FRP工作入門的なテクニックを、モデルクリエイトマキシの板橋さんにわかりやすく解説していただいた。アルミ製のアングル素材を「型」として利用し、アングル形状のFRP製ブラケットをここでは自作してみよう。アングル型なので型への加工も容易。したがってアイディア次第で、様々な用途に対応できるブラケット作りが可能になる!!

⚫︎取材協力:モデルクリエイトマキシ

張り込みに使う「ガラス繊維の切り出し」を先行しよう

型となったアングル材は、ホームセンターなどで販売されている幅25mmの商品。表面がツルッとしていて脱型が楽なような印象だが、離型ワックス処理をしっかり施すのが基本中の基本。

ポリエステル樹脂と硬化剤を計量混合する「前」に、必ず行うべき段取りが、張り込むガラス繊維のカッティングだ。樹脂を混合してからだと時間的に余裕が無くなってしまう。

混合後の樹脂を「接着剤代わり」に利用しよう

ガラス繊維のカッティングが済んだら、この段階でポリエステル樹脂を計量混合しよう。パラフィンを含有しない「ノンパラ樹脂」を利用した。混合比は樹脂100対硬化剤1だ。

離型ワックスを施したアングル材の内側(ここではメス型)に硬化剤を混ぜたポリ樹脂を塗る。この塗りつけた樹脂が接着剤代わりになり、ガラス繊維の追従性が良くなる。

メス型のアングル材に1プライ(1重ね目)のガラス繊維を載せ、ハケで押し付けながらガラス繊維にポリ樹脂を染み込ませていく。90度の急角度でも張り込みは容易に行えた。

2プライ、3プライとガラス繊維を張り込んでいく。今回は3プライで仕上げたが、より強度を求め、厚めの仕上がりを求めるのなら、プライ数を増せば良いだろう。

「小型シャコ万」で締め付けて不要な樹脂を絞り出そう

張り込んだアングル材にオス型を押し付け、小型のシャコ万を利用して、ギュッと絞り込むように締め付ける。オス型表面も脱型目的の離型ワックス処理をしておこう。

2個の小型シャコ万で型をしっかり固定した。これによって必要以上に染み込んだポリ樹脂を絞り出し、軽量化と同時に高密度な製品作りが可能になる。無駄な樹脂は除去しよう。

例えばオス型の外角(直角頂点)部分にR加工を施してみよう。製品の内側が直角からR形状になることで、高強度な作りになる。小細工とアイディアでFRP部品は進化する。

1時間程度の仮硬化で脱型可能になる。しかし、より安定した強度を確保するためには、最低でも半日から一晩は型押しした状態のままで、乾燥させた方が良いそうだ。

L形アングル形状の自作FRPブラケットが完成

シャコ万力を取り外したら、マイナスドライバーをオスメス型の隙間に差し込み、クイッとひねって押し付けていた型から製品を脱型する。完全乾燥後ならパチッと外れる。

メス型の上に残っているのが張り込み製作したFRP部品だ。この段階ではトリミングしていないので形状は雑だが、不要部分のカットによって思い通りのカタチに仕上がる。

外周をトリミングすることで、L型90度のアングルブラケット素材が完成する。乾燥状態が悪いと弾力性が生まれ、ねじると樹脂が破壊し白くなってしまう。完全乾燥が大切だ。

POINT
  • ポイント1・FRP専用ワックスではなく自動車ボディ用ワックスでも離型剤として利用できる
  • ポイント2・樹脂と硬化剤の比率を間違えると硬化不良を起こして固まらなくなるので注意しよう
  • ポイント3・今回は短時間硬化にしたが、完全硬化後なら脱型も容易に行え、パキッと型から外れる
  • ポイント4・FRPガラス繊維はチクチクするので、慣れない者は薄ゴムやビニール製の手袋をはめて作業進行しよう

ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜてペタペタやることで、簡単に楽しむことができるのがFRP作業である。簡単かつ楽しめる印象だからこそ、間違った作業手順で進められている例が実は多い。基本に則って忠実な作業進行をすれば「もっと良い製品を作れていたのでは!?」と思えるケースを、過去に何度も見てきたとはモデルクリエイトマキシの板橋さん。

今回、FRP工作をレクチャーして頂いた板橋さんは、ミニバイク耐久レースやサンデーレースへの参戦経験も豊富。サーキットでは、自作FRPパーツを装着したオリジナルマシンのディテールを見ることもあるが「作業を急いだり、慌てた様子が見られますよね……」との印象を持つことがあるそうだ。

何より重要なのが、ポリ樹脂のチョイスとポリ樹脂と硬化剤の混合比である。重ね張りに対して扱い易いのがパラフィンレスの通称「ノンパラ」樹脂である。ノンパラ樹脂を利用すると、後々の補修作業をスムーズに進めることができる特性もあるそうだ。硬化剤の混合比は「100対1」が基本で、寒い冬場や湿度の高い環境で作業する際には、混合比を微調整することもある。とは言っても、ほんの僅かな調整量に過ぎないそうだ。

また、必要以上にポリ樹脂を染み込ませてしまうと、パーツ強度が著しく低下し、仕上がりが重くなるため、厚さを稼ぎたい際には、ガラス繊維の重ね張りが基本だ。樹脂で厚さを確保しても、強度不足かつ重い部品に仕上がってしまうのが関の山だ。

ここではアルミ製アングル材を素材にした「オスメス型」を利用したが、張り込み後に型を締め付けることで(今回は小型シャコ万力を利用)、余分な樹脂が溢れ出て密度の濃いFRP製品を作ることができる。補足として、より強度を高めた部品を作りたいのなら、オス型90度の突起角に「R加工」を施すことで(やすりなどで削る)、90度アングル部分のみ厚さを増すこともできる。

製品断面が90度からR断面になるため、ガラス繊維をこの部分にだけ追加でき、容易に強度アップが可能になる。また、張り込み前の型に穴加工や切削加工を施すことで、その形状を製品に反映させることも可能だ。

また、今回と同じ作業手順でカーボン繊維を利用し、エポキシ系の耐熱樹脂で張り込みつつ「簡易オーブン」にて強制乾燥させることで、セミドライカーボン製のオリジナルパーツを自作できる。ちょっとしたアイディアの具現化によっても、想像以上に楽しめるのがFRP工作なので、より多くのサンデーメカニックに挑戦していただければと思う。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    FRP触る時は手袋した方がいいと思うけどね。

    手袋してないということは、おそらくマスクもしてないんでしょうけど、ガラス繊維が肺に刺さるぞ。

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