人気の高い原付二種モデルであるグロムに、キタコ製「145cc LIGHTボアアップKIT」を組み込む工程を紹介していく。第3回目となる今回は、ピストン、シリンダー、シリンダーヘッドというキットのメインパーツを組み込んでいく。

現行の『JC92型ホンダ・グロム(FNO,JC92-1000001~1099999)』に、キタコ製の「145cc LIGHTボアアップKIT」を組み込む手順を解説していく。前回までで分解工程が終了しているので、連載の第3回目となる今回はいよいよパーツを組み込んでいく。このキットはノーマルパーツを一部流用して組み込んでいくため、流用するパーツはしっかりと洗浄して使用に問題が無いことを確認しておきたい。また、シーリングワッシャーなどは新品を用意する必要がある。

組み込んでいくのは、ノーマルのシリンダーヘッドがそのまま使用できるキタコ製「145cc LIGHTボアアップKIT」。ø54mmグラビティ鋳造ピストンとシリンダーを基本とし、ハイカムシャフト付きのセットも用意されている。価格はハイカムシャフト無しが2万8600円、ハイカムシャフト付きが3万8500円となっている

ピストンリングの組み込み

まず、ピストンのピストンリングを組み込んでいく。ピストンには3本の溝が切られており、1番上にはトップリング、2番目にはセカンドリング、3番目には2本のサイドレールとスペーサが入る。ピストンリングを組み込む際はしっかりとエンジンオイルを塗布し、入れる場所や向きを間違えないように注意する必要がある。

(1)145ccライトボアアップキット用のピストンを用意する。ピストンリングを組み込む前にクリーニングし、ピストンに傷などが無いかをチェックしておく。

(2)3段目からリングを組み込んでいくので、3段目の溝にエンジンオイルを塗布する。ピストンを回しながらオイルを溝全周に塗布する。

(3)3段目の溝には2本のサイドレールとスペーサが入る。まずスペーサーから組み込んでいく。

(4)スペーサを組み込む際は、スペーサの合口が開いている方が上になるように組み込む。

(5)スペーサの合口部分を広げて、3段目の溝にセットする。スペーサーは柔らかいのでセットしやすいが、変形させないように注意する。

(6)次にサイドレールを組み込んでいく。サイドレールはスペーサを挟む形で、上下にセットすることになる。

(7)サイドレールにオイルを塗布する。オイルはサイドレールの表裏両面にしっかりと塗り広げる。

(8)サイドレールをピストンにセットしていく。ピストンの上側からセットしていくので、1段目と2段目の溝に一旦入れつつ、ずらすようにして3段目にセットする。

(9)サイドレールはまずスペーサの下側にセットする。下側にサイドレールをセットしたら、同様に上側にもセットする。

(10)3段目の溝に、2本のサイドレールとスペーサがセットされた状態。スペーサが2本のサイドレールの間にはさまれた状態になっていることを確認する。

(11)続いてセカンドリングを組み込んでいく。セカンドリングは片面に刻印があり、その刻印が上側になるように組み込む。

(12)ピストンの2段目の溝にエンジンオイルを塗布する。3段目と同様に、ピストンを回しながらオイルを溝全周に塗布する

(13)セカンドリングの表面にもオイルを塗布しピストンにセットする。厚みがあるためサイドレールやスペーサーよりも硬いが、入れ方は基本的に同様だ。

(14)まず1段目の溝にセットし、そこから再度合口を開いて、2段目の溝にセットする。力を入れすぎて、リングを変形させないように注意する。

(15)最後にトップリングを組み込んでいく。トップリングも片面に刻印があるので、そちら側が上になるように組み込んでいく。

(16)1段目の溝とトップリングの表面にオイルを塗布し、ピストンにトップリングを組み込む。

(17)3つの溝に合計5本のリングを組み込んだ状態。それぞれのピストンリングの合口の位置が重ならないように、リングを回して合口の位置をずらしておく。

(18)トップリング、セカンドリング、スペーサの合口を120度ずつずらし、スペーサとサイドレールの合口は20°程度左右にずらしておく。

ピストンの組み込み

ピストンピンクリップを片側だけ最初に取り付けてから、コンロッドに組み付ける。ピストンクリップはかなりテンションをかけなければセットすることができないので、取り付ける際に飛ばさないように注意が必要だ。また、ピストンとコンロッドをつなぐピストンピンの表面と、ピストンのアタリ面にしっかりオイルを塗布しておくようにする。

(1)キットにはM7のナットが2個セットされている。これはシリンダースタッドボルトの増し締めに使用するためのものだ。

(2)純正をそのまま使用するシリンダースタッドボルトは、緩んでいることがある。そのため、腰上を組み込む前には増し締めを行なっておく必要がある。

(3)2個のナットをひとつずつシリンダースタッドボルトにねじ込んで、ダブルナット状態にする。

(4)12mmのスパナをそれぞれのナットにセットし、奥側を緩める方向、手前側を締める方向に回してシリンダースタッドボルトを締め込む。

(5)シリンダースタッドボルトの締め付けトルクは7.5N・mなので、最後はトルクレンチを使用してトルク管理する。

(6)規定トルクでシリンダースタッドボルトを締め込んだら、取り付けていたナットを取り外す。4本のシリンダースタッドボルト全てを同様に増し締めする。

(7)ピストンを取り付ける前に、ケースの合わせ目に残っている古い液状ガスケットをスクレーパーを使ってきれいに剥がす。

(8)剥がしたガスケットがクランクケース内に入らないように、しっかりウエスを詰めた状態でスクレーパーで古いガスケットを削り落とす。

(9)ピストンにピストンピンクリップをセットする。ピストンピンクリップは再使用せず、必ずキットに入っている新品を使うこと。

(10)ピストンピンクリップは片側だけに組み込んでおく。組み込む側のピストンピンクリップが入る溝に、オイルを塗布する。

(11)先端の細いラジオペンチなどでピストンピンクリップを掴み、ピストンピンクリップの合口とピストンの切り欠きの位置を合わせる。

(12)親指でピストンピンクリップを押しながら一部をピストンの溝にセットし、ピストンピンクリップを回すようにして全周を溝にセットする。

(13)ピストンピンクリップを溝にセットした状態。ピストンピンクリップはテンションがかかるので、飛ばしてしまわないように注意すること。

(14)ピストンの切り欠きとピストンピンクリップの合口の位置が合った状態になっているので、ピストンピンクリップを回してずらしておく。

(15)ピストンピンクリップをラジオペンチなどで掴んで、少しずつ回していく。ピストンに傷をつけないように、注意して作業すること。

(16)ピストンピンクリップの合口は、写真でラジオペンチの先端が指している位置あたりにずらしておく。

(17)ピストンの片側にピストンピンクリップを組み込んだら、コンロッドに組み付けていく。まず、コンロッドの小端部の内側にオイルを塗布する。

(18)ピストンの表面にある刻印を確認し、「EX(エキゾースト)」の刻印がある方が下に来るように組み込むこと。

(19)ピストンピン穴の内側にオイルを塗布する。左右の穴に、ピストンの外側と内側両側からしっかりとオイルを塗っておくこと。

(20)ピストンにある程度までピストンピンをセットしておくため、ピストンピンの表面にもしっかりオイルを塗布しておく。

(21)ピストンの向きを確認し、ピストンピンを内側の面の位置までセットする。ピンを入れすぎると小端部に当たるので注意すること。

(22)シリンダースタッドボルトの間からピストンを入れていき、小端部とピストンピンの位置を合わせる。

(23)小端部とピストンピンの位置が合ったら、ピストンピンを押し込んでいく。問題がなければ、指で押し込むことができる。

(24)ピストンピンをしっかりと奥まで押し込んだ状態。ピストンピンクリップを入れる溝が見えていることを確認する。

(25)反対側のピストンピンクリップをセットしていく。ピストンピンクリップを入れる溝にオイルを塗布しておく。

(26)ラジオペンチなどでピストンピンクリップを掴み、一部を溝にセットしたら回すようにして溝にセットする。

(27)ピストンピンクリップがセットできたら、反対側と同様にピストンの切り欠きとピストンピンクリップの合口の位置をずらしておく。

(28)ピストンの切り欠きとピストンピンクリップの合口の位置をずらしたら、ピストンの組み込みは終了。

シリンダーの組み込み

シリンダーベースガスケットを取り付ける前に、クランクケースの合わせ目に液状ガスケットを塗っておくのがポイント。ピストンをシリンダー内に収める際はピストンリングを合口部分で縮めた状態にすること。また、シリンダーにはピストン以外にカムチェーンが通り、カムチェーンスプロケットも取り付けられるようになっている。

(1)ピストンを組み込んだら、シリンダーを組み込んでいく。クランクケース内にゴミなどが入らないように詰めておいたウエスを抜き取る。

(2)シリンダーベースガスケットを取り付ける前に、クランクケースの合わせ目部分に液状ガスケットを塗っておく。使用するのはキタコのKC-027だ。

(3)液状ガスケットはチューブから直接塗らずに、適量を指に出して使用すること。

(4)クランクケースの合わせ目部分に液状ガスケットを塗っていく。付けすぎないように気をつけること。

(5)液状ガスケットを塗った状態。このままでは厚いので、指でトントンと叩くようにして薄く伸ばして広げる。

(6)液状ガスケットはこのような状態に塗り広げる。はみ出した分は、乾く前に拭き取っておくこと。

(7)下側の合わせ目にも同様に液状ガスケットを塗り広げておく。周りに液状ガスケットが付着していないかを確認しておく。

(8)キットに付属しているシリンダーベースガスケットを用意し、クランクケースにセットしていく。

(9)シリンダーベースガスケットをシリンダースタッドボルトに通し、クランクケースにセットしていく。

(10)カムチェーンを落とさないように注意しながら、シリンダーベースガスケットに通していく。

(11)ピストンもシリンダーベースガスケットに通し、クランクケースにしっかりセットする。

(12)正面から見て右側2本のシリンダースタッドボルトにはノックピンが入るので、シリンダーをセットする前に入っていることを確認する。

(13)シリンダーを組み込む前に、ピストンリングの合口が120°ずつずれていることをサイド確認し、ずれているようなら合わせておく。

(14)ピストンリングの合口の位置を確認したら、ピストンの側面にエンジンオイルをしっかりと塗布する。

(15)ピストンの側面にエンジンオイルを塗布したら、スカート部分までしっかりと塗り広げておく。

(16)今回組み込むのはブラックタイプの145cc用シリンダーだ。組み込む前に洗浄し、傷や汚れが無いことを確認しておく。

(17)シリンダーの内壁にオイルを塗布し、指でしっかりと全面に塗り広げておく。

(18)ハンドルを切ってスペースを確保し、シリンダースタッドボルトにシリンダーを通していく。

(19)ピストンとシリンダーの位置を合わせ、ピストンリングの合口を閉じながらピストンをシリンダーに入れていく。ピストンを斜めにしながら作業すると入りやすい。

(20)セカンドリングも同様に、合口を閉じながらゆっくりシリンダーに入れていく。無理に入れると破損の原因になるので、入りにくい場合はリングを確認する。

(21)最後に3段目の溝に入っているスペーサと2本のサイドレールをシリンダーに収める。

(22)ピストンがシリンダーに収まったらカムチェーンも忘れずにシリンダーに通し、カムチェーンを引っ張りながらシリンダーをしっかりセットする。

(23)これでシリンダーの組み込みは終了。ピストンの位置がずれた場合は、クランクを回して圧縮上死点に戻しておく。

(24)シリンダーを組み込んだら、カムチェーンガイドローラーをセットしていく。このカムチェーンガイドローラーはノーマルから外した物を使用する。

(25)カムチェーンガイドローラーピンボルトにはシーリングワッシャーが入っているので、これは新品に交換しておく。

(26)カムチェーンガイドローラーを落とさないように、カムチェーンに沿わせながらシリンダーの中にセットしていく。

(27)カムチェーンガイドローラーとシリンダーの穴の位置を合わせ、カムチェーンガイドローラーピンボルトをセットする。

(28)手でカムチェーンガイドローラーピンボルトを回して、締め込める所まで締め込んで仮締めしておく。

(29)カムチェーンガイドローラーピンボルトを仮締めした状態で、カムチェーンガイドローラーが左右に動くことを確認しておく。

(30)カムチェーンガイドの状態と向きを確認する。傷んでいるようなら新品に交換すること。

(31)カムチェーンを持ち上げながら、カムチェーンガイドをセットしていく。ツメがシリンダーの溝にしっかりはまるまで入れること。これでシリンダーの組み込みは終了。

シリンダーヘッドの組み込み

シリンダーヘッドはトップ部分に出ているシリンダースタッドボルトと、正面から見た右サイドにある2本のシリンダーフランジボルトで固定される。また、シリンダーの中を通したカムチェーンをシリンダーヘッドの中に引き入れることになるので、接合時は注意して作業する必要がある。

(1)シリンダーヘッドを組み付けていく。組み付ける前にしっかりとクリーニングし、接合面に傷などが無いことを確認しておく。

(2)シリンダーヘッドとシリンダーの接合面には2箇所ノックピンが入るので、2個のノックピンを用意する。

(3)ノックピンが入るのは、エンジンを正面から見て右上と左下のシリンダースタッドボルトだ。

(4)キットに入っている54mmピストン用のシリンダーヘッドガスケットを用意する。金属製なので、曲げたりしないように注意する。

(5)シリンダーヘッドガスケットにシリンダースタッドボルトとカムチェーンを通し、シリンダーの接合面にセットする。

(6)シリンダーヘッドガスケットをセットしたら、いよいよシリンダーを組み込んでいく。ハンドルを切った状態で、シリンダーヘッドをシリンダースタッドボルトに通していく。

(7)シリンダーヘッドをある程度まで入れた所で、シリンダーから出ているカムチェーンをヘッド内に引き入れる。

(8)シリンダーヘッド内に引き入れたカムチェーンを引っぱりながら、シリンダーと接合するまでセットする。

(9)シリンダーヘッドをセットした状態。カムチェーンがシリンダー側に落ちないように注意すること。

(10)シリンダーヘッドから出ているシリンダースタッドボルトのネジ部に、エンジンオイルを少量塗布する。

(11)シリンダーとシリンダーヘッドを固定する、シリンダーヘッドナットとシーリングワッシャーを4セット用意する。

(12)角が立っている側を奥にして、シーリングワッシャーをシリンダースタッドボルトにセットする。

(13)シリンダーヘッドナットを手で回し、締め込める所まで締め込んで仮締めの状態にしておく。

(14)シリンダーヘッドナットを仮締めしたら、シリンダーフランジボルトをセットしていく。シリンダーフランジボルトは2本だ。

(15)正面から見て右側に2箇所にシリンダーフランジボルトをセットし、手で締め込める所まで締めて仮締めする。

(16)シリンダーヘッドナットを締め込んでいく。一度に一本を締めるのではなく、対角線で均等に少しずつ締め込んでいく。

(17)シリンダーヘッドナットをある程度まで締め込んだら、最後はトルクレンチを使って18N・mで締め付ける。

(18)シリンダーヘッドナットを本締めしたら、シリンダーフランジナットをソケットで締め込める所まで締め込む。

(19)ある程度までシリンダーフランジナットを締め込んだら、トルクレンチを使って10N・mで本締めする。一回で締めきらず、交互に締めていくこと。

(20)最後にトルクレンチを使ってガイドローラーピンボルトを10N・mで本締めし、シリンダーヘッドの取り付けは終了。

【KITACO虎の巻】JC92型グロムにボアアップキットを組み込む!第3回:【ピストン、シリンダー、シリンダーヘッドの組み込み】 (98枚)

この記事にいいねする

今回紹介した製品はこちら

コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら

ホンダ グロムの価格情報

ホンダ グロム

ホンダ グロム

新車 214

価格種別

中古車 114

本体

価格帯 33.09~40.92万円

36.91万円

諸費用

価格帯 2.53~3.87万円

3.19万円

本体価格

諸費用

本体

34.94万円

価格帯 29.38~58.29万円

諸費用

4.7万円

価格帯 4.52~4.74万円


乗り出し価格

価格帯 36.97~43.45万円

40.1万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

39.65万円

価格帯 34.12~62.81万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す