破れたシートの張り替えと言えばプロショップへ依頼するのが常道だが、自分自身の手で作業してみたい「DIY作業を楽しみたい」と考えるサンデーメカニックも実は数多い。ここでは、カワサキ空冷Zのシート張り替え実践、その後編をリポートしよう。作業環境が暖かい「夏場」の方が、作業性が良いのは間違いの無い事実である。つまり冬場の作業は大変でもある。さぁ、チャレンジしてみよう。
両面に塗布して表面乾燥後に接着するのがボンドG17
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鉄板ボトムのスポンジ接着部分にボンドG17を塗布して伸ばす。このボンドは接着両面に薄く塗布して、表面が乾いた後に突き合わせることで接着強度が増す接着剤だ。
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純正スポンジの接着箇所を見ると、前後それぞれの一部のみにしか接着痕が無かった。今回は、接着面積を広げてスポンジのマウント強度をより高めることにした。
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湿気を吸い込んでいたシートスポンジは、晴れた日に日陰で3時間ほど乾燥させた。直射日光で乾燥させるとスポンジが傷むので良くない。スポンジ面にもG17を薄く伸ばした。
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工業用ヒーターで乾燥させたが、一気に温めてしまうと接着剤から泡を吹き、接着能力が低くなってしまう。利用時には要注意である。ヘアードライヤーの利用がベストだ。
スポンジアンコを下に、上からボトム鉄板を載せて接着しよう
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スポンジシートを裏返しにして縦に置き、シートボトムのセンターを保持しながら逆さまのボトムを載せてスポンジとボトムを接着合体させる。双方中央にケガキ線を入れよう。
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スポンジをセットしたらズレが無いか確認しよう。スポンジの中央部分から外側へ向けて前後方向、横方向ともにスポンジを押し込み、鉄板ボトムとスポンジの接着促進を行なう。
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走行中のライダーの内股で押し付けられていたサイド部分はスポンジが崩れて鉄板エッジに被さっていなかった。鉄板露出部分を隠すように段差補修を薄いスポンジで行なった。
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スポンジ最前部の内側には空洞部分があり、この部分が潰れてスポンジが型崩れしそうな感じだった。そこで空洞部分の寸法に合わせたスポンジを切り、空洞を埋めることにした。
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カットしたスポンジは大手ホームセンターで販売されていたスポンジ板(厚さ20mm)から切り出したものだ。密度が濃く弾力性があるスポンジ板はシート補修時に使いやすい。
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スポンジが完全に崩れているときには、敢えて凸凹部分をハサミで切り取り新しいスポンジで形状を作り直した方が手っ取り早い。今回は崩れていなかったので薄スポンジで補修。
ホームセンターで購入できる接着剤とスポンジ
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ボンドG17は一番小さなチューブを購入し、都度「使い切る」のがサンメカにとってベストなのかも。割安な大チューブが欲しくなるが、使い切れずに劣化させることも多い。
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いきなり張り込んでフックで固定するのではなく、まずは前後になる部分を引っ掛けてシート本体と表皮をセンターリングする。同時に、表皮の長さ寸法も確認しよう。
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前方の仮固定を終えたら後方センター部を仮固定し、左右のR部分へ仮固定を進めていく。シートの左右、前後方向のフックは寸法確認を終える最後の最後まで固定しない方が良い。
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シート前方から後方に向けてセンターを確認する。この段階でセンターのズレに気が付いたらセンターリングし直すことをお勧めしよう。センター決定まではすべて仮固定だ。
張り込み位置が決定するまでサメの歯固定は仮固定
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シート前後の位置が決まったら、側面表皮を引っ張り込んで2重になったエッジ部のマチにフックを引っ掛ける。フック固定が決まったら、工具などでグイッと押し込む。
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シート前方のタンクに乗り上げる部分がスカスカだったので、シート表皮を引っ張り込んだ。しかし、折り返し縫製部にフックがこないので、薄くカットしたスポンジを詰めて調整してみた。
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シート表皮の寸法精度が良かったので、比較的スムーズに張り込むことができた。別売りのシートベルトを取り付けてZ2仕様にした。これでしばらく乗れば、スポンジと表皮の合いがより自然になると思う。作業が面倒かつ難しいと感じる際には迷わずプロショップへ依頼するのが良い。
POINT
- ポイント1・鉄板のシートボトムとスポンジアンコが擦れることでスポンジ形状が崩れてしまう。接着剤を利用してしっかり固定しよう
- ポイント2・シート表皮のセンターと鉄板ボトムのセンターにケガキ線をマーキングして、表皮がズレないように張り込もう。最初のセンターリングが肝心だ
- ポイント3・張り込み時の表皮に、隙間や段差ができてしまう時には、薄いスポンジを接着して段差をスムージングしよう
生産出荷台数が多いスーパーカブのような実用車や、カワサキ500SSやZ1/Z2のようにマニアックな人気旧車には、破れたシート表皮を補修するための「複製シート表皮」が販売されている実例が多い。ノーマル仕上げなら、これら複製表皮を使ってノーマルデザインに仕上げたいものだ。張り込み作業時に、表皮を引っ張り切れないときには、ヘアドライヤーで全体的に温めることで、合成皮革の表皮が想像以上に伸びて、スムーズに張り込むことができるようになる。
工業用のヒートガンは、熱くなり過ぎる傾向なので、逆に、シート表皮の張り込み作業では使いにくい側面を持つ。夏場であれば、張り込み作業の直前まで、シート表皮を自動車の中に入れ、十分に温めることで柔軟性が増し、作業性が圧倒的に向上する。また、最終仕上げの際に(左右の形状を合わせるための引き込み調整時)、表皮の伸びが良くないと感じたら、慌てて作業せずに再度ドライヤーで表皮を十二分に温めることで、良い仕上がりを得られることも覚えておこう。
以前、プロショップ取材へ出向いた際には、張り込み直前にシート表皮を自動車鈑金工場で利用している赤外線ヒーターで温めていた光景を見たこともあった。バイク用シート表皮は、一般的に合成皮革製品なので、ほど良く温めることで、想像以上に伸びることを忘れずにいよう。
張り込みの際には、通称「サメ歯」に表皮のマチ部分を引っ掛けるが、サビによってサメ歯が欠損していることもある。そんな際には、サメ歯形状にカットしたプレートを鉄板ボトムの要所へハンダ付けし、サメ歯を回復させるのも良い方法だ。欠落してしまった部分周辺をワイヤーバフで磨き、鉄板地肌をむき出しにすることで、切り出したプレートを「板金ハンダ」で固定しやすくなる。
また、鉄板が腐ってしまい、サメ歯周辺が完全に欠落しているシートボトムの場合は、FRP補修で鉄板と樹脂の「ハイブリッド型シートボトム」に改造することもできる。そんな際には、サメ歯の代用で、ブラインドリベッターの芯棒を利用すれば良いだろう。どうしてもシートボトムを生かしたい際には、そのような方法があることも知っておこう。
激しい腐食のボトム再生時には鉄+FRPのハイブリッド式
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入手困難な原付モデル用シートボトム。スポンジアンコを取り外し鉄板シートボトム単体にしたら、ボトムの外周フランジ部にあるはずの「サメ歯」は腐食で皆無になっていた。
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ボトム鉄板のスポンジ側を防錆処理(黒サビ転換材を利用)してから、アルミテープでマスキングを施しながら、FRP樹脂とガラス繊維を張り込んだ。ハイブリッドボトムである。
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張り込んだFRPが完全乾燥したら、フランジ部分をエアーソーでカットして、本来のシートボトム形状をイメージしてみよう。このままでは外周フランジに肝心のサメ歯が無い。
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ブラインドリベッターをシート底面側から打ち込む。リベットの芯棒部分をサメ歯代りの固定フックとして利用するのだ。外側のカシメ部分の出っ張りはスポンジで保護しよう。
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リベッターの芯棒を15~20mm程度残してカットすることで、サメ歯に代わるシート表皮のフックが完成する。ニッパで芯棒をカットする際には斜めに切って先端を尖らせよう。
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