原付クラスの4スト単気筒エンジンには、タペット調整用の点検キャップが組み込まれているモデルが多い。長年走らせてきたエンジンでタペットキャップを取り外すと、Oリングが完全に平らになって貼り付いていることもある。この部品のOリングは新品部品に交換すること間違い無くオイル漏れや滲みが無くなる。理想的には、新品Oリングへ交換するのがベストだろう。しかし、どうしても手元に部品が無い場合もあるので、そんな際にも、高性能なシリコン系液体ガスケットを併用することで難を逃れることもできる。


分解した部品に組み込まれていたガスケットやOリング類は、原則、新品部品に交換しなくてはいけない。しかし、どうにもならない現実が、そこにあったりするもの……。そんな際の対処法として、ガスケットやOリングを切らないように取り外し、液体ガスケットを両面に塗ってから生乾きになるまで待つ(S字管や針金に通して乾燥待ちする)。それによりガスケットが密着しやすく、オイル漏れや滲みを最小限おさえることもできる。


バイク部品や用品や各種ケミカルの販売で知られるデイトナでは、使い切りサイズの各種液体ガスケットをラインナップしている。この商品は、ユーザーニーズに応じたグレー/ブラウン/白色の3種類で、いずれも「厚付け」に適したシリコン系液体ガスケットだ。液体ガスケットを併用しているのに、どうしてもオイル滲みが発生するような箇所では、この「厚付け」タイプを試してみよう。

POINT
  • ポイント1・液体ガスケットには様々な種類があるので、その都度、適材適所で選ぼう。
  • ポイント2・同じシリコンガスケットでも薄付け対応品と厚付け対応品があるので、状況によって使い分けよう。
  • ポイント3・エンジン部品関連では、通常利用するガスケットやOリングと併用することで、密閉性効果を高めることができる。
  • ポイント4・ガスケットのセット時には、仮固定用接着剤としても利用することができる。

80年代以前の液体ガスケットと言えば、現代のようなシリコン系や溶剤系ではなく、アルミ粉などを混ぜた接着剤が主流だった。その後、化学薬品メーカーの努力で様々な液体ガスケットが登場した。80年代初頭、バイクメーカーのエンジン組み立て現場では、ペイント用の刷毛ローラーに液体ガスケットを染み込ませ、ネットの上でしごいた後に、クランクケースの合わせ目にローラーをゴロゴロ……。そのような方法でクランクケースの密閉に液体ガスケットが使われていた。

60年代以前と言えば、日本の各種工芸品などにも使われていた「膠(にかわ)」を原材料にした液体ガスケットも販売されていた。部品の機械加工精度が良くなかった時代は、オイル漏れやオイル滲みが発生しやすかった。そこで、このような膠が利用されたのだ。部位によっては、敢えて厚いガスケットを挟んで締め付ける組み立て方法もあり、ボルトが緩まないように、ボルトの頭にワイヤーリング固定を併用する例もあった。エンジンの高性能化と液体ガスケットのあいだには、切り離せない関係もあるのだ。

シリコン系液体ガスケットが一般普及したのは、80年代中頃だった。高性能な液体ガスケットが登場したことで、それまでとはメンテナンス環境やメンテナンスの完成度にも大きな変化が現れた。バイクのエンジン以上に水冷方式を数多く採用していた自動車エンジンの冷却系では、特に、シリコン系液体ガスケットが大活躍。水漏れトラブルが多かったラジエターホースや冷却水パイプの結合部分に液体ガスケットを併用することで、僅かな水漏れもシャットアウトできたのだ。ガスケット代わりにヤシの実の繊維を巻いていた時代を知るメカニックにとっては、相当な衝撃だったそうだ。

同じシリコン系の液体ガスケットでも、高温下に於けるシール性能が特に良い商品、部品精度が悪くシール座面が歪んでいるようなときにも、高い充填性で密閉性を保てる商品などがある。最近では、クランクケースのエンジンカバーに紙や金属ガスケットを使用せず「液体ガスケットだけで密閉性を保持する」エンジンもある。そのようなガスケットレスの箇所には、薄付けタイプのシリコンガスケットを利用するのが良いだろう。
現在は「シリコン系」と「溶剤系」で分類されることが多いが、おもに溶剤系は「ガソリン」が関連する場所に威力を発揮する。例えば、2ストロークエンジンの一次圧縮室は、クランク室そのものである。キャブから吸い込んだ混合気を一次圧縮するクランク室は、気密が保たれないと圧縮低下を招いてしまい(クランクケースの合わせ目から圧抜けしてしまう)、パワーダウンの大きな原因になる。そのような箇所へは、ガソリン=混合気に耐性がある「耐ガソリン性液体ガスケット」を利用するのが正しいチョイスだ。
今では様々な商品がある液体ガスケットだが、使い方を間違えると残念な結果になることもあるので、要所要所で、使い分けるように心掛けよう。

2ストロークエンジンの排気ガスと言えば、白煙モクモクでも知られているが、エキパイの取り付けフランジや接続部分の気密性、密閉性が低下すると、重ね合わせの隙間から燃え切らなかった黒いエンジンオイルがしたたり流れ落ちることで知られている。そんな高温状態の「汁漏れ」(通称名)対策で、威力を発揮するのが高耐熱性液体ガスケットの存在である。

「エキパイフランジ用ガスケットを新品部品に交換……」したにもかかわらず、どうしても排気漏れが起こってしまう、といった現象、ありますよね?それが2ストロークエンジンの特徴でもある。そんな問題には様々な要素が考えられる。排気漏れや汁漏れが発生するということは、部品の組み合わせ箇所や締め付け部分に何らかの「隙間」が生じているのは間違えのない事実だろう。そんな僅かな隙間を密閉するときに大変便利なのが「高耐熱性液体ガスケット」の利用である。

例えば、エキゾーストガスケット表面に塗布して(液体ガスケットを併用して)組み込むことで、ガスケット能力は一段高いものになる。また、新品ガスケットが手元に無く、中古ガスケットを再利用しなくてはいけない際にも、液体ガスケットの併用は、間違い無く効果を得られるはずだ。いざといった時に、適材適所で液体ガスケットを使い分けることができれば、その効果を間違い無く体感することができる。

エキパイやマフラー周辺の排気漏れにはこれ!!


高耐熱性で知られるパーマテックスブランドの商品。その名はウルトラカッパー(R)ガスケットメーカー。耐熱シリコンの液体ガスケットに銅の粉末を混ぜることで、高温下での密閉性の保持を高いレベルで実現してくれる。マフラーやエキパイ関連の排気漏れやシリンダーヘッド周辺に使われているガスケットの密着性向上には最適の商品だ。


高耐熱性液体ガスケットでも、一般的なシリコンガスケットでも、塗布する際には患部を必ず脱脂洗浄しよう。過去に液体ガスケットを利用していた場所への再利用では、古いガスケットがこびり付いていることが多々あるので、そんなこびりつき汚れはしっかり除去してから新しい液体ガスケットを塗布しよう。

接着剤のような使用方法で作業性が向上する


エキパイフランジの締め付けには、銅パイプのリング状商品や耐熱布とアルミ薄板を組み合わせた商品があるが、エキパイを組み付けセットする際に、ガスケットがポロッと落ちてしまいやすい。そんな状況下で締め付けたことで、ガスケットが座面からずれてしまいエキパイに噛み込み、その隙間から「排気ガスが大量に漏れて……」といった経験のあるサンメカも数多いはずだ。高耐熱性液体ガスケットの粘着力を利用して、ガスケットを排気口に仮接着しながら組み込むのも、作業性向上のテクニックである。


筒状のパイプを重ね合わせる接続部分は、排気漏れしやすい箇所として知られている。このような場所へは筒状ゴム製ガスケットを組み込むことが多いが、何度も再利用していると、どうしても排気漏れが目立ってしまう。かといって、毎回新品ガスケットに交換する気分にはなれないもの。コンディションによっては新品ガスケットに交換したところで、排気漏れが止まらないことだってある。そんなときにも高耐熱液体ガスケットの併用が効果的と言えるだろう。

新品Oリングに交換したいのが現実だが……


こんなケースに遭遇したことがあるサンメカ諸君は数多いはず。問答無用で新品Oリングに交換するのがベストである。新品Oリングに交換すれば、オイル漏れや滲みの心配も皆無になる。しかし、時と場合によっては、中古品の再利用=現状最善を尽くさなくてはいけないケースも……。そんなときにも高性能な液体ガスケットが頼りになる。

原付クラスの4スト単気筒エンジンには、タペット調整用の点検キャップが組み込まれているモデルが多い。長年走らせてきたエンジンでタペットキャップを取り外すと、Oリングが完全に平らになって貼り付いていることもある。この部品のOリングは新品部品に交換すること間違い無くオイル漏れや滲みが無くなる。理想的には、新品Oリングへ交換するのがベストだろう。しかし、どうしても手元に部品が無い場合もあるので、そんな際にも、高性能なシリコン系液体ガスケットを併用することで難を逃れることもできる。


分解した部品に組み込まれていたガスケットやOリング類は、原則、新品部品に交換しなくてはいけない。しかし、どうにもならない現実が、そこにあったりするもの……。そんな際の対処法として、ガスケットやOリングを切らないように取り外し、液体ガスケットを両面に塗ってから生乾きになるまで待つ(S字管や針金に通して乾燥待ちする)。それによりガスケットが密着しやすく、オイル漏れや滲みを最小限おさえることもできる。


バイク部品や用品や各種ケミカルの販売で知られるデイトナでは、使い切りサイズの各種液体ガスケットをラインナップしている。この商品は、ユーザーニーズに応じたグレー/ブラウン/白色の3種類で、いずれも「厚付け」に適したシリコン系液体ガスケットだ。液体ガスケットを併用しているのに、どうしてもオイル滲みが発生するような箇所では、この「厚付け」タイプを試してみよう。

POINT
  • ポイント1・液体ガスケットには様々な種類があるので、その都度、適材適所で選ぼう。
  • ポイント2・同じシリコンガスケットでも薄付け対応品と厚付け対応品があるので、状況によって使い分けよう。
  • ポイント3・エンジン部品関連では、通常利用するガスケットやOリングと併用することで、密閉性効果を高めることができる。
  • ポイント4・ガスケットのセット時には、仮固定用接着剤としても利用することができる。

80年代以前の液体ガスケットと言えば、現代のようなシリコン系や溶剤系ではなく、アルミ粉などを混ぜた接着剤が主流だった。その後、化学薬品メーカーの努力で様々な液体ガスケットが登場した。80年代初頭、バイクメーカーのエンジン組み立て現場では、ペイント用の刷毛ローラーに液体ガスケットを染み込ませ、ネットの上でしごいた後に、クランクケースの合わせ目にローラーをゴロゴロ……。そのような方法でクランクケースの密閉に液体ガスケットが使われていた。

60年代以前と言えば、日本の各種工芸品などにも使われていた「膠(にかわ)」を原材料にした液体ガスケットも販売されていた。部品の機械加工精度が良くなかった時代は、オイル漏れやオイル滲みが発生しやすかった。そこで、このような膠が利用されたのだ。部位によっては、敢えて厚いガスケットを挟んで締め付ける組み立て方法もあり、ボルトが緩まないように、ボルトの頭にワイヤーリング固定を併用する例もあった。エンジンの高性能化と液体ガスケットのあいだには、切り離せない関係もあるのだ。

シリコン系液体ガスケットが一般普及したのは、80年代中頃だった。高性能な液体ガスケットが登場したことで、それまでとはメンテナンス環境やメンテナンスの完成度にも大きな変化が現れた。バイクのエンジン以上に水冷方式を数多く採用していた自動車エンジンの冷却系では、特に、シリコン系液体ガスケットが大活躍。水漏れトラブルが多かったラジエターホースや冷却水パイプの結合部分に液体ガスケットを併用することで、僅かな水漏れもシャットアウトできたのだ。ガスケット代わりにヤシの実の繊維を巻いていた時代を知るメカニックにとっては、相当な衝撃だったそうだ。

同じシリコン系の液体ガスケットでも、高温下に於けるシール性能が特に良い商品、部品精度が悪くシール座面が歪んでいるようなときにも、高い充填性で密閉性を保てる商品などがある。最近では、クランクケースのエンジンカバーに紙や金属ガスケットを使用せず「液体ガスケットだけで密閉性を保持する」エンジンもある。そのようなガスケットレスの箇所には、薄付けタイプのシリコンガスケットを利用するのが良いだろう。
現在は「シリコン系」と「溶剤系」で分類されることが多いが、おもに溶剤系は「ガソリン」が関連する場所に威力を発揮する。例えば、2ストロークエンジンの一次圧縮室は、クランク室そのものである。キャブから吸い込んだ混合気を一次圧縮するクランク室は、気密が保たれないと圧縮低下を招いてしまい(クランクケースの合わせ目から圧抜けしてしまう)、パワーダウンの大きな原因になる。そのような箇所へは、ガソリン=混合気に耐性がある「耐ガソリン性液体ガスケット」を利用するのが正しいチョイスだ。
今では様々な商品がある液体ガスケットだが、使い方を間違えると残念な結果になることもあるので、要所要所で、使い分けるように心掛けよう。

この記事にいいねする

今回紹介した製品はこちら

コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら