に合わせてエンジン強度まで含めて全面的に見直す事になるので、『同じエンジンのまま』という最初の前提が実現不可能なのです。
一つ言えるとしたら、僅かな価格差を気にするよりも大好きな愛車で存分に楽しんだ方が人生がお得、という事です。
バイクってそういう乗り物です。
ハイオクガソリン混合問題
話は変わりますが、2020年の6月末に毎日新聞のスクープによってガソリンスタンド各社のハイオクガソリンが実は何の違いも無い(各社のハイオクが同一タンク内にあって混ざっている)事が判明しました。
もともと独自の製油所を持っていないキグナスは各社のハイオクを混合したものだと認識されていましたが、まさかキグナス以外も独自のハイオクではなかったとは……!!
ウソだろ?!と思ったのですが、出光昭和シェルだけ「他社製品との混合はしていない」との回答し、それ以外の各社は混合している事を認めたので事実のようです。
各社の回答によって出光昭和シェルのハイオク以外はどのブランドでも中身は同じという衝撃の内容が確定し、ガッカリされた方も多いのではないでしょうか。
「混合してたとしてもハイオクの基準は満たしている」、「各社のハイオクに大きな差は無い」というのが各社の回答のようですが、私個人としては全く納得できません。
そりゃあ確かに各社の性能の違いなんか体感できませんけど、各社は独自の添加剤で高性能を競っていると思っていただけにガッカリ感満載。
なお、レギュラーガソリンはもともと各社共通なのでブランドによる差はありません。
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今どきのバイクエンジンには
ノッキングセンサーがついているのになぁー。