電気系のメンテナンスやカスタムで必ず着脱するコネクターですが、その際に面倒なのがツメ(フック)の解除。簡単に外れないためにあるとはいえ、押し込む指や爪が痛くラジオペンチも使いづらい場合もあります。そんな時に重宝するのが、先端がクワガタのツノのような専用プライヤーです。電気いじりが好きなサンデーメカニックにとって必携ツールと言っても過言ではありません。

単純なのに外れない……作業者にとって超面倒なコネクター

燃料ポンプ用コネクターの一例。専用品はコネクター本体もツメの形状もまちまちで、指先やラジオペンチだけではロック解除が難しいこともある。

ギボシ端子のような一対一ではなく何本もの配線を同時に着脱できるコネクターは、バイクや車の純正ハーネスに不可欠な結線アイテムです。ピンの数や防水の有無などの条件によってコネクターの形状はさまざまですが、多くの場合は外れ防止のツメ(フック)が付いています。

仕組みは簡単で一度ロックしたら簡単に外れないよう工夫をこらして設計されたコネクターのツメは、いざ取り外そうとするととたんに面倒な相手となります。

汎用タイプの110や250コネクターのツメは指先でも押せますが、専用タイプのコネクターのツメは押している感覚が伝わらないほど小さかったり、指先が痛くなるほど押してもロックが外れないこともあります。
バイクメーカーにとっては走行中に簡単に外れないことがもっとも重要ですが、メンテナンスやカスタムでコネクターを抜きたいときに外れないのは大きなストレスの元となります。

経年劣化で脆くなったコネクターはツメ折れに注意が必要

加えて問題なのは経年劣化によってツメが破損する場合があることです。無理をしたつもりはなくても押しづらいツメに力を加えて割れたり、ラジオペンチでツメだけでなく周辺まで掴んだり、細いマイナスドライバーでツメを押しながらこじった際に「パキッ」と割れることは珍しくありません。

ツメが折れるとロックが利かなくなり、コネクターを押し込んでもギボシ端子より簡単に外れてしまいます。タイラップなどで縛って固定できればまだましですが、そうでなければ汎用品に交換するか、いつか抜けるかも……と不安を抱えることになりかねません。

小さなツメを狙って押し込める個性的な先端形状が特徴

コネクター用プライヤーの一例。先端部分はコネクター本体を避けながらツメだけを押せるよう独特の曲げ加工が施されている。

ピンポイントで力を加えられる先端部分は滑り止め仕様。

そんなコネクター着脱作業時に重宝するのがコネクター専用プライヤーです。製品によって名称はまちまちですが、多くのプライヤーは先端部分がクワガタのツノのようになっているのが特徴です。

ラジオペンチはノーズ部分が面となって挟むため、ツメ以外の部分に干渉してコネクター破損のリスクがあり、マイナスドライバーはツメだけに圧力を加えて裏側を支えられないのに対して、コネクター専用プライヤーは湾曲した先端部分がコネクター本体を避けながらツメだけを狙うことができ、同時にコネクターの裏側も支えるためツメだけを押し下げてロックを解除して抜き取ることができます。

余計な部分に力を加えずツメだけに集中できることで、劣化した樹脂に無用な力が掛かりづらく、またピンポイントで力を加えることでロックが解除された感触も掴みやすいのも専用工具ならではの魅力です。
ただしコネクターのロック方式は多岐にわたるため、一種類のプライヤーですべてに対応できるとは限りません。コネクター用プライヤーを検索しても、さまざまな形状の製品がヒットしてきて、一概にどれを選べば正解とは断言できません。

とはいえ、プライヤーとラジオペンチだけでコネクターに対峙するのは賢いやり方とは言えません。まずは一種類の専用プライヤーを手に入れて、ツメだけを狙って押してロックを解除できる使い勝手の良さを体感してから、必要に応じて買い増ししていくと良いでしょう。

指先でつまむようにツメを押し込みロックを解除しながら、コネクターを引き抜くことができる。

ツメを押す部分はピン形状で、反対側は滑り止め処理が施されたプレートで支えるタイプのプライヤー。コネクター専用プライヤーは目的が同じでも具体的な形状には様々なタイプがある。

POINT

  • ポイント1・コネクターのロック用ツメの中には指やラジオペンチでは外しにくいものもある
  • ポイント2・ツメだけを狙って押し込める専用のプライヤーが存在する
  • ポイント3・ツメの形状はコネクターによってまちまちなので、専用プライヤーは複数持っておくと良い
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