
大型バイク用ヘッドライトバルブで採用例が多いH4型。旧車時代から現代のスーパースポーツまで、同型式バルブを使っているモデルは数多い。最新のLED型ヘッドライトバルブでは、同じ明るさながら色温度の違いを選べるモデルもある。様々な商品を試して、その違いを体感してみるのも楽しい!!
夜間走行時にヘッドライトが点灯しないと、どれほど心細いものか……。出先やツーリング先で、ヘッドライトの球切れ経験がある者なら、誰もがそのタイミングの切なさを味わったことがあると思う。カウル付きモデルの場合は、ヘッドライトの向き(高さ)を簡単に変更することができない。しかし、旧車のようにライトケースをライトステーが支える構造なら、ロービームが切れても、ハイビームに切り替え、グイッとライトボディを押し下げることで光軸を下へ向ることもできる。こうすれば対向車の迷惑にもならない。
そんなヘッドライトの世界でも、日進月歩が実に著しい。従来型に対してコンパクトなため、使い勝手が圧倒的に良い商品も登場している。ここでは、そんな最新のH4型LEDバルブに注目してみよう。
そのコンパクトさ!! 注目のサイズ!!
光源が熱を帯びてフィラメントが切れてしまう一般的なバルブではなく、LEDバルブは光源にフィラメントが無いため、ヒートアップで球切れ(通常球のように)することはない。しかし、LEDを高輝度発光させるためにはシステムが高温になる特徴があるため、結果的には、そのシステムを冷やさなくてはいけない装備が必要不可欠になる。この新商品は、バルブマウント部付近の内部にファン機能があり、ボディのスリットから熱を逃がす設計となっている。もはや通常H4バルブと大差のないボディサイズである。
デイトナから発売されたプレシャスレイZ(左)と従来商品のプレシャスレイ(右)。LEDバルブのトップメーカーとして知られる「BELLOF/ベロフ」と「DAYTONA/デイトナ」による共同開発の新製品。ボディサイズのコンパクトさが圧倒的だ。バルブエンドに冷却ユニットがありハーネス経由で電源接続していた従来品に対し、新型の「プレシャスレイZ」は、もはや通常のバルブと同ボディサイズに近い。
輝き方が異なる2タイプの色温度設定
過去にヘッドライトバルブを交換したことがあるユーザーなら、明るさや色温度(輝き方)に対して感じたことがある方もいるはず。明るさの単位はlm/ルーメンで表され、色温度の単位はK/ケルビンで示される。この商品は、パッと白色で明るいホワイト仕様(6500K)ではなく「電球色」と呼ばれ、やや色味があるタイプ。色温度は4500Kタイプだ。
コンパクト設計と聞いても、ピンと来ないユーザーが圧倒多数だろう。一般的なH4バルブと商品の実サイズを比較すれば、従来商品に対して相当コンパクトであることがわかるはずだ。
他の型式バルブでも明るくできる方法はある!!
バルブの型式がH4型でなかったり、物理的スペースの問題でどうしても現状バルブしか使えないケースもある。現代は電装系カスタムパーツが豊富で、追加に次ぐ追加で様々なハーネスが取り回されているケースもある。そんな状況でも、ヘッドライトを明るくしたいなら「ヘッドライトリレーキット」がある。ヘッドライトケースやガソリンタンク下ではなく、バッテリーの近所やサイドカバー内にリレーユニットをレイアウトすることで、シンプルなハーネス取り回しが可能になる。
- ポイント1・従来型商品に対して最新商品はバルブボディがコンパクトとレイアウトしやすい。
- ポイント2・同じ明るさながら「色温度の違い」を選ぶことができる。
- ポイント3・スイッチングレスポンスが極めて良いため、パッシング信号を素早く出せる。
「発光ダイオード=LED」に関する技術が進化し、様々な場面でLEDが利用されている昨今。「極めて少ない消費電力」という、省エネ的に大きな特徴があるため、各種橋脚の常夜灯や電波塔(東京タワーや東京スカイツリー)の存在を知らせる灯りにもLEDライトが数多く採用されている。
自動車やバイクの世界でも、ここ数年のニューモデルにはLEDライトを標準装備した例は多い。完全専用設計のため、発光関連のシステムを自在に組み込んだ変形ヘッドライトがその主流となっている。そんなLEDライトの明るさを目の当たりにすると、自身のバイクでも何とかならないものか……? そんな考えを抱くライダーは数多いはずだ。
不活性ガスを封入した「ハロゲンバルブ」のヘッドライトが普及し始めたのは1980年代初頭だった。それまでの主流だったシールドビームや一般的なフィラメントバルブは、決して明るくなかった。また、バルブを発光させるための配線=ハーネスが決して高性能品ではなかった時代なので、配線劣化が原因でバルブの輝度が低下している例も数多かった。ワット数が大きなバルブに交換しても「明るくならないのは何故?」といった疑問を抱いたライダーは数多いと思うが、その原因が、まさにハーネス劣化なのだ。劣化が発生すると本来の電力が供給されないため、バルブに表示された明るさに満たないのである。
そんなハーネス劣化もカバーしてしまうほど、省電力で明るく発光するのが高輝度LEDである。LEDは輝度向上の技術革新によって、様々な商品が実用化されている。以前なら、明るさはともかく省電力が魅力だから「LED化が魅力的……」と考えられた時代もあった。しかし今現在は、消費電力の少なさだけではなく、効率良く「輝度アップ=明るさのアップ」に成功。そんな現代のLED技術によって新登場したのが、H4型の「電球と、交換するだけ。」をキャッチフレーズにしたデイトナの商品だろう。
「明るさ」の表示単位はlm/ルーメン、見た感じの印象とも言える「色温度」はK/ケルビンで表示されるランプの世界。この商品、ハイビームの明るさは1800ルーメン、ロービームは1600ルーメンに設定されている。さらに「同じ明るさ」でありながら、2種類の異なる色温度を設定している点も見逃せない。白くパッと輝く「ホワイト」は6500ケルビン。いわゆる裸電球のような「電球色」は4500ケルビンに設定されている。単純に色温度数値だけで考えれば「ホワイト」かな? と思うが、人それぞれで見え方には違いがあり、好みもあるため、単一色ではなく2タイプをラインナップしたようだ。ライダーの好みをチョイスできるのが同商品の特徴でもある。
この商品は「H4型バルブ対応品」だが、必ずしもH4型バルブだけではないのが歴代モデルである。国産車を例にすれば、70年代以前のモデルでH4型バルブを採用していたモデルは残念ながら皆無。そんな旧車オーナーが愛車のヘッドライトを明るくしたいときにお勧めの商品が「ヘッドライトリレーキット」の名称で販売されているダイレクトハーネスだろう。ヘッドライトの電源は、バッテリー→フューズ→ヘッドライトスイッチ→ロー/ハイスイッチを経てヘッドライトバルブへ入力されるが、リレーキットの場合は、バッテリー→大容量フューズ→リレー→ヘッドライトへ入力となるため、配線抵抗などの伝達ロスを最小限に抑えてヘッドライトバルブへ電源入力するシステムだ。ユーザー車検のたびにヘッドライトの光量不足気味を指摘されるような車両の場合は、このリレーキットの装備によって楽々パスできるヘッドライト光量を得ることができる。
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