ソケットレンチはメガネレンチやスパナが使えない場所にあるボルトやナットを回すのに役立ちますが、ソケットの開口部が下向きになると取り外したボルトやナットが落下して回収に大変な思いをすることがあります。スチールボールとスプリングによるフリクションで保持する「ナットグリップ」はソケットレンチメーカーのコーケンのアイデア工具です。
ソケットレンチは奥深い場所に届く分、ボルトやナットを落とすと悲惨な目に遭うこともある
ラチェットハンドルと組み合わせることでボルトやナットを早回しできるのかソケットレンチの特長ですが、エクステンションバーを使用することでメガネレンチやスパナが使えないような場所にあるボルトやナットにアプローチできる利点もあります。
ところが150mm、200mmといった長いエクステンションバーをつないで、ソケット開口部が下向きになるような奥深い場所で使用すると、ボルトやナットが緩んで外れた途端にソケットから抜けて落下してしまうこともあります。
あげくに深い場所に落ち込んでしまうと回収に余計な手間が掛かったり、周辺のパーツをいくつも取り外して捜索する羽目になったら最悪です。
そうしたリスクのある場面では、ボルトやナットとのフリクションが増えるようソケット内側にガムテープや薄いゴムシートを押し込んでから作業する手もありますが、あらかじめ落下防止の仕組みを備えた便利なソケットがあります。
磁力ではなくスプリングの張力で六角頭をホールドするナットグリップソケット

コーケン(山下工業研究所)が製造販売するナットグリップソケットは、小さなスチールボールとソケット外周の「たが」のようなスプリングでボルトやナットをホールドする。ラチェットハンドル差込角3/8のミリサイズ展開は8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、24mm。これとは別にインチサイズのナットグリップソケットもある。
ボルトやナットの脱落を防ぐため、開口部の奥に磁石をセットしたソケットも存在します。ただしフランジボルトやフランジナットのようにソケットの奥まで届かないタイプや、ステンレスやアルミなど磁石に付かない素材に対しては効果がありません。ソケットの奥に磁石があると、ボルトやナットを傷つける原因となる金属の切り粉やゴミなどが付着するリスクがあります。
それに対してソケットレンチの専門メーカーであるコーケンのナットグリップソケットは、開口部に近い位置に小さな金属製のボールを備えているのが特長です。このボールは六角形の向かい合う二辺にあり、ソケット外周のスプリングにより内側に押しつけられています。
この構造から分かるように、ナットグリップソケットはスチールボールによるフリクションによってボルトやナットをホールドしています。そのため非磁性の素材に対しても保持力を発揮し、またボールの位置が開口部に近いためフランジナットやフランジボルトにも使えます。コーケンも開発時からフランジに対応した設計にしているのは明らかでしょう。またスチールボールもスプリングも磁力を帯びていないので、砂利などが付着した場合もパーツクリーナーで容易に洗い流すことができます。
このナットグリップソケットは差込角1/4、3/8、1/2インチに対応しており、1/4と3/8インチはスタンダード、セミディープ、ディープ、ユニバーサルソケットなどバリエーションも多彩です。
奥深い場所から落下させず回収できるだけでなく、ボルトやナットを手が届かない場所に運ぶ際もソケットから離れないため安心して作業できるのも魅力です。ボルトやナットの保持力が強すぎて、ソケットとエクステンションバーの差込部で外れてしまうことのないスプリングの設定も絶妙で、主要なサイズを持っているといざという場面で重宝することは間違いありません。

スタンダードソケット(手前)10mmの全長は26mmで、ディープソケット(奥)10mmは全長55mm。画像にはないが、この中間のセミディープソケット10mmの全長は40mm。きめ細やかな設定はソケットレンチ専門メーカーならでは。
六角軸先端の金属リングの抵抗でキャップボルトを保持するグリップリング付きヘックスビットソケット
コーケンでは六角頭のボルトやナットに対して、六角穴付きボルト=キャップボルトをホールドできる工具も販売しています。
グリップリングは六角軸の先端部分にリングがあり、キャップボルトの六角穴に挿入することで抵抗となって脱落や落下を防止します。このリングは閉じた円形ではなくピストンピンクリップやスナップリングのように一部が開いているため、ボルトの六角穴に押し込んだ際に僅かに縮み、リングの張力でホールドするのが特長です。
その保持力はボルトを真下に向けて抜けないのはもちろん、ソケットを軽く振る程度なら外れることはなく、指で摘まんで運ぶことができない奥まった場所にあるキャップボルトの着脱も余裕でこなせます。
キャップボルトを取り外す際、ビット先端に塗ったグリスや液体ガスケットが糊代わりに便利なことがありますが、ボルトを取り付ける際にはグリスが汚れを呼び寄せる原因になるためあまりお勧めできません。
その点グリップリング付きヘックスビットソケットであれば、ビット先端と六角穴の隙間に生じるフリクションを利用するだけなので、ボルトが汚れたり傷つくことはありません。コーケンはグリップリング付きヘックスビットソケットを差込角3/8インチに設定しており、サイズは最小3mmから最大12mmのラインナップがあります。
スチールボールを組み込んだナットグリップソケットもリングを使用するグリップリング付きヘックスビットソケットも、通常のソケットやヘックスビットソケットに比べて価格は30~50%アップとなりますが、メンテナンス中に落としたボルトやナットを探す手間やヒヤヒヤしながら作業する際のストレスを思えば、さまざまなバイクをいじる機会があるサンデーメカニックにとって充分以上の価値がある工具だと言って過言ではありません。

差込角3/8インチのグリップリング付きヘックスビットソケットのサイズ展開は3、4,5,6,7、8、10、12mmで。全長は62mmと100mmがある。なおグリップリング付きヘックスビットソケットは、差込角1/4、1/2インチに設定はない。
- ポイント1・エクステンションバーを使用することで手が届かない奥まった場所に到達できるのがソケットレンチの利点だが、ボルトやナットを脱落するリスクもある
- ポイント2・通常のソケット類と別にソケット内部のスチールボールや六角軸先端のリングでボルトやナットをホールドする専用工具によって作業効率が大きくアップする
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整備車が って主語が省力されてるなら別に意味は通る気もするけどそんな目くじら立てるもんかね
これ きちんと本締め不可まで書いておいてあげないと不親切ですよ